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ロボットハンドで使われる触覚センサーとは

レンテックインサイト編集部

Robot Insight ロボットハンドで使われる触覚センサーとは

本記事ではロボットハンドが物を正確につかむための触覚センサーについて、基本的な情報、歴史や種類を解説します。

工場の省人化やコスト削減のために、ロボットの導入が進むことが予想されています。その中でロボットがつかむ対象は、硬いものだけでなく食品などの崩れやすいものややわらかいものにまで広がり、ますます高度な技術が必要とされています。

触感センサーとロボット

ロボットのつかむ動作は「触覚センサー」によって実現されています。ロボットがつかんだ物の荷重やすべり、圧力分布などを触覚センサーで検出し、それをもとにロボットが対象物を正確に把持できるようにコントロールします。

近年では物体表面の凹凸などを検知させ、視覚情報と触覚センサーの情報を合わせて制御することで、従来ではつかめなかった対象物にもロボットが適応できるようになるなど、ロボットの活用範囲が広がっています。

触感センサーの歴史

1980年代に接触面積の広さで電気抵抗を変化させる電気抵抗方式や、ひずみゲージを用いた方式など複数の方式の触覚センサーが登場しました。

中でも代表的な方法は「感圧導電ゴム方式」です。ロボットハンドに使われるシリコンゴムに導電性の粒子を拡散させて、荷重がかかると電流が流れて接触を検知する方法です。

2000年代の中盤には、カメラと画像処理を用いた光学方式の触覚センサーが登場しました。センサーの構造がシンプルになるほか、電気配線も減らせるなどの利点があります。カメラの登場により、今後は画像処理を扱うソフトウエア技術の進歩が、触覚センサー発展のキーになってくることが予想されています。

触感センサーの種類

触感センサーでは物をつかんだ状態を電気信号に変換する技術が用いられます。大きく分けて「近接覚センサー」、「力覚センサー」、「すべり覚センサー」の三つの方法があり、その中にもさらに細かく違いがあります。ここではそれらの方式の特徴や違いを解説します。

近接覚センサー

近接覚センサーは物体の表面に触れる前に検出をするセンサーです。そのため比較的近距離で使用されることが多く、それぞれの方式の違いから3タイプに分けられています。

●超音波反射式
物体に当てた超音波が返ってくる時間で距離を検出する方式。透明体でも検出可能で一般的な方式として使用されている。

●光反射式
物体に光を当てて反射時間や輝度により距離を検出する方式。周囲環境による外乱を受けやすいが、応答性の速さが特徴。

●静電容量式
センサー周囲に発生させた電界の変化で物体の距離を検出する方式。事前に物体の静電容量と距離関係を求める必要があり、物体の性質により感度が変わる点に注意が必要。

力覚センサー

力覚センサーは、物をつかんだ状態で、荷重やトルクの大きさと向きを検知するセンサーです。ロボットハンドが正しく把持しているかをさまざまな方式で検知しています。

●光学式
光学式はあらかじめ物体にプリントされた模様が、ロボットハンドでつかんだときに変形した量で力の大きさを検知する方式。変形量と力の大きさの相関関係を事前に検証しておく必要がある。

●圧電式
圧電式は力がかかると電圧を発生する圧電素子を使って力の大きさを検知する方式。表面に電圧が生じる圧電効果を持つ水晶やジルコン酸チタン酸塩などの特性を利用して、力の大きさを電圧の高さから検知する。

●電気抵抗式
電気抵抗式はひずみゲージのように、荷重の大きさで電気抵抗値が変化する特性のあるものを利用して力の大きさを検知する方式。ひずみゲージ以外には、感圧導電性ゴムを利用して荷重によるゴムの変形量から力の大きさを求める方式がある。

●静電容量式
静電容量式は電子部品のコンデンサーのように、導電体の距離で蓄えられる静電容量の大きさで力の大きさを検知する方式。構造が単純で小型化しやすいメリットがある。

すべり覚センサー

すべり覚センサーは物体をつかんだ時のすべり量と速度を検知するセンサーです。ロボットハンドが物体をつかんで落としそうになると、センサーで検知してつかむ力を強くして落下を防ぎます。すべり覚センサーには以下の三つの方式があります。

●光学式
光学センサーで物体の表面状態を検知してすべりを検知する方式。直接表面を検出できて搭載が容易な特徴がある。

●変位検出式
ロボットハンドに取り付けたローラーやボールで、つかんだ物体のすべり量を検知する方式。物理的にすべり量を検知して検出が可能だが、ハンドの機構が複雑になり設置にスペースが必要となる。

●振動検出式
ロボットハンドに加速度センサーを取り付けて微振動を検知する方式。物体の表面の状態によって検知が不安定になる点がデメリットで、光学式や変位検出式に比べて設置しやすい特徴がある。

Robot Insight触感センサーにロボットの将来がかかっている

触感センサーにロボットの将来がかかっている

ロボットハンドが物をつかむ技術は検出方式が多岐にわたり、応用への取り組みはまだ課題が多く残っています。視覚や聴覚といった感覚の研究に比べて、触覚をデジタル化して扱う技術は難易度が高いことが原因と考えられます。

一方で、省人化や低コスト化が必要な製造業に向けて、今後さらにやわらかい食品などでもつかめる技術の開発が必要とされてきています。人間の手の動きを再現することは簡単なようで難しく、触覚センサーの技術向上が今後も強く求められることが予想されています。

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