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業務改善に役立つ、製造業におけるkintoneの活用事例

レンテックインサイト編集部

業務改善に役立つ、製造業におけるkintoneの活用事例

業務効率化、データ活用、ペーパーレスなど、DXで取り組みたい課題は多岐にわたります。そこで導入されることが多いのが、クラウドで提供される業務改善プラットフォームサービスです。その中でも、導入事例が多い国産サービスの一つに「kintone(キントーン)」があります。
本記事では、「kintone」のような業務改善プラットフォームがなぜDXにおいて重要なのかを解説し、その活用事例・活用アドバイスをご紹介します。

業務改善プラットフォームの実用性──kintoneとは何か

業務改善プラットフォームとは、通達、文書管理、各種申請など企業の日常業務を円滑に進めるための「土台(プラットフォーム)」となることに特化したソフトウエアを指します。

なぜDXの推進において業務改善プラットフォームが重要となるのでしょうか?

その理由の一つに、“情報システム部門に限定されない全社的な取り組み”がDXで本当の成果を出すにあたって重要だということがあります。

例えば、「IT人材白書2020」(IPA)によると、「業務の効率化による生産性の向上」という指標において「成果あり」という回答が寄せられた割合は、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」企業で71.6%なのに対し、「全社戦略に基づき、一部部門においてDXに取り組んでいる」企業では40.0%、「部署ごとに独自、個別にDXに取り組んでいる」企業では27.0%でした。 さらに、「既存製品・サービスの高付加価値化」「既存製品・サービスの高付加価値化」などそのほかの指標でも、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」企業で明らかに「成果あり」の割合が高くなっています。

ここから導き出されるのが、ICTによる業務改善をばらばらのツールで個別に進めるのではなく、土台 = プラットフォームと全社戦略を用意した上で取り組むことがDXにおいて重要という仮説です。

今回取り上げるkintoneはテンプレートの活用やドラッグ&ドロップによる操作で簡単に目的に合わせたアプリを開発できるノーコードツールであり、社内のデータ管理やコミュニケーションに役立つアプリをシンプルな操作で実現できるのが魅力です。

※「ノーコード」の意味や魅力について詳しくは、「足元からの製造業DXに大きく貢献する「ノーコード・ローコード」とは? 」をご一読ください。

ここからは、具体的にkintoneの製造業における活用事例を見ていきましょう。

三つの活用事例で知るkintoneでできること

【1】社内書類を一元管理するとともに、システム連携によるデータフローを確立する

受発注書、請求書、仕様書、図面、BOMといった社内の書類の一元管理を、サンプルアプリ(アプリのひな型)を追加しながら進めるのが、kintoneの活用事例の一つです。例えば、kintoneをWebフォームと連携させ、受発注情報を自動登録し、そのままアプリ内で帳票システムに内容を転記。仕様書の変更など営業と現場のコミュニケーションもkintone上で行う、といった活用事例がみられます。 さまざまな書類を都度やりとりしなければならない機会の多い製造業では特に、業務効率化の効果が期待できます。

【2】重要な情報を見える化し、レポーティングまで一気通貫で行う

売り上げの詳細、プロジェクトごとの担当者・部署情報やワークフロー、外部企業も含めたステークホルダーとのつながり、顧客情報などを可視化し、グラフや表といった形でレポーティングする、といった使い方もkintoneではポピュラーです。CMSや製品リストと連携させて、問い合わせの傾向を分析したり、定期レポート機能により成果の共有を自動化したり、といったケースもよくみられます。

【3】社内外のコミュニケーションを円滑化する

営業と現場、部署間、といった社内のコミュニケーションを円滑にする機能がkintoneをはじめとするグループウエアには備わっています。また、kintoneで作成したページを外部公開するための『kViewer』や、フォームを作成するための『FormBridge』などの連携ツールを用いて、実用性の高いアプリケーションを数日など短期間で制作した例もあります。

データの集約・管理に加え、収集や公開までノーコードで誰でも行える状態は、ICT活用企業の一つのマイルストーンです。

kintoneはその他のツールとの連携がカギに

kintoneのような業務改善プラットフォームの活用においてカギとなるのが、「連携」というキーワードです。 前述の活用事例の中で触れた『kViewer』『FormBridge』のほかにも、帳票作成用の『プリントクリエイター』、メール配信を自動化する『kMailer』など専用の連携サービスは数多く用意されており、活用事例も多く見られます。

また、『サイボウズOffice』『Garoon』などほかのサイボウズ社製品、あるいは『Google Workspace』『Microsoft Teams』といった、組織内のコミュニケーションや仕事の基盤としての機能を備えたグループウエア、基幹システムとの連携により、通知設定やマスターデータの利用が可能になります。

例えば、『令和2年度自治体行政スマートプロジェクト 』(総務省)では、福島県の一部エリアにおいて行政専用ネットワークである『LGWAN』とkintone、FormBridgeなどを組み合わせた業務プロセス改善を行った実証実験の事例が報告されています。

製造業の事例ではないものの、kintoneと他ツールの連携イメージが成果とともに分かりやすくまとめられた事例といえます。

業務改善プラットフォームは、データ分析・活用の第一歩となる

DXで成果を出すための基盤としての業務改善プラットフォーム──その一つであるkintoneの活用事例について解説しました。『令和2年版情報通信白書 』(総務省)によると、業務領域のいずれかでデータを活用している企業の割合は大企業では90.9%に達していますが、中小企業では55.6%に留まっています。そして、同資料では中小企業においてデータ分析を専門としている人材が不足していることが指摘されています。
例えば中小企業がこれからデータ分析、データ活用の基盤を設けるにあたって、業務改善プラットフォームの導入は適用範囲が広く、開始までのハードルの低い施策として、効果的な第一歩となりえるでしょう。

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