生成AIといえばChat GPTが特に有名ですが、昨今ではClaude(クロード)も注目されています。Claudeは一部の用途ではChat GPT以上の性能を発揮すると言われており、大きな話題となりました。そこで本記事では、注目の生成AIであるClaudeの特徴や、Chat GPTとの違いなどを解説します。
ClaudeはAIスタートアップのAnthropic(アンソロピック)社が開発した生成AIモデルです。同社はChat GPTを手掛けるOpenAI社の元社員が2021年に設立した企業であり、OpenAIの最大のライバルとも呼ばれています。Google、Salesforce、Amazonといった巨大テック企業から巨額の資金調達を行っていることも知られており、設立からわずか3年であるにもかかわらず、AI業界を牽引する存在です。
2024年3月には最新バージョンである「Claude3」が発表・公開されており、日本語を含む多言語に対応しています。当初はPCでしか利用できませんでしたが、現在はiOSアプリなどもリリース済みであり、注目度の高さも相まって利用者が急増している状況です。
ClaudeはChat GPTと同じくチャット形式の生成AIであり、読み込んだテキストや画像をもとに回答を返してくれます。Claudeの特徴として真っ先に挙げられるのが、文章生成能力の高さです。
従来のAIが生成する文章はやや機械的で読みにくい傾向にあり、それが原因で敬遠されることもありました。しかし、Claudeはまるで人間が書いたかのような自然な表現で文章を生成できるため、より実用的であると評価されています。さらに、Claudeは最大20万トークン(約350ページのテキスト)の読み込みが可能であり、インプットできる情報量がほかの生成AIよりも多いです。
ほかにも、ClaudeはAIの振る舞いにも特徴があります。具体的には、「Constitutional AI」と呼ばれる新しいアプローチを採用しており、AI自身が以下のような原理に基づいて自己規制できるように訓練されているのです。
「Constitutional AI」を採用した結果、Claudeはより有益かつ無害に振る舞うとされています。上述した文章生成能力の高さも相まって、AIが生成した文章をそのまま活用しやすい点がメリットといえるでしょう。
2024年5月時点でClaude3には三つのモデルがあり、最上位モデルである「Opus」はChat GPTの有料版と同じく20ドル/月で利用できます。「Opus」は生成AIの性能を測るいくつかのベンチマークテストでChat GPTを超えるスコアを記録しており、Chat GPTから乗り換えたという人も多いようです。しかし、すべての領域でClaude3がChat GPTを上回っているわけではありません。両者の違いを正確に理解した上で、自分の用途に合ったサービスを選択する必要があります。
例えば、難解かつ長文のテキストを多く扱う場合には、Claude3が適しています。上述した「Opus」は学術的ベンチマークでトップスコアを記録しており、読み込み可能なテキスト量も多いです。そのため、論文や学術書を読み込んだ上での要約・分析といった専門的な知識が求められる分野では、Claude3を活用するとよいでしょう。また、Claudeはプログラミングのコード生成も得意としており、目的に応じたシンプルかつ適切なコードを生成してくれます。
一方で、ClaudeよりもChat GPTの方が明確に優れている点も数多くあります。例えば、Claudeは2023年8月までのデータで訓練されており、それ以降に発生した情報について尋ねても回答を得ることはできません。しかし、Chat GPTの有料版にはWEB検索機能があり、インターネット上で最新情報にアクセスして回答できます。また、Claudeはテキストの生成しかできませんが、Chat GPTは画像生成にも対応しているほか、「GPTs」というカスタマイズ機能によって多種多様な使い方ができる点がメリットです。
AI関連の新しいサービスは次々に登場しており、目まぐるしい進化を遂げています。すでにChat GPTを活用しているという人は多いと思いますが、Claudeのように用途次第ではより優れたサービスがあるため、情報感度を高めておくことが重要です。Claudeは日本語の文章生成能力が高く、無料版もあるため、興味のある方は積極的に試してみてください。