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クラウド、5G時代のデータセンターのあり方を考える

レンテックインサイト編集部

DXの進展や5G時代への移行を背景に、ビジネス領域のデータ通信量(トラフィック)が拡大し続けています。5G時代のデジタルインフラ整備に向けて、データセンター(DC)の拡張や移行、建設に目を向ける事業者や情報システム担当者の方々は少なくないのではないでしょうか?
クラウド、5G時代のデータセンターのトレンドや移行のコツについて、本記事で押さえていきましょう。

5G時代のデータセンターのキーワードは「クラウド」と「エッジ」

データセンターとは、サーバー、ネットワーク機器、電源設備、空調設備などを備えた、企業の重要資産たるデータの管理および運用に特化した設備です。

近年のデータセンター事情に大きな影響をおよぼしているのは、やはり「クラウド」の普及です。データセンターを自社保有するオンプレミス、SIerやDC事業者が提供するホスティング、ハウジングといった利用形態と比較して、IaaS、PaaS、SaaSなどクラウドの勢力が強まっています(各クラウドの利用形態について詳しくは『いまさら聞けないクラウドの基本 パッケージ・オンプレミス・SaaS・ASP……それぞれの違いとは?』をご参照ください)。

下記、総務省『通信利用動向調査』掲載のグラフの通り、クラウドサービスを利用する企業の割合は令和3年時点で7割を超えています。



クラウドとともに注目を集めるのが「エッジデータセンター」「マイクロデータセンター」と称される、工場や事業所など利用者の近くに設置される小型のデータセンターの役割です。サーバーラックがそびえたち大量のデータを管理運用するハイパースケールデータセンターと、設備や機器の近くで必要なデータだけを取得し、効率的なデータ運用につながるエッジデータセンターをハイブリッドで運用することで、適材適所のデータ利用を実現するというわけです。

このようにオンプレミス、クラウドの二者択一ではなく、両者の適材適所を探るフェーズに企業のデータセンター利用のトレンドは移行しています。

データセンター移行は一気に進めなくても良い

この“二者択一ではない”という視点から、レガシーデータセンターの移行について考えてみましょう。

従来、複雑に構築されたオンプレミス環境を移行するコストや手間、またセキュリティやガバナンスへの不安が、レガシーシステムを利用し続ける理由となっていました。しかし、DCサービスの進化や認識の広がり、AI、IoT、5Gなどを活用した新たなシステムを構築しなければならないという危機感が、データセンターのクラウド移行の追い風となっています。

とはいえ、従来のデータセンターの可用性や機密性に見合ったクラウド環境が見出せない場合もあります。そのため、システムの特性に合わせて「ハイブリッドクラウド(クラウドとオンプレミス、ホスティングなど各種データセンター形態の組み合わせ)」を選択する企業も少なくありません。

世界最大規模のデータ流通を取り扱うGoogleは「調査→計画→実行→最適化」の4段階でのクラウド移行を提案しており、容易に対処できる個所から徐々に移行を進めることをGoogle Cloud blogで推奨しています。

ハイブリッドクラウドや計画的な移行のポイントとなるのが、各インフラの適切なモニタリングです。そのため、DCIM(Data Center Infrastructure Management:データセンターインフラ管理)システム市場にも成長が見られます。

今後予想される、データセンターの「地方分散」

政府プロジェクトの視点からデータセンター構築のトレンドを見据えると、「地方分散」というキーワードが浮かび上がってきます。

国内のデータセンターの立地は8割が東京・大阪の大都市圏に偏っています。そこで懸念されるのが災害リスクです。データセンターには別拠点で貴重な情報資産を管理することで、速やかな事業復旧を可能にするというBCPにおける意義もありますが、これでは本末転倒です。

政府は地方のデータセンター設置候補地78カ所を公表するとともに、500億円規模のデジタルインフラ整備基金を造成するなどと、具体的な方針を打ち出してデータセンターの地方分散に乗り出しています。

現在大規模なデータセンターの多くが大都市圏に設置されている状況ですが、今後地方分散が進むということを踏まえて自社のリスク管理につながるデータセンター計画を進めたいところです。

“分散”は、クラウド、5G時代のデータセンターのキーワード

クラウド・5Gとデータの量が肥大化するとともに重要性も高まる時代に、押さえるべきデータセンターのあり方についてご紹介してきました。クラウド/オンプレミス、SaaS/ホスティング/ハウジング、首都圏/地方など、さまざまなレイヤーで検討すべき事項がありますが、いずれかに集中するのではなく分散させることが適材適所やリスク回避につながります。

ぜひご紹介したトレンドを踏まえた、最適なデータ環境の構築にご活用ください。

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