DXと銘打つまでもなく、現代のオフィスワークにおいてPCは不可欠なツールです。しかし、そのスペックに満足している方は、果たしてどのくらいいるのでしょうか。
従業員の生産性に大きくかかわるPCの性能は不足なく整えたいが、決してコストが安いものではないためオーバースペックになることも回避したい。何らかの根拠をもとにPCの調達に取り組みたい。
そんな考えを抱く情報システム部門や、調達部門の方々は少なくないはずです。本記事では、2024年現在、法人向けPCに求められるスペックについて解説します。
法人向けPCに求められるスペックは、企業のニーズや業務内容によって異なります。しかし、Microsoft Officeによる文書・プレゼン資料作成や表計算、インターネットでの検索、ビデオ会議といった一般的な利用をイメージするならば、以下のようなスペックが2024年現在における一般的なラインとなるでしょう。
多くの企業では、ミドルレンジ以上のマルチコアプロセッサを搭載したPCが求められます。一般的なのは、Intel Core i5やi7、AMD Ryzen 5や7などです。これにより、オフィスワークやマルチタスク、データ処理が効率的に行えます。
最低でも8GBのRAMは必要ですが、可能であれば16GB以上を推奨します。ファイル容量の大きいExcelでのデータ管理や多くのアプリケーションを同時に開いて作業するマルチタスク環境などの場合は、さらに性能の高いメモリが求められることもあります。
SSD(ソリッドステートドライブ)が標準となっています。SSDは高速アクセスが可能で、PC全体の応答速度を向上させます。容量は使用目的によりますが、256GB以上が一般的です。クラウドストレージの利用が増えているため、ローカルのストレージ容量は以前ほど重視されなくなっています。とはいえ、ある程度オフラインでの作業や保存にも耐えうる容量は確保したいところです。
文書作成や表計算などの基本的な業務では、統合グラフィックスで十分ですが、画像や動画の編集処理が必要な業務を行う場合は、専用のグラフィックカード(NVIDIAやAMDの高性能モデル)が必要です。
作業の効率を上げるために、解像度が高いディスプレイ(フルHD以上)が推奨されます。また、ディスプレイサイズとしてはオフィスに据え置きタイプの場合で22インチ以上が推奨されます。またディスプレイを複数用意することが生産性に大きく貢献するケースは少なくありません。
これらのスペックは、業務の効率化と生産性の向上を目的として選ばれるべきで、企業の具体的な要件に応じて最適な構成を選択することが重要です。
テレワークやリモートワークを中心に、PCをオフィス以外の場所で利用する機会も以前に比べてぐっと増加しました。そこで特にモバイル・ノートPCで注意すべきポイントをご紹介します。
ノートPCの場合は、13.3インチ、15.6インチなど携帯性と見やすさのバランスを考慮してディスプレイサイズを選ぶことが推奨されます。また、重たいPCを長時間持ち運ぶのは負担となるため、2.0kgが一つの重量の目安となるでしょう。
USB Type-Aに加えて、USB3.2やThunderbolt 4対応のUSB Type-Cといった接続端子を持つことで、外部デバイスとの高速なデータ転送や充電が可能です。また、Wi-Fi 6や7、Bluetooth 5.0以上など、最新の無線通信技術に対応しているかどうかも重要です。
紛失や盗難といったリスクも高まる外出先でのPC利用では、データ漏えいを防ぐためのセキュリティ性能も求められます。具体的には、Windows11で必須となっているTPM2.0やバイオメトリック認証(指紋認証や顔認証)などが推奨される機能として挙げられます。
ここまで一般的な事務作業やデータ処理におけるパターンを想定してきましたが、実際のPC利用では、より高いスペックが求められる場合・戦略的にスペックを抑えられる場合の両方が存在します。 それぞれについて詳しく見ていきましょう。
CADやクリエイティブ作業の際は、ワークステーションと呼ばれる、高負荷作業のために開発されたPCを利用します。ワークステーションは、高解像度のグラフィックス作業に適した高性能GPUが必須です。また、大量のデータを扱うため大容量RAM(32GB以上推奨)と高速なCPUが求められます。SSDの使用はデータの読み書き速度を向上させ、全体的なパフォーマンスを改善します。こちらも最低256GB、できれば512GB以上の容量が推奨されます。
機械学習・AI開発用のPCもGPUの性能が重要で、NVIDIA RTXやAMD Radeonなど、AI開発や機械学習に向けて高性能GPUの需要は高まりつづけています。また、データセットのサイズに応じて十分なストレージ容量と速度(NVMe SSDなど)を確保することも大切です。
シンクライアントシステムでは、処理の多くはサーバー側で行われるため、PC自体のスペックは比較的低くても問題ありません。ただし、ネットワーク接続の信頼性と速度が非常に重要です。そのため、有線や、データ通信量や安定性、セキュリティの面で信頼のおけるWifiルーターとセットで活用することを前提とすべきでしょう。
シンクライアントシステムについて基礎から押さえたいという方は『シンクライアントのメリットと実現のポイント クラウドとの違いは?』をぜひご参照ください。
2024年現在、法人向けPCに求められるスペックについて解説してまいりました。PCのスペックや用途は日進月歩で変化しているため、これはあくまで記事を執筆した2024年7月末時点の情報ですが、これからIT活用やPCのリプレースに力を入れるにあたって参考になる部分もあるはずです。
またPCの調達において、レンタル・リースなど購入以外の選択肢には、イニシャルコストが抑えられる、スペックの整った機器を調達しやすいといったメリットが存在します。法人向けPCレンタルのお悩みはぜひ、オリックス・レンテックにご相談ください。