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DX時代のデータマネジメントを支援するPIMやDAM、CMSの違いとは?

レンテックインサイト編集部

DX時代、「データマネジメント」の重要性が高まっています。越境ECの増加などの影響によるグローバル化の進展、サプライチェーンの複雑化、「少品種大量生産」から「多品種少量生産・変種変量生産」へのニーズ移行などを背景に、ものづくり企業が扱う情報量は増大しており、情報の保存・管理・連携の仕組みを整えることは、全企業の課題といえます。

本記事では、PIM、DAM、CMS、ECM……などデータマネジメントにかかわるソリューションそれぞれの特性と違いを分かりやすくまとめてご紹介します。

PIM・PDM・PLMの違いは“「Product」の捉え方と扱う期間”

まずご紹介したいのが、「P(Product)」を名前に含む三つのシステムです。「商品」と「製品」などそれぞれの訳の違いにも注目して理解を深めていきましょう。

PIM(Product Information Management :商品情報管理)

PIMのProductは「商品」と訳されることが多く、ことからも分かる通り、マーケティング寄りのデータマネジメントソリューションであり、製品スペックや製品画像などの仕様情報に加え、商品説明文、キャッチコピー、取扱説明書といった販売に必要な情報を管理します。製品の数・種別や販売チャネルなど多角化・複雑化が進んだ現代において、PIMによる検索やバージョン管理は重宝されています。

PDM(Product Data Management:製品データ管理)

PDMのProductは「製品」と訳されることが多いです。その違いは、PDMは在庫情報やBOM、仕様書など、販売によらない製品自体のマスターデータを管理するということにあります。PIMは、より販売・マーケティングに主眼を置き、PDMやERP(Enterprise Resources Planning:統合基幹業務システム)から取得した情報を統合して利用します。

ERPについて詳しくは『ERP(統合基幹業務システム)とは? 用途やメリット、導入の注意点を解説』をご参照ください。

PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクルマネジメント)

PLMのProductは「製品」と訳されることが多く、設計~製造、販売、廃棄に至るまでの製品ライフサイクルを一気通貫した製品情報を管理します。PIMやPDMは製品ライフサイクルを形成するソリューションの一つであり、PLMと連携することでより長いスパンでの製品管理につながります。

DAM・CMS・DMSは何を管理するのか?

次にPIMとの違いがいまいち分かりにくいという声も耳にする「DAM」。それに加え、Webマーケティングの比重の高まりや電子帳簿管理といった文脈で最近耳にすることの多い「CMS」「DMS」の定義・違いを押さえましょう。

DAM(Digital Asset Management:デジタル資産管理)

DAMが取り扱うのは、テキスト、写真、動画など企業の保有するデジタル資産(Digital Asset)すべてです。もともとマーケティング・販売の領域で使われることの多かった用語であり、「PIM/DAM」と両者を兼ねるソリューションも多いため、両者は混同されがちです。

DAMはPIMの扱う製品情報のうち、デジタルの情報に関して形式を問わず扱います。PIMの情報と関連付けて、クリエイティブ・マーケティングチームがDAMを利用しデジタルコンテンツを管理するといった使い方が一般的です。

CMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)

DAMと同じくデジタルの情報を管理するツールの中でCMSがあります。CMSを理解する上で注目したいのが、「管理システム(Management System)」といったように、「システム」と名付けられていることです。ウェブサイトに掲載されるコンテンツすべてを管理し、投稿や更新、管理を容易に行うことを可能にするのがCMSであり、動的CMSに代表されるように、コンテンツの発信・マーケティングの実践の自由度を高めます。

DMS(Document Management System:文書管理システム)

その名の通り「文書(Document)」全般を扱うのがDMSです。仕様書、契約書、設計図面などを分類・検索・管理することを可能にし、電子帳簿保存法改正の影響もあり、近年耳にする機会が増えました。書類の管理だけでなく、スキャン、OCRなどの機能も連携していることが多いです。

MDM・DXP・ECM……データマネジメントの統合・包括にかかわるシステム

PIMやDAM、CMSなど個別のソリューションの違いについてここまで解説してまいりました。今では、市場の成熟が進んだ結果、MDM・DXP・ECMなど、より包括的な視点を持つツールも多くリリースされています。

MDM(Master Data Management:マスターデータ管理)

MDMは「マスターデータ(業務で扱う基本データ全般)」の管理およびそのためのソリューションを意味します。MDMは「製品」「販売」「顧客関係」「会計」などすべての領域のデータを統合管理することに特性があり、その点においてはERPと満たすニーズの方向性が共通しています。ただし、ERPは経営資源全般の管理プラットフォームであるのに対し、MDMはマスターデータの管理に特化しているという点で区別できるでしょう。

DXP(Digital Experience Platform:デジタル体験プラットフォーム)

DXPは、デジタル上で生じる顧客やステークホルダーの体験すべてを管理・運用するための統合プラットフォームです。CMSやDAM、MA(Marketing Automation:マーケティング自動化)ツールなどデジタル上の販売・マーケティングにかかわるソリューションを包含する意味で利用されます。
その点を踏まえ、DXPに含まれるアセット管理、データ分析などの機能を分解してとらえることが、活用イメージの具体化につながるでしょう。

ECM(Enterprise Content Management:エンタープライズコンテンツ管理)

ECMは前述のDMSを包括する概念であり、文書に限らず、動画、音声、画像など、非構造化データも含めた社内のあらゆるコンテンツの管理を実現します。ビッグデータ時代のデータ分析の源泉となるデータレイクの構築にもECMは大きく寄与します。

「データレイク」について詳しくは『データウエアハウス(DWH)、データレイク、データマートは何が違うのか』をご参照ください。

ツールの分別が、過不足のない導入と適切な運用を可能にする

データマネジメントを支援するさまざまなソリューションの違いについてまとめてまいりました。たとえ統合的なプラットフォームであっても「この機能の役割はPIM? それともDAM?」と理解して使い分けることが、過不足のない導入と適切な運用にはかかせません。

分かりづらい“アルファベット3文字”を「意味」に変換して、理解を深めていきましょう。

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