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マシンビジョン/ロボットビジョンの構成要素と構築時の注目ポイント

レンテックインサイト編集部

Robot Insight マシンビジョン/ロボットビジョンの構成要素と構築時の注目ポイント

FA実現にあたって、ロボットの“眼”として欠かせない役割を果たすマシンビジョン/ロボットビジョン。ロボットアームによるピッキング、人間の眼では見えない傷や内部まで対象にした外観検査などその用途はさまざまです。用途に適したシステムを構築するにあたってはその構成要素を分解し、それぞれの特性を理解することが欠かせません。

マシンビジョン/ロボットビジョンの5つの構成要素とそれぞれの可能性について詳しく見ていきましょう。

マシンビジョン/ロボットビジョンの構成要素は5つ。カメラはどう選ぶ?

マシンビジョン/ロボットビジョンシステムは基本的に、以下の5つの要素で構成されます。

  • 1.カメラ
  • 2.照明
  • 3.産業用デジタルインターフェース
  • 4.PC
  • 5.ソフトウエア

入力部であるカメラは、フレームレート、解像度、シャッター速度、シャッター方式、アナログ/デジタル、カラー/白黒、エリア/ラインなど特に考慮すべき選択肢が多い項目です。

例えば、商品パッケージのラベル検査で、ラベルの位置が決まっている場合には、数百万画素、白黒のエリアカメラが候補となると考えられます。しかし、より大きなサイズのワークに対し均一な撮像が求められる場合はラインカメラを用いたり、小さなキズの検査では2000万画素以上の高解像度なカメラを用いたりすることになります。

近年は、ばら積み状態のワークのピッキングや、ワークの形状・高さを考慮した外観検査(詳しくは『3D外観検査機の仕組みと用途』をご覧ください。)の可能性を広げる3Dカメラが活用される事例も多く登場しています。

また、赤外線やX線、紫外線など人間には捉えられない波長の光を捉えられるのもマシンビジョン/ロボットビジョンの特性の一つ。光を波長ごとに分類するハイパースペクトルカメラでは、原材料レベルでのプラスチックの分別や食品・薬品の品質検査などが可能になります。

照明はカメラの性能を大きく左右する? 「汎用インターフェース」「産業用カメラインターフェース」の違いは?

いくらハイスペックなカメラを導入しても、十分な光量が得られていなかったり、光の当て方が間違っていたりすれば、目的の撮像を行うことはかないません。
近年主流となっているのは長寿命かつ波長の自由度が高いLEDです。同じ光でも、ワークの形状やサイズ、表面の特徴まで捉える必要があるのか、エッジをどの程度はっきりさせるべきかなどによってバックライト、バー、同軸、リング、ドームなど求められるLEDの型式は異なります。選定においてポイントとなるのが、光が均一に当たっていない、コントラストが不十分など活用時のネガティブリストをイメージとともに明らかにしておくことです。人間の眼とカメラでは映るワークの姿が全く異なる点を念頭に置いて、必要な情報を不足なく得るための道具として照明を選びましょう。

カメラで撮影した映像データをPCとやり取りするためのデジタルインターフェースは、PCに標準搭載の「汎用IF」か、産業用カメラインターフェースとして専門の「画像入力ボード」(フレームグラバやインターフェースカード)を用いることになります。
前者はイーサネット通信規格を利用する「GigE Vision」(GIgE=Giga bit Ethernet)と、USB3.0を利用する「USB3 Vision」に、後者は2000年に規格化され高い信頼性を誇る「Camera Link」と、大量データの高速・長距離転送に向けて策定された「CoaXPress」に分けられます。

汎用IFはPCに標準搭載されている分コストが抑えられ、速度面についても機能が高まりつつありますが、専用機器を用意することでPCの負荷を押さえながら複雑な制御を実現できるメリットも見逃せません。

また、汎用IFと画像入力ボードを併用することで機能を拡張する事例も多いです。

マシンビジョン/ロボットビジョンに用いるPCのスペック、ソフトウエア選びの条件

マシンビジョン/ロボットビジョンに用いるPCの構成やスペックは行わせたい処理の内容とシステムを構成するほかの要素との兼ね合いによって決まります。現場で書き換え可能な自由度の高さや電力効率の高さから、マシンビジョン/ロボットビジョンの画像処理で近年大きな存在感を発揮しているのが、FPGA(Field Programmable Gate Array)です。もちろん、柔軟性やコストの観点からVPU、GPUも存在感を失ってはいません。

マシンビジョン/ロボットビジョンの世界におけるソフトウエアは、OSSも含め、特定の用途に限っても数多くの選択肢が存在します。まずは代行させる作業のスコープや難易度、自社内でOpenCVなどを利用するためのプログラミングは行えるか、などの条件を明らかにしましょう。近年はGUIを活用し、プログラミングなしでAI外観検査システムを構築したケースも見られます。

構成要素ごとに検討すべきポイントはさらに細分化される

マシンビジョン/ロボットビジョンの構成要素を5つに分解し、それぞれで注意すべきポイントについて解説してまいりました。カメラであればシャッター、レンズ、撮像素子(CCD、CMOS)など、実際のプロジェクトでは検討すべき項目はさらに細分化することになります。すべてを理解することは難しくとも、本記事で紹介したような概要は押さえた上でシステム構築に臨みましょう。

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