ロボット Insight

協働ロボットで世界トップのユニバーサルロボット

レンテックインサイト編集部

ロボット Insight 協働ロボットで世界トップのユニバーサルロボット

 ユニバーサルロボット(Universal Robots)は、主に製造現場で使用される協働型6軸多関節ロボット「URシリーズ」を手がけるデンマークのメーカーです。協働ロボットは衝突検知機能などを搭載し高い安全性を持ち、防護柵などを設置しなくても人と同じスペースで協調して作業できるロボットで、近年市場が拡大している領域です。ユニバーサルロボットは協働ロボットの専業メーカーとして2005年に設立され、2009年からデンマークでの販売を開始。現在までの累計販売台数は4万4000台以上(2020年6月時点)にのぼり、協働型多関節ロボットでは世界トップのシェアと実績を誇ります。
 ユニバーサルロボットは、2015年9月に自動検査装置メーカーのテラダイン社(米マサチューセッツ州)に買収され、現在はテラダイングループの企業として活動しています。ちなみに、テラダインはAMR(協働型自律移動搬送ロボット)を展開するMiR(Mobile Industrial Robots、デンマーク・オーデンセ)を2018年に買収。2019年には大型AMRを手がけるオートガイド・モバイル・ロボット(AutoGuide Mobile Robots、米マサチューセッツ州)を買収するなど、ロボット関連企業の買収を積極的に進めています。
 ユニバーサルロボットは、ロボットの生産・R&Dはすべてデンマークの本社で実施しています。2020年2月には、デンマーク・オーデンセ市内に新たな本拠地となる施設を、同じテラダイン傘下のMiRと共同で整備すると発表しました。その投資額は3600万ドル。敷地面積は5万㎡で、延べ床面積は2万2000㎡、完成は2022年初頭を予定しています。

300社以上のパートナー網を構築

 ユニバーサルロボットの現在の事業規模は2億4800万ドル(2019年12月期実績)で、同社の製品は、自動車、金属(工作機械、精密機器など)、電子、プラスチック、医療機器、ゴム、消費財(宝石、家具など)、薬品、航空、半導体、建設、食品など幅広い分野で採用されています。
 販売面ではデンマークの本社で生産したものを世界各地のパートナー企業に卸し、そのパートナー企業を通じて販売を行う体制を敷いており、現在、300社以上の販売パートナーがいます。米ニューヨーク、スペイン、ドイツ、イタリア、チェコ共和国、中国・上海、シンガポール、インド、日本、台湾、韓国などに現地法人を有しますが、これらの現地法人の役割はパートナー企業への販売・技術支援や各市場のマーケティングといったサポート業務がメインで、現地法人からのリセールは行わず、パートナーとの連携を非常に重要視していることが特徴です。日本では2012年から代理店を通じた販売を開始。2016年に日本支店を設立し、同年6月からテクニカルサポートなどの実質的な活動を展開しています。

購入後もロボットの性能が進化

 ユニバーサルロボットの協働型6軸多関節ロボット「URシリーズ」は、人間のそばでも作業できる協働ロボットで、軽量かつ省スペースのため生産レイアウトを変更せずに導入できます。一般的にロボットのセットアップには数週間単位の時間を要しますが、同社製品の平均的なセットアップ時間はわずか半日。独自技術によりプログラミング経験のないオペレーターでもすぐにセットアップできます。加えて、ロボットのハンドまたは工具を直接手に持って動かし、その動作をロボットに記憶させる「ダイレクトティーチ」にも対応しています。100V電源でも駆動し、ライン変更なども柔軟に対応でき少量多品種生産への対応力も高く、投資回収期間も平均195日と費用対効果が高いことから中小企業でも導入しやすいことが特徴です。
 2018年8月からは新たな製品群「UR e-シリーズ」を展開しています。新たに内蔵された力覚/トルクセンサによって精度と感度が向上したことに加え、コントロールパネルを刷新し、新しいプログラミングおよび制御ソフトウエアによって、ロボットの配置とプログラミングが従来品に比べて容易となりました。具体的には、プログラミングフローを単純化し、軽量かつ大画面の新しいティーチペンダント上でのプログラミング作業をわずか数クリックに削減。1時間で開梱・設置して、最初の作業をプログラムすることもでき、ロボットに関する知識がないユーザーでも手軽に扱うことができます。加えて、搭載されている独自OS「POLYSCOPE」(ポリスコープ)の機能が定期的に追加・拡張されます。つまりは購入後もロボットの性能が常に進化し、ハードを買い替えなくても生産性を高めることができます。
 UR e-シリーズは可搬重量別に3kg、5kg、10kgをラインアップ。リーチは3kgタイプが500mm、5kgタイプが850mm、10kgタイプが1300mmで、繰り返し精度は±0.03mm(10kgタイプは±0.05mm)を実現しています。また、2019年9月から可搬重量が16kgの「UR16e」の販売も開始しました。リーチは900mm、繰り返し精度は0.05mm。可搬重量が16kgとなったことで、重量物の搬送、ハンドリング、マシンテンディングなどにも対応できるようになりました。
 さらに2019年11月にはDCバッテリー駆動タイプも発表。DCバッテリー電源で駆動するAGV(無人搬送車)やAMR(人協調型自律移動ロボット)とシームレスで統合でき、工程間を移動して複数の作業を実施する高度なロボットシステムを構築できます。加えて、研究開発分野を中心にニーズが高いROS(Robot Operating System)にも対応できるように、ユニバーサルロボット認定のROSドライバの提供も2019年から実施しています。

周辺機器を自由に開発可能

 ユニバーサルロボットは、ユニバーサルロボットプラス(Universal Robots+)という取り組みを2016年6月から進めています。ユニバーサルロボットから開発者へSDK(ソフトウエア開発キット)や開発者同士で情報交換ができるサポートサービスなどを提供し、周辺機器メーカーなどがユニバーサルロボットのロボットアームとのインターフェースを持つセンサやカメラ、グリッパーなど、新しいハードウエアなどを自由に開発できるという仕組みです。
 ユニバーサルロボットの承認を得た開発品は、ユニバーサルロボットプラスの専用サイトにて無料で公開・販売することもでき、2019年12月末時点で200以上の認証製品が生まれています。日本でも、キヤノン株式会社の画像処理ソフトウエア、シナノケンシ株式会社の電動ロボットハンド、株式会社コスメックのマニュアルロボットハンドチェンジャー、CKD株式会社の空気圧式グリッパーなどが認証を受けています。システムインテグレーターやエンドユーザー側でも、開発されたコンポーネントを活用した新たなソリューションの創出が進んでおり、協働ロボットの周辺システムも総合的に提供できる体制が拡大しています。こういった周辺機器を含めた取り組みによってユニバーサルロボット製品の機能や活用範囲が拡大しており、協働ロボット市場におけるユニバーサルロボットの存在感をさらに高めています。

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