-INDEX-
> 総合力を強化する安川電機のロボット事業
> 米国で高シェアを誇るファナックのロボット
> 中国で存在感が増すKUKAのロボット
> 中国でトップシェアを誇るABBの産業用ロボット
> 独自の協働ロボットで注目を集めるデンソーウェーブ
> 総合ロボットメーカーへ飛躍する川崎重工業
> スカラロボットで世界トップのセイコーエプソン
> 協働ロボットで世界トップのユニバーサルロボット
> 産業用ロボでも存在感を発揮する欧州の老舗メーカーストーブリ
> 溶接用ロボットで高シェアを誇るダイヘン
> ロボットを核にした総合機械メーカーへ転換を図る不二越
> ロボット分野でも研究開発を加速するトヨタ
> 装着型ロボティクス機器で攻勢を強めるイノフィス
> ガイドレスAGVの提案を強化する日本電産シンポ
> ロボット分野の取り組みを進める大和ハウス
> ロボット技術で建設現場を変革する竹中工務店
> ベンチャーとの連携で加速するソフトバンクロボティクス
> ロボット開発を新規に取り組むOKI
> 部品からロボット本体にも展開する住友重機械工業
> ソフト技術を強みにロボ事業を展開する豆蔵
> アバターロボット事業に取り組むANA発のスタートアップ avatarin株式会社
> ロボットに“命を吹き込む”Mujinの技術
> 物流網のロボット化を進めるアマゾン
現在、人手不足や自動化を背景に、産業用ロボットの市場も拡大しています。
オリックス・レンテックでも国内外の主要なロボットメーカーさまとの協業によりさまざまなロボットを保有しており、その中からお客さまのご希望のロボットをお選びいただけます。
本ページでは、オリックスレンテックが取り扱っている各ロボット会社についてまとめました。
株式会社安川電機は、1977年に日本で初めての全電気式産業用ロボット「モートマンL10」を発売して以来、産業用ロボット市場で常にトップクラスのシェアを有する企業です。安川電機のロボット部門の特徴の一つが、ロボット製品群の幅広さです。国内トップシェアを有するアーク溶接を中心に、スポット溶接、ハンドリング、組立、塗装、液晶パネル搬送、半導体ウエハー搬送などに対応するロボットをラインアップしており、さまざまな製造現場の自動化ニーズに対応できる製品技術力を有しています。
ファナックは1956年に日本で民間初の工作機械用NC(数値制御)装置とサーボ機構の開発に成功して以来、工場の自動化に関する製品開発に取り組んでいます。その一環として1977年から産業用ロボットも量産しており、現在、ファナックのロボット部門の売上高は2025億円(2019年度実績)に上ります。そしてファナックのロボット部門の特徴としては米州地域の売上比率が高いことが挙げられます。
製品面では、可搬重量(搬送できる最大重量)が500gという小型タイプから、可搬重量2.3tという超大型タイプまで多種多様なロボットをラインアップしています。そして近年、開発を強化している製品の一つが、安全柵なしで使用でき、人との作業も可能な協働ロボットです。ファナックの協働ロボットは外装が緑色であることから通称「緑のロボット」とも呼ばれています。ファナックのコーポレートカラーである黄色ではなく緑色を採用することで、一般のロボットと区別して人に安全なイメージを与えることが狙いといわれています。現在、可搬重量別に、4kg、7kg、14kg、15kg、35kgタイプをラインアップしており、天吊りや壁かけ設置に対応できるタイプも取り揃え、電子部品などの小型部品の搬送・組立をはじめとしたさまざまな製造工程に活用されています。
KUKAは、ドイツ・アウクスブルクに本社を置き、ロボット事業のスタートは1973年です。自動車業界からの高性能で信頼性のあるロボットへの要請が高まる中、電動式6軸駆動ロボット第1号「FAMULUS(ファミュラス)」を開発しました。1996年には世界で初めてPCをベースとしたロボット制御を開発するなど、革新的な製品を次々と市場に投入し、現在、世界トップクラスのシェアを有しています。また、2014年後半には物流施設などの自動化システムを展開するSwisslog(スイスログ)社を買収しており、AGV(無人搬送機)製品などを含めた総合的な提案力を備えています。
