ロボットの活用は業務効率化や品質向上の面で非常に効果的とされており、すでに多くの領域でその導入効果を発揮しています。特に製造業界における導入効果は高く、国外はもちろん、国内企業においても数々の企業が実際に運用を進めています。
この記事では、製造業界における具体的なロボットの導入事例をご紹介しながら、製造業にロボットを導入するメリットや、ロボット導入を検討する際のポイントを、具体的な導入事例をご紹介しながら解説します。
ロボットを製造業に導入するメリットとして期待されているのが下記の三つです。
特に人材不足の解消とコスト削減は同時に達成できる部分で、高騰する労働者市場の問題をロボットの導入で解決することにより、人件費の大幅な削減に期待が持てます。またうまくロボットを導入できれば、人間が作業することによる人的ミスが無くなるため生産ラインの品質改善にも役立つでしょう。
人材不足の解消は、ロボット導入に最も期待されるメリットの一つです。
少子高齢化の影響で若手の獲得はもちろん、熟練労働者引退も問題視されています。ロボットの導入は人材教育の必要がなくなり、即戦力を確保できる点で有効です。導入してすぐフルパフォーマンスを発揮できるので、短期間で成果を挙げやすい施策です。
人件費削減によって、製造コストを大幅に削減し、利益の拡大や業務規模の拡大が目指せる点もメリットです。
製造業を苦しめている人件費の高騰をロボット導入で改善することにより、それ以外の物流や原材料のコスト高騰をカバーし、コスト面での競争力低下を最小限にすることができるでしょう。
ロボット導入によってケアレスミスの心配がなくなり、品質が均一化される点もメリットの一つです。
ロボットは人間よりも遥かに早いスピードで作業ができるのはもちろん、電源設備さえあれば24時間働けるので、生産量は必然的に増加します。
ここでは、製造業界におけるロボットの導入事例を解説します。
アイリスオーヤマではすでに人間がほぼいない、工場の無人化を最新のロボット導入で実現しており、食品メーカーのキユーピーも従来の半分の人手でマヨネーズの量産が可能となっています。
工場内を自律走行できるロボットの導入は、重量のある荷物の自動運搬を実現し、人件費削減と負担軽減をサポートしています。
家電を中心としたメーカー企業のアイリスオーヤマでは、LED需要に対応するつくば工場において、スタッフは各ラインに一人だけ、という生産体制を実現しています。
LED基盤、一体型ベースライト、シーリングライトの生産の3ラインすべてが自動化されているので、ケアレスミスの心配はほぼなく、24時間稼働させることで強力な生産力を維持しています。
食品メーカーのキユーピーでは、新設の神戸工場において最新設備を導入し、マヨネーズやドレッシングの生産のほとんどが人の手を介さずに行われています。
工場ではIoTを利用し、生産計画から配送までがワンストップで行われ、高度な物流拠点としても機能しているのが特長です。
電力機器メーカーのダイヘンでは、目的地と作業内容の指示だけで自律走行し、700キログラムの重い荷物を自動で運ぶ「AI搬送ロボット」を実用化しています。
運搬に伴う従業員の負担を軽減するのはもちろん、運搬係が必要なくなったため、作業員を他の業務に割り当てることができるため、業務効率化に貢献しています。
ロボット導入を検討する場合には、導入目的を明確にし、最適な手段を選ぶことが大切です。また、最新の情報収集を怠ることなく、常に新しい技術を導入できるよう備えておきましょう。
自社では判別がつかない場合は、専門家にコンサルティングを依頼し、最適なソリューションを考えてもらいましょう。
ロボット導入においては、あらかじめ目的を明確にしておく必要があります。ロボットでどんな課題を解消したいのかが分からないと、高額な導入コストを短期間で回収することが難しくなります。
ロボットは最先端のテクノロジーが活躍する分野であるため、何がベストな製品やサービスであるかは導入のタイミングによって異なります。
何年も前に聞いた情報を過度に信用するのではなく、今どんな技術が活躍しているのかを積極的にリサーチし、参考にしましょう。
自社でロボット活用やITのノウハウがない場合は、専門のコンサルタントに導入をサポートしてもらうのがおすすめです。どんな製品が自社の課題にぴったりなのか、あるいはどんな課題を解決すべきなのかという根本的な問題から見直してもらうことができます。
ロボットの導入は、大企業での活用事例が目立っているものの、むしろ人材不足が深刻な中小企業において高い効果が期待できます。
先行事例を参考にしながら、自社のロボットの導入余地がないか確認し、現在抱えている課題について検討してみることが大切です。