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ドローン計測の現在と未来

レンテックインサイト編集部

ドローン計測の現在と未来

ドローンはその優れた機動性によって、計測・測量の分野における活用事例が年々増えています。すでにドローンは欠かせない存在になっていますが、将来的にはどのような活用方法が想定されているのでしょうか。本記事では、2025年現在のドローン計測の現状と今後の展望について解説いたします。

ドローンによる計測・測量とは?

ドローンによる計測・測量とは、カメラやLiDARなどのセンサを搭載した無人航空機を上空に飛ばして地形や構造物などを測定する手法を指します。高性能なドローンであれば、撮影した映像やレーザースキャンのデータをもとに詳細な3Dモデルを作成することも可能です。

従来は人が現場に立ち入って機材を設置しながら、時間と手間をかけて計測・測量を行うケースがほとんどでした。しかし、ドローンを活用することで、短時間で広範囲を計測・測量できるようになり、作業時間と人件費を大幅に削減できます。また、危険な現場に人が立ち入る必要がなくなるため、安全性が向上する点も大きなメリットです。このような理由から、ドローンによる計測・測量は近年で積極的に導入されています。

ドローン計測の現在の活用事例

ここでは、計測・測量分野における2025年現在のドローン活用事例をご紹介します。

建築・土木

建築現場や土木工事では、計画段階から施工管理、完成後のメンテナンスに至るまで、ドローンによる計測技術が活用されています。たとえば土木工事前の事前調査では、ドローンを飛ばして地形を上空から正確に把握することで、工事する範囲や必要な資材などを算出しやすくなります。また、施工中は定期的にドローンによる空撮を実施し、進捗状況や作業の安全性をチェックするといった使い方も増えているようです。橋や高層ビルなどの高所点検もドローンを活用すれば足場の設置や高所作業車の手配が不要になるため、メンテナンスにかかるコストや労力を削減できます。

農業

農業分野では、ドローンに搭載したマルチスペクトルカメラでほ場を撮影して農作物の生育状況や土壌の肥沃度を把握したり、病害虫や雑草の発生などを早期に検知したりするスマート農業が注目されています。農薬散布にもドローンがよく活用されていますが、事前に病害虫や雑草の発生場所を把握してピンポイントに散布することで、農薬の使用量を削減可能です。これにより、作物の品質を向上させると同時に、環境負荷の低減にも貢献しています。

環境・防災

自然環境の調査や災害の被害を把握する際にも、ドローンによる計測が欠かせないものとなっています。山間部や河川流域における森林の保全調査や、土砂崩れの発生率を評価するための地形測量など、地上からの調査では難しかったエリアの情報を詳細に取得できる点がドローンの大きなメリットといえます。また、災害発生時には小回りがきくドローンを活用することで、被災地のマップを迅速に作成でき、救助活動や復旧計画の策定をスムーズに進めることも可能です。

インフラ点検

橋梁やトンネル、風力発電施設といったインフラの点検においても、ドローンによる計測技術が活用されています。特に、高所や狭所などの人の立ち入りが困難な場所では、ドローンの機動性が最大限に生かされています。昨今では、赤外線センサや超音波センサなどを組み合わせることで、コンクリート内部の異常や鋼材の腐食を検知する技術も実用化が進みつつある状況です。インフラの老朽化が社会問題となっている今、点検作業の効率化や高精度化によって迅速なメンテナンスや補修計画の立案が可能になると期待されています。

ドローン計測の現在と未来 挿絵

ドローン計測の今後の展望

ドローンによる計測は今後さらに高度化していくと予想されていますが、特にAIを組み合わせた画像解析技術が飛躍的な進化を遂げています。高精細な画像や3D点群データをAIが自動で解析することで、従来は人の感覚や経験に頼っていた計測結果の分析が効率化されるでしょう。AIの活用は、ヒューマンエラーの削減や高精度化にも貢献すると考えられています。

また、2022年に解禁された「レベル4」(有人地帯での補助者なしの目視外飛行)でのドローン運用が広がるのに加えて、バッテリーの技術革新によって長時間・長距離の連続飛行が実現すれば、より広範なエリアの計測や巡回点検が可能になります。これによって、遠隔地に設置されている風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー設備のモニタリングや、広域森林の保護・管理といった用途がさらに増えていくと予想されています。

ドローンが活躍する社会が近づいている

ドローンはその技術の進歩によって、計測・測量の分野で今後も欠かせない存在となっていくでしょう。また、ドローンを使った配送や災害救助、エンターテインメントショーなど、ドローンを目にする機会はますます増えていくと考えられます。ドローンが今まで以上に活躍する社会が、すぐそこまで迫っているのかもしれません。

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