KUKAはさまざまな用途・作業に対応できる産業用ロボットをフルラインアップしており、可搬重量は最大1300kg、350種類以上の製品を取り揃えています。精度、安全性、長期信頼性などに加え、技術の革新性でもユーザーから高い評価を得ています。そのためロボットが多く導入されている自動車関連や電子・電機分野以外での採用事例も多く、欧米の医療機器メーカーでは同社のロボットアームを活用した画像診断装置や放射線治療装置が製品化されています。
ABBは、スイス・チューリッヒに本社を置き、世界の約100カ国に14万7000人以上の従業員を擁する電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニーです。産業用ロボット分野でも世界でトップクラスのシェアを誇り、累計出荷台数は40万台以上を誇ります。同社の産業用ロボットは、堅牢性が高く、過酷な作業環境下でも高い軌跡精度を実現できることなどで定評があり、自動車、鋳造・鍛造、金属加工、プラスチック、パッケージング&パレタイジングなど幅広い分野で採用されています。製品は小型(3kg可搬)から大型(500kg可搬)までさまざまなタイプを、コントローラーやソフトウエアなどの関連機器も含めて展開しています。
株式会社デンソーウェーブは、大手自動車部品メーカーである株式会社デンソーの産業機器事業、システム機器株式会社、株式会社デンソーシステムズが合併して2001年に誕生し、QRコード(2次元コード)読取機器や産業用ロボットといった製品を扱っています。そのうち産業用ロボットは、自動車関連や電機・電子分野などで使用される小型製品において世界トップクラスのシェアを有します。また、2019年12月には、垂直多関節ロボットの新型モデル「VMシリーズ」と「VLシリーズ」を発表。VMシリーズの最大可搬重量は25kg、VLシリーズの最大可搬重量はデンソーウェーブのロボット史上最大の40kgで、中・大型製品のラインアップ拡充にも力を入れています。
川崎重工業株式会社は、1969年に国産初の産業用ロボット(製造現場で使用されるロボット)を生産したパイオニア企業で、産業用ロボット分野で50年以上の歴史を有します。自動車や半導体製造向けを中心に国内外のあらゆる分野で製品が採用されており、溶接、組立・ハンドリング、塗装、パレタイジング、ピッキング、半導体ウエハー搬送用クリーンロボットなど、ほぼすべての種類の産業用ロボットをラインアップしています。そのうち半導体ウエハー搬送用では数量ベースで世界50%以上のシェアを持ち、スポット溶接や塗装用ロボットでも高いシェアを有しています。
耐久性や精度といったロボット自体の性能に加え、同社のロボット部門はシステム関連の人員の割合が高く、工場の診断から最適なロボットソリューションを導き出し、システムアップ、トレーニング、メンテナンスなど、導入診断からアフターサービスまで一貫して提供できることが強みです。
セイコーエプソンは、産業用ロボットも長年手がけており、スカラロボット(水平多関節ロボット)においては世界トップシェアを有しています。スカラロボットは水平方向の動きに特化したロボットで、部品の挿入や配置、ねじ締めといった単純作業を人作業からロボットに置き換える際などに活用されます。
セイコーエプソンが産業用ロボットの開発に乗り出したのは、自社の腕時計の組み立てに用いるロボットを内製したのが始まりで、そのノウハウを生かして1983年から外販を開始しました。製品としては、スカラロボット以外にも垂直多関節の6軸ロボットや自律型双腕ロボットなどをラインアップしています。同社は省エネルギー、小型化、高精度を実現する「省・小・精の技術」に強みを持ち、腕時計の組み立てが出発点になっていることから精密加工に関するノウハウも豊富で、用途別では電機・電子分野が半分以上を占めています。
ユニバーサルロボット(Universal Robots)は、主に製造現場で使用される協働型6軸多関節ロボット「URシリーズ」を手がけるデンマークのメーカーです。協働ロボットは衝突検知機能などを搭載し高い安全性を持ち、防護柵などを設置しなくても人と同じスペースで協調して作業できるロボットで、近年市場が拡大している領域です。ユニバーサルロボットは協働ロボットの専業メーカーとして2005年に設立され、2009年からデンマークでの販売を開始。現在までの累計販売台数は4万4000台以上(2020年6月時点)にのぼり、協働型多関節ロボットでは世界トップのシェアと実績を誇ります。
ストーブリは1892年にスイスのホルゲンに「Schelling & Staubli社」として設立され、繊維機械、コネクタ、産業用ロボットの3事業を展開し、従業員は5000人以上、年間売上高は約13億スイスフラン(約1500億円)にのぼるスイスを代表する大手メーカーです。
