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EMCとは?なぜDX時代に重要とされているのか?

レンテックインサイト編集部

EMCとは?なぜDX時代に重要とされているのか?

EV・PHVなどの電動化やIoTデバイスによる無線通信、ドローンや自動運転の普及に伴い、我々の電磁環境は年々複雑化しています。それに伴い重要性を高め続けているのがEMC(ElectroMagnetic Compatibility:電磁両立性)。本記事では、EMIとEMSの違いやEMCが今重要とされる理由、EMCエンジニア・EMC設計の需要などについて解説します。

EMCとは? EMIとEMSは何が違う?

EMCとは、電磁エネルギーを利用するにあたって発生するノイズ(電磁ノイズ)を制御するために機器・システムに求められる性能であり、EMI(エミッション)とEMS(イミュニティ)で構成されます。

EMI、EMSそれぞれの違いは以下の通り。

  • EMI(エミッション):電磁エネルギーを利用する機器から周囲に対し電磁ノイズがおよぼす信号の乱れや受信障害といった問題のこと。ElectroMagnetic Interference(電磁障害)の略。
  • EMS(イミュニティ):機器やシステムが電磁ノイズによる干渉に対し、誤作動や性能の低下を発生させず正常に作動する耐性能力のこと。ElectroMagnetic Susceptibility(電磁感受性)の略。

EMIは機器やシステムが発する電磁ノイズの問題、EMSは反対に機器やシステムが受ける電磁ノイズに対する耐性であり、その両方を包括するのがEMCというわけですね。

EMCは「伝導妨害エミッション試験」「放射妨害エミッション試験」「静電気放電イミュニティ試験」など、EMC規格・製品ごとに定められた“EMC試験”によって測定されることになります。その試験内容やEMC規格について詳しくは、『EMC試験とは何か?試験が必要な理由と代表的な試験内容について解説』をご参照ください。

EV、IoTなどDXの進展する中、EMCの重要性はかつてなく高まる

現代は、EMCの重要性がかつてなく高まった時代といえます。その理由は、通信ネットワークの普及・高周波化や電動化の進展により電磁ノイズの発生環境が複雑化したこと、自動運転に代表されるデジタル制御の進展により、電磁ノイズによるインシデント発生時の被害規模や範囲も拡大したこと、それを受け各国でEMC規格が整備されてきたことなど、EMI・EMSの双方にまたがって存在します。

例えば、EV/PHV開発やCASE(コネクテッド・自動運転・シェア・電動化)の進展にあたって、EMCは欠かせない要素です。パワーエレクトロニクス機器の充電やスイッチング時のEMIは特に注目を集める分野であり、JIS C 4431やCISPR12・CISPR25などの規格が定められています。また、電子制御の要であるECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)やコネクテッドカーのEMSにあたっては、ISO 11451・ISO 11452といった規格が設けられています。また、それらを参考に国際連合発行の自動車用国際規格であるECE R10も発行されています。

5G環境の普及により、ますます広い周波数帯で、多くの機器が通信することが予想される中で、やはりEMI・EMSの両面でEMCの実現が求められています。 IEC 61000では電子機器のEMC規格について定められており、電磁環境が複雑化する中で生体EMCの研究も進められています。

EMCエンジニアの需要と「EMC設計」

EMCの市場規模が拡大する中で、EMCエンジニアの活躍の場も広がっています。EMCエンジニアはEMC試験・EMC対策の専門家であり、電波暗室やシールドルーム、オープンサイトといったEMC試験所やメーカーに勤務します。別分野のエンジニアがEMC技術を身に付けて対応する場合もありますが、EMCと熱対策の両立や、落雷時のサージ対策など、総合的なEMC対策にも知見の深い即戦力のスペシャリストに対する需要は高いです。

また、エンジニアリングの時点で電磁ノイズ対策を施す「EMC設計」の重要性も広く知られるようになり、EMC設計技術者資格などの資格試験に挑戦する方も存在します。EMC設計の実現にあたって、3DプリンターやAIを活用したトポロジー最適化を活用する研究も進められています。

EMCはビジネスの観点からも安全性の観点からも欠かせない

エレクトロニクス技術やDXの進展に伴い、重要性を高めるEMCについて解説してまいりました。EMCは、米国のFCC認証やEUのEMC指令、中国のCCC認証をクリアし、グローバルに製品を適合させるために必要なだけでなく、リコールや重大な事故といった避けるべき事態の対策としても重要です。エンジニアリングの段階から、必要以上に発せず受け取らない電磁ノイズ対策を実現していきましょう。

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