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IoT時代に見直したいTPM活動の基本

レンテックインサイト編集部

製造業で働く中で「TPM」について見聞きしたことがある方は多いでしょう。設備・機器の状態を常にモニタリングできるIoT時代、予知保全の可能性が広がったからこそ、TPMの役割が見直されています。
本記事では、生産部門や保全部門だけでなく、設計、管理、営業、事務など全部門に伝わるよう、TPMの基本とIoT時代の役割についてご紹介します。

TPMは「全員参加」でロスゼロを目指す

TPM(Total Productive Maintenance・Total Productive Management:全員参加の生産保全・全員参加の生産経営)は、1971年に社団法人日本プラントメンテナンス協会(2012年に公益社団法人化)によってまとめられた保全活動のフレームワークです。「全員参加」と名付けられている通り、管理間接部門も含めた従業員全員がTPM活動の実践者となります。

TPMでは保全活動を「全きを保つ=ロスゼロ」として定義します。製品の不良や設備の故障、工程の遅れといったロスは、開発設計段階の対策不足や、顧客とのコミュニケーション不足、調達の遅れなどにより生じることも少なくありません。そこで必然的に、TPMの対象はものづくりに関わる全従業員となるのです。

また、人材育成という観点からもTPMが社内全体に周知される意味はあります。工場やバックオフィスのあるべきイメージを共有し、そのために何をすべきかを知るためのツールとしてTPMは長年活用されてきました。トヨタ生産方式(TPS)と合わせて従業員教育に用いられることも多いです。

設備稼働効率と16大ロスを結び付けて考えよう

ロスゼロを目指すTPMにおいて、企業の生産効率を低下させる要因として以下の「16大ロス」が定義されています。

【設備の効率化阻害の8大ロス】

1.故障:設備の故障によるロス
2.段取り・調整:製品の品種替えに伴い、良品ができるまでに発生するロス
3.刃具交換:刃具の交換に伴うロス
4.立ち上がり:設備立ち上げ時、良品ができるまでに発生するロス
5.速度低下:設備のスピードの遅さによるロス
6.チョコ停(空転):ちょっとしたトラブルによる生産停止のロス
7.不良・手直し:不良品の発生とその手直しによるロス
8.SD(シャットダウン):設備の計画的休止により生じるロス

【人の効率化阻害の5大ロス】

9.管理:故障修理や指示などを待機することで生じるロス
10.動作:レイアウトや作業方法の問題によるロス
11.編成:ライン編成の問題によるロス
12.自動化置換:自動化可能な業務を人の手で行うことによるロス
13.測定調整:不良防止のための測定や調整で生じるロス

【原単位の効率化阻害の3大ロス】

14.歩留まり:製品になれなかった材料のロス
15.エネルギー:製造工程で必要となるエネルギーのロス
16.型・治工具:生産にあたって必要になる型や治工具のロス

ISO22400で定義されているOEE(設備稼働効率:時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率)が目標に対して十分でない場合、16大ロスのいずれかが発生していると考えられます。生産管理の第一歩として、16大ロスそれぞれの影響度と具体的な内容を計測・文書化することが挙げられます。
IoTを活用した予知保全に取り組むにあたって、16大ロスのそれぞれをいかに具体的な指標と結び付け、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定するかがポイントとなるでしょう。

TPM活動の8本柱と中小企業向けの「C-TPM」

TPM活動は全部で8本の柱によって支えられる活動と定義されます。16大ロスが生産効率を低下させる要因を16個網羅したものだとすると、8本柱はロスを減らすための活動を8つの分野で網羅したものです。

【1】個別改善:個別の設備ごとのロスの調査と効率化
【2】自主保全:設備を利用する全員による自主的な保全活動
【3】計画保全:設備の点検や復元を踏まえた長期的な保全活動
【4】品質保全:不良ロスに主眼を置いた、良品率向上活動
【5】製品設備開発管理:製品・設備の開発設計段階におけるロス削減
【6】教育訓練:人の効率化阻害防止やTPMの浸透を目的とした従業員教育
【7】管理間接:管理間接部門へのTPM活動の応用と生産・保全部門の支援
【8】安全・衛生・環境:インシデント・公害・労災などをゼロにするための保全活動

このほかにも「自主保全の7ステップ」「品質保全の8の字展開」など、保全活動の分野・取り組みを具体的に網羅し分類する言葉がTPMでは多く出てきます。一見ややこしく感じられますが、具体的に数えられる形で要素を分解することで、実際に取り組む際に何から手をつけていいかは格段に考えやすくなるはずです。

また、「そこまでの活動は網羅しきれない」という事業者向けに、10~50人規模の企業を対象としたC-TPM(Compact-TPM)も開発されています。

TPMの最新事情を取り入れ、保全活動のアップデートを

TPMは時代に合わせてアップデートされており、現在は第5世代~第6世代が最新にあたると言われています。そのため、すでに社内活動として実践済みという場合も、最新事情に即しているか確かめてみることをおすすめします。成果が意識されにくかった保全活動も、現在はデータとして可視化できる時代です。そのため、最新事情を取り入れることが「全員参加」の機運を高めることにもつながりやすいでしょう。

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