高い生産性と正確性に強みを持ち、電機・太陽電池、食品、ライフサイエンス、機械加工、プラスチック、塗装などの他、クリーンルーム基準サブクラス1から苛酷な使用環境(爆発物を取り扱った作業、ダストが発生する環境における作業、食品加工や無菌室での作業など)まで、あらゆる産業分野ならびに条件で採用されています。
用途も、組立、切断、加工、塗装、包装、パレタイズ、研磨など幅広く対応。コンパクトな4軸スカラロボットから荷重250kg以上までの重量物用ロボット、そしてコントローラーやソフトウエアまでトータルで提供できることが強みです。
多くの産業用ロボットメーカーの中で溶接分野において高いシェアを誇るのが株式会社ダイヘン(大阪市淀川区)です。ダイヘンは1919年の創業以来、国内トップシェアの柱上変圧器をはじめとする電力機器のトップメーカーとして知られていますが、1934年に生産を開始したアーク溶接機でも国内シェア50%以上を占め、その溶接技術とメカトロニクスを融合して、1979年にティーチングプレイバック方式のアーク溶接ロボットを開発し、産業用ロボット市場に参入しました。中国、米国、ドイツ、インドネシアなど、9カ国13拠点のグローバルネットワークを構築し、これまで50カ国以上で納入実績があります。
アーク溶接、スポット溶接、ハンドリング、シーリングと多彩なアプリケーションに対応できる製品群を構築しており、現在、アーク溶接ロボットに関しては国内シェア39%(ウェルディングマート2016-17より)、世界シェアも30%(ロボット工業会、国内ロボット連盟のデータに基づくダイヘン想定)を有するトップメーカーです。
溶接機と溶接ロボットを両方製造している企業は世界的にも珍しく、ダイヘンは溶接機との連携の良さが大きな特徴で、溶接ロボットだけでなく、搬送用ロボットや必要な周辺機器も充実しているため、優れたソリューション提案力も有しています。
国内有数の総合機械メーカーである株式会社不二越では、近年ロボット分野の取り組みを強化しています。同社は工具、工作機械、ロボットシステム、ベアリング、油圧機器、自動車部品、特殊鋼、コーティング、工業炉などを扱う総合機械メーカーとして知られ、自動車生産ラインで培った自動化に関する豊富なノウハウを有しています。ロボット製品としては、スポット溶接、アーク溶接、シーム溶接、ハンドリング・シーリング、パレタイジング、重量物搬送(可搬重量280~700kg)などのさまざまな用途に対応したロボットをラインアップ。ロボット部門の事業規模は307億円(2019年11月期実績)を誇ります。
国内企業でトップの売り上げを誇り、世界有数の自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社。
1970~80年代にかけて産業用ロボットの開発を実施したのが始まりです。現在では、溶接工程や塗装工程で多数の自社製ロボットが導入され、組立工程や運搬作業などでもロボットが活用されています。そして、この産業用ロボットの技術に、自動車技術、電子技術、知能化技術を結集し、社会のニーズに応えていく「パートナーロボット」の開発にも力を入れています。
イノフィスは、東京理科大学の小林宏教授により、2013年に設立されたベンチャー企業です。
イノフィスの製品は、空気圧を駆動源としており、圧縮空気の出し入れで人工筋肉を伸縮・駆動させます。その構造的特徴から低コストで、かつパワーと安全性が優れており、着脱も容易です。介護施設、農業、製造現場、空港業務など幅広い分野で活用されており、累計出荷台数は1万台を突破しています。
日本電産シンポ株式会社は、日本初の無段変速機メーカー「シンポ工業」として1952年4月に誕生しました。
その後、1995年に世界No.1の総合モーターメーカーである日本電産のグループに入り、1997年に現在の社名となりました。
無段変速機の技術を伝統産業に融合させ、世界で初めて陶芸用電動ろくろを開発した企業でもあり、現在はコアテクノロジーであるトラクション技術を生かし、製造機械・装置向けの減速機を主力製品として事業を展開。小型サーボモーター用減速機では国内シェアNo.1を誇ります。そして、新たな取り組みとして、2016年から販売しているのが、ガイドレス無人搬送台車(AGV)「S-CART」です。
