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オーケストレーションとは? 単なる自動化と何が違うのか

レンテックインサイト編集部

オーケストレーションとは? 単なる自動化と何が違うのか

複数のクラウドサービス、オンプレミス環境を適材適所で使い分けるハイブリッドクラウド・マルチクラウドやコンテナ技術の普及拡大、ITインフラ・ネットワークの複雑化に伴い、オーケストレーションの重要性が高まっています。 とはいえ、まだまだその考え方になじみがなく、「どんなメリットがあるのか」「単なる自動化と何が違うのか」など疑問を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、「オーケストレーション」とは何か、単なる自動化とは何が違うのかなどの基本事項について、具体的なツールや利点にも触れながらご紹介します。

オーケストレーションとは“複数の異なるツール・IT環境の管理・監視を自動化すること”

IT用語における「オーケストレーション」は、アプリケーション、システム、コンテナ、クラウドサービスなど、複数の異なるツール・IT環境の管理・監視を自動化することを指します。

例えば、コンテナは仮想環境の立ち上げを容易にし、スピーディなDevOpsの実現を可能にしてくれますが、多くの仮想環境が立ち上がればその分管理の手間がかかるという問題があります(※1)。そこで、「Kubernetes」「Amazon ECS」のようなコンテナオーケストレーションツールを用いることで、コンテナごとの連携管理やデプロイ(本番環境への配置や実行など)、スケーリング・負荷分散などを自動で行わせることが可能になります。

また、クラウドの利点を十分に得るためにはデータ量に応じたリソース管理が欠かせません。プライベートクラウド・パブリッククラウドやオンプレミス環境を組み合わせた複雑なハイブリッドクラウド・マルチクラウドを実現するためには、「OpenStack」「AWS CloudFormation」といったクラウドオーケストレーションツールが用いられます。

もちろん、企業のITインフラ自体も複雑化が進んでいます。人的ミスや膨大な手間を削減しながら、システム管理・アップデート・保守に取り組む際には「Ansible」「Puppet」「Terraform」のようなオーケストレーション機能を持つIaC(Infrastructure as Code:ITインフラの構築・運用を、コードを用いて自動化するツール)がものをいうでしょう。

ほかにも、ゼロトラスト(※2)時代に注目を集める「SOAR(Security Orchestration, Analytics and Reporting:セキュリティのオーケストレーション・分析とレポーティング)」など、現代の複雑化するICT環境において、オーケストレーションは避けては通れないキーワードとなっています。

※1……コンテナ技術の仮想化との違いやメリットについて詳しくは『「仮想化」とは? コンテナとの違いとともに解説』をご参照ください。
※2……ゼロトラストセキュリティの意味や現代において必要とされる理由について詳しくは『ITセキュリティにおけるゼロトラストの価値と実践法』をご参照ください。

オーケストレーションと自動化の違いは?

ここまで述べてきたように、複数のツール・IT環境をまるでオーケストラの指揮者のように自在に操ることこそがオーケストレーションの特長であり、単一のタスク実行だけでなくそれぞれ連携ができるよう設計されています。一方で「自動化」とは、単一のタスクを自動で行うことを指しているため、事前に設計された通りにしか動作しません。

オーケストレーションはDevOps(システムにおける開発と運用の連携)やCI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery・deployment:継続的インテグレーション/継続的デリバリー・デプロイメント)の実現においても重要な概念です。

ソフトウエア開発のスピードと品質を高める「CI/CD」とは?』でも取り上げている通り、開発プロセスの効率化・平準化のために自動化の取り組みは欠かせません。ここでいう自動化は単一の業務ではなく、開発と運用の一体化を念頭に置いたオーケストレーションを指します。

総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会が令和4年6月21日に公開した『Beyond 5G に向けた情報通信技術戦略の在り方 報告書』では、Beyond 5G ネットワーク(≒6G)において、移動網、固定網、衛星網など分散化したネットワークをネットワークオーケストレーターで自動制御する構想が記載されています。

システム、ネットワークなどの複雑化が進み、安定かつ柔軟な制御が求められる中でオーケストレーションはますます重要性を高めていくでしょう。

オーケストレーションとは? 単なる自動化と何が違うのか 挿絵

オーケストレーションは「プロビジョニング」の自動化にも役立つ

オーケストレーションと関わりの深い概念に「プロビジョニング」があります。

プロビジョニングとは、例えばクラウドストレージにおいて必要となるデータ容量が増加した場合に備えて必要なリソースを確保しておくなど、サーバーやCPUを含め必要なITインフラを用意することを指します。オーケストレーションはプロビジョニングの自動化を可能にし、迅速かつ人的ミスを排除した形でコンテナやクラウドの最適化に取り組めると期待されています。

また、反対に一度行ったプロビジョニングの解除や、複数のサーバーに負荷を分散する「ロードバランシング」などにもオーケストレーションは貢献しています。

現在手動で行われているICT運用・管理を見直すことが、生産性向上につながる

インフラ、クラウド、コンテナ、セキュリティ、ネットワークなどあらゆるICT環境に関わる「オーケストレーション」のメリットや自動化との違い、具体的なツールなどについて解説してまいりました。生産性向上のための自動化の導入、高度化は必然的な流れであり、AIによりさらに機能が高まることも予想されています。今現在手動で行われている運用・管理がICT利用の最適化におけるボトルネックとなっていないか、一度検証してみてはいかがでしょうか。

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