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AIとRPAはどう違うのか 両者の連携可能性も

レンテックインサイト編集部

AIとRPAはどう違うのか 両者の連携可能性も

業務効率化や自動化の担い手として、「AI」に大きな注目が集まっています。しかし、それ以前には同様の文脈で「RPA」が大きな注目を集めていたことを覚えている方も多いはずです。

AIとRPAはどう違うのか。また、どう使い分けるべきなのか。

本記事では、両者の連携も含め、AI・RPAを使いこなし業務に活かすための基礎知識をご紹介します。

具体的な生成AIサービスやその活用事例について詳しくは、『ChatGPTとは?開発元のOpenAI社や文章作成AIの性能についても解説』『生成AI「Claude(クロード)」とは?特徴やChat GPTとの違いを解説』などの記事もぜひご参照ください。

AIとRPAは‟担当する業務の範囲”と‟できること”が異なる

AIとRPAはともに業務効率化に貢献するツールという点では共通している一方、‟担当する業務の範囲”と‟できること”が異なります。

AIは広範な知的タスクの遂行が可能

AIは人工知能(Artificial intelligence)の略称であることからも分かる通り、人工的な知性として広範な知的タスクの遂行を目的に開発されます。AIの開発には、データからの学習をもとにAIモデル(入力されたデータから結果を出力するまでの処理のパターン)を構築する機械学習や深層学習といった技術が用いられており、柔軟性の高さや画像認識、自然言語処理、音声認識、医療診断、金融分析、ゲームのナビゲーションなど応用分野の広さが特徴として挙げられます。

【できること】

  • データ解析:過去のデータを解析し、未来の動向や確率を予測する
  • 自然言語処理:テキストデータを分析し、自動で文章を生成したり、質問応答を行ったりする
  • 画像認識・分類:画像や映像から物体を識別し、分類する。
  • コンテンツ生成:プロンプト(命令文)に従って画像や音声、映像などを生成する

RPAは定型的で反復的なタスクを自動化が可能

RPAは「ロボットによるプロセスの自動化(Robotic Process Automation)」の略称であることからも分かる通り、主にビジネスプロセスを自動化するための技術です。RPAはソフトウエアロボットまたはデジタルワーカーとして知られ、定型的で反復的なタスクを自動で実行します。これにより、人間が行う単調な作業を減らし、業務効率を向上させることが可能となります。RPAは決められたルール(RPAシナリオ)に従って動作し、変更には再設定が必要です。

【できること】

  • データ入力:システム間でのデータ転記や入力作業を自動化する
  • レポート作成:各種データベースから必要なデータを収集し、レポートや報告書にまとめる
  • 定型作業の自動化:請求処理、メール管理などプロセスが決まっている作業を、あらかじめ定められたプロセスに従って人間の代わりに行う

AIとRPAの活用までの流れを5つのステップで比較!

AIとRPAを活用するにあたって注目したいのが、その利用までのステップが異なるということです。AIはChatGPTなどすでに構築済みのサービスを直接あるいはAPI経由で利用するのが一般的ですが、RPAは担当者が作業を選定しティーチングするまでの一連の流れが必要となります。

これは、AIが自ら予測や推論を行う人工知能なのに対し、RPAは指示通りの動作をこなすソフトウエアロボットであるという違いに起因するものです。

とはいえ、AIモデルを作成するまでとRPAに定型作業をティーチングするまでの流れには似通った部分もあります。それぞれについて見てみましょう。

AI活用までの5ステップ

AIモデルの作成は下記の5ステップで行われます。

  1. データ収集:画像、テキストなど目的に沿った大量のデータセットを収集する
  2. データ前処理・加工:テキストや画像のトークン化やクレンジング、アノテーションなどを行い、データを学習に適した形に加工する
  3. モデルの構築と訓練:適切なアルゴリズムを選定し、データを学習させてAIモデルを訓練する
  4. モデルの評価と調整:テストデータを使ってモデルの精度を評価し、パラメータの調整やデータの修正を行う
  5. モデルの実行:モデルを実際の運用環境で実行し、活用する

RPA活用までの5ステップ

RPAのティーチングは下記の5ステップで行われます。

  1. プロセスの選定と分析:RPAを用いて自動化したい業務を選定・分析する
  2. プロセスの設計:具体的に自動化する作業を定め、RPAシナリオを作成する
  3. ボットの開発:実際にRPAソフトにシナリオをティーチングし、業務プロセスを実行するボットを開発する
  4. ボットの評価と調整:開発したボットが正しく動作するかテストし、必要に応じて修正する
  5. ボットの実行:本番環境にボットを活用する

ご覧の通り、モデル/ボットを構築し、テストを経てデプロイし、PDCAを回して改善するという流れは、AI、RPAの双方で共通しています。ただし、AIの場合はデータの量や前処理、アルゴリズムやパラメータの選定が重要なのに対し、RPAは定型化する業務の選定や無理のないシナリオの作成などが成果を左右するという点で異なります。また、AIモデルの構築ではAIや機械学習に関する専門知識が求められますが、多くのRPAは非IT人材の利用を想定して設計されており、業務担当者でも扱いやすいと考えられます。 それぞれの技術の特性を理解し、適切な場面で使い分けることで、業務の効率の最大化を目指しましょう。

AIとRPAの連携可能性は? 三つのパターンを解説

AIとRPAは、個々の技術としても強力ですが、これらを連携させることで、さらに高度な業務自動化と効率化を実現することができます。AIの柔軟性とRPAの定型業務の自動化能力を組み合わせることで、組織は下記の通りさまざまなプロセスの効率化が可能です。

【1】AIチャットボットをRPAで高度化

多様な問い合わせに対し、文脈に合わせた回答ができるということでAIをコールセンターの問い合わせ業務やチャットボットに活用しようという動きは多く見られます。そこにRPAを導入することで、問い合わせ内容に合わせて特定のデータを呼び出したり、問題発生時にアラートを出して人間のヘルプを求めたりといった運用が可能になります。

【2】RPAによるAIモデル開発の自動化

AIモデル開発の過程で生じる繰り返しの作業をRPAに代行させるというアイデアです。パラメータの調整~実行、データ収集までの流れを自動化することで、人間はより高度な知的作業に時間を割くことが可能になります。また、AIが映像を監視して異常チェックを行い、異常があった場合にRPAでレポートを自動作成するなど、実際のシステムの活用においてもAI×RPAは大きな効果を発揮します。

【3】RPA×AI-OCRが事務負担を大きく軽減

アナログの文字データをデジタルデータに変換するOCRは、AIと組み合わせることで精度を大きく高めつつあります。以前からRPA×OCRでデータの読み込みや転記、データの格納などのプロセスを自動化する事例は見られましたが、RPA×AI-OCRではさらに精度が向上し、手書き文字やフォーマットにばらつきのある文字もデジタル化し、事務負担を大きく軽減できると言われています。

AIとRPA、それぞれの特性を踏まえた業務効率化と連携を

AIとRPAの違いについて、実際に活用するという視点から解説しました。高度で柔軟なデータ解析と定型業務の自動化を組み合わせることで、多くのメリットが期待されます。それぞれの特性の違いを踏まえて、業務の自動化・効率化を進めていきましょう。

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