大和ハウス工業株式会社は、大手ハウスメーカーとして知られていますが、2008年1月にロボット事業の部門を社内に設置しました。そして、介護・医療関連ロボットの販売代理業務や点検ロボットの開発・販売などを行い、新たな主力事業として育てていくための取り組みを進めています。
大手総合建設会社である株式会社竹中工務店は、現場や工場などの作業員の負担軽減策としてロボットに関する取り組みを進めています。BIM(コンピューター上に作られた建物・設備の3次元モデル)データを活用した「建設ロボットプラットフォーム」を開発しました。ロボットが自律走行するための経路・範囲シミュレーション、遠隔操作、遠隔監視などが、建設ロボットプラットフォームを通じて行えます。
ソフトバンクロボティクスは、ソフトバンクグループ㈱(東京都港区)においてロボット製品・サービスの提供する事業会社として2014年7月に設立されました。これまでに2500社以上に導入されている人型ロボット「Pepper」(ペッパー)をはじめ、AI(人工知能)清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)や配膳・運搬ロボット「Servi」(サービィ)などを展開しています。
沖電気工業㈱(OKI)は 情報通信事業、ATMやプリンターなどのメカトロ事業を中核として、各分野における製造・販売およびこれらに関するシステムの構築・ソリューションの提供、工事・保守・その他サービスなど、情報通信や社会インフラを支える様々な商品を提供しています。近年は、人工知能(AI)処理をエッジ領域で汎用的に実行させ、クラウドとの連携により実現する「AIエッジコンピューティング」に関する取り組みを強化しており、その1つとしてAIエッジコンピューター「AE2100」を2019年10月に発売。そして、そのAIエッジコンピューターの技術を活用したサービスロボット「AIエッジロボット」の開発も進めています。
住友重機械工業㈱は、精密制御機械やコンポーネントをはじめ、各種産業機械、船舶、大型プラントなどを幅広く手がける国内トップクラスの総合重機械メーカーです。そして製造現場で使用される産業用ロボットの中核部品である精密制御用減速機の大手企業でもあります。国内の主要な産業用ロボットメーカーには同社の製品がほぼ採用されており、特に塗装や溶接などに使用される中大型ロボット向けの製品に強みがあります。
㈱豆蔵は、国内有数のITコンサルティングファームとして知られ、組み込み/業務系システムの開発やAI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連サービスなどを展開しています。モデルベース開発を強みにしており、組み込み系では、自動車、産業用ロボット、医療関連のほか、画像認識技術やAI、製造ライン向けの高度なシステム構築に関するノウハウなども有しています。そして最近では「ロボットシステム開発支援サービス」や「工場の自動化サービス(ロボット導入支援)」といったロボット関連の取り組みも強化しています。
avatarin株式会社はエアライン大手のANAホールディングス株式会社(ANAHD)で進められていたアバターロボットに関するプロジェクトが母体となり、2020年4月に設立されたスタートアップ企業です。avatarinでは、アバターサービスプラットフォーム「avatar-in」(アバターイン)の実用化に取り組んでいます。
株式会社Mujin(ムジン)は、革新的な産業用ロボットコントローラー(RC)の開発・製造・販売を手がける2011年設立のベンチャー企業です。リアルタイム動作生成、干渉回避、動力学考慮、モーター直接制御、センサー同期制御、リモートアクセスなどを標準搭載しており、EthernetかEtherCATで通信できるサーボアンプがあれば、ロボットメーカーの既存のプログラム言語は一切使わず、数ミリ秒ごとに直接制御できます。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅時間が長くなる中、インターネット通販の市場が拡大しています。それに伴い、インターネット通販事業者の物流施設では人手不足が深刻化しています。その対策として注目を集めているのがロボットです。インターネット通販の世界的大手であるアマゾン・ドット・コム(Amazon.com)でもロボットの活用が進んでおり、グループ会社のアマゾン・ロボティクス(Amazon Robotics)にてロボット製品の開発なども行っています。
(執筆:産業タイムズ社)