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TIS株式会社が『DX on RoboticBase®』で実現するサービスロボットとの協働化とスマートシティの未来像

レンテックインサイト編集部

ロボット Insight TIS株式会社が『DX on RoboticBase®』で実現するサービスロボットとの協働化とスマートシティの未来像

オフィスビルの案内や飲食店での配膳など、日本でもロボットが活用される風景が当たり前となってきました。しかし、まだまだ普及の途上にあり、異なるメーカーのものも含めたロボットの統合管理やリスク対策、目標とする費用対効果を達成できるかなど、思い浮かぶ課題は少なくありません。

2022年にTIS株式会社が発表した、ロボティクスでDXを加速させる包括的ロボティクス・トランスフォーメーション『DX on RoboticBase®』は、ビジネスフェーズに入り、TIS社オフィスや大規模商業施設、医療施設などで導入が進められています。

マルチロボットプラットフォーム「RoboticBase®」の全容とは? またそれぞれの課題に対し、『DX on RoboticBase®』の3サービスはどのような効果を発揮するのか?

TIS株式会社ビジネスイノベーションユニット DXコンサルティングビジネス推進部シニアマネージャー 中西 崇(たかし)氏、ビジネスイノベーションユニット ビジネスイノベーション事業推進部 主査 森 哲也氏に取材を行い、「人とロボットの共創」を生み出すサービスの内容やビジョンについて伺いました。

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『DX on RoboticBase®』が“サービスロボットとの協働化”を実現する

1971年創業、従業員規模は2万人を超えるTISインテックグループ。基幹システム、アプリケーションから業務プラットフォームまで幅広いITサービスを、官民・産業を問わず提供し続けています。

キャッシュレス、スマートシティ、エネルギー、ヘルスケアの4つの領域で「人と社会を支える安全で便利な社会基盤」を提供する同グループ。中でもAIおよびロボットを活用した企業のDX支援をメインに活動する『AI&ロボティクスサービス部』が“サービスロボットとの協働化”を目的に展開した新サービスが『DX on RoboticBase®』です。

その根底にあるのは、「人とロボットでうまく役割分担をして、今ある業務をより効率化する、もしくは新たなサービスを生み出していこう」という考え方。少子高齢化という今後拡大が予想される社会課題に対し、有効な対策手段として、現在のようにDXの機運が高まる以前の2016年ごろより準備が進められてきました。

『DX on RoboticBase®』の柱となるのが、下記三つのサービスです。

  1. マルチロボットプラットフォーム「RoboticBase®」
  2. マルチロボットインテグレーション
  3. マルチロボットコンサルティング

三つのサービスに共通しているのが、「マルチロボット」というキーワード。ロボットの活用シーンが広がり、対応範囲が大規模になるほど“異なるメーカーのロボットを統合して管理・運用しなければならない”という課題が生じます。そこで、「自社製造のロボットを持たないITベンダーだからこそ、中立的な立場でどのメーカーのロボットにも対応できるのが強み」と中西氏は語ります。

さっそく、マルチロボット導入・運用の基盤となる「RoboticBase®」について詳しく見ていきましょう。


管理コスト削減、費用対効果向上につながるマルチロボットプラットフォーム「RoboticBase®」

「RoboticBase®」は、異なるメーカーや運搬、清掃、案内、警備といった機能の異なるサービスロボットの統合管理を実現するマルチロボットプラットフォームです。ロボットの稼働状況、位置情報、メンテナンス情報などをまとめて管理することで管理コスト削減や、費用対効果向上に貢献します。

「ロボット同士はもちろん、建物の設備とサービスロボットも接続し、管理します」(森氏)。

固定カメラ/サーモカメラの映像、交通・地震情報など他システム・データとも連携させながら、さまざまな稼働状況を一括管理することで、ロボットによる自動化の可能性を大きく広げます。

ロボット Insight 管理コスト削減、費用対効果向上につながるマルチロボットプラットフォーム「RoboticBase®」

RoboticBase®のイメージ

「RoboticBase®」を用いた施設連携により、例えばこれまで1フロアでしか稼働できなかったロボットをエレベーターで移動させ、2フロアで運用──すなわち2倍の生産性を発揮させることも可能になると森氏は語ります。

マルチロボットの具体的な活用イメージとしては以下のような例が挙げられます。

  • 来社したクライアントを受付ロボットが出迎え、案内ロボットが会議室までご案内。来客者が注文した飲み物を配送ロボットが会議室まで自動配達する
  • 巡回中の警備ロボットが見つけた汚れの情報を共有。清掃ロボットが移動・清掃・報告まで実行する。

すでに14社17機種のロボット接続実績があり、10以上のプロジェクトで導入が進められている「RoboticBase®」。プロジェクトの規模が大きくなり、複数・多種のロボットを活用する機会が増加するほど、“マルチロボット”プラットフォームとしての実力は発揮されやすくなるでしょう。

また、ロボットの運用管理に特化したLite版のリリースも予定されているとのこと。目的に応じたパッケージを選ぶことで、比較的小規模な施設、プロジェクトでも費用を押さえつつ、ロボットの選定・管理を簡便化することが可能になるようです。

サービスロボットの“統合的な”利活用を実現する「マルチロボットインテグレーション」

RoboticBase®をベースに提供される「マルチロボットインテグレーション」「マルチロボットコンサルティング」についても詳しく見ていきましょう。

まずは、サービスロボットの“統合的な”利活用を実現する「マルチロボットインテグレーション」です。

「同じエリアで複数のロボットが動くことになると、やはりぶつかってしまうリスクが生じます」(森氏)。

メーカー側でも対策も進められていますが、複数メーカーのロボットを活用する場合にはどうしても交通整理役が必要です。マルチロボットインテグレーションでは、TIS社がその役割を担います。
ベンダー、ユーザーのほかに施設管理者や一般利用者などステークホルダーが多様なサービスロボット。全体統合するPM(プロジェクトマネジメント)力、要件定義力が問われます。

ロボット Insight サービスロボットの“統合的な”利活用を実現する「マルチロボットインテグレーション」

産業用ロボット運用とサービスロボット運用におけるステークホルダーの比較例

ロボットの安全かつ効果的な活用を支援する「マルチロボットコンサルティング」

マルチロボットコンサルティングは、「企画・検証」「計画」「設計・開発」「導入・運用」の4ステップでロボットの安全かつ効果的な活用を支援する「マルチロボットコンサルティング」です。

ロボット Insight ロボットの安全かつ効果的な活用を支援する「マルチロボットコンサルティング」

マルチロボットコンサルティングの4ステップ

例えば、一般のお客さまも近くにいる環境で作業するサービスロボットでは、人に危害を加えないため、産業用ロボット以上に徹底的にリスクを洗い出す必要があります。複数メーカーのロボットを動かす場合、予想外のリスクが生じるかもしれません。そこで、ロボット運用の法律・ルールやノウハウを熟知した、第三者によるリスクアセスメントやコンサルティングが効果を発揮します。

また、ロボティクスを本格実装するにあたって、各ステークホルダーでロボットが動くための環境はどうあるべきかといった“前提条件”を共有しておくことは欠かせません。そのための「ガイドライン作成」も、マルチロボットコンサルティングの一環として提供されています。

「RoboticBase®」の基盤にある『FIWARE』──将来的なスマートシティでの活用ビジョンとは?

ロボット Insight RoboticBaseの概要

RoboticBaseの概要

『DX on RoboticBase®』はすでに「TIS豊洲オフィス」での受付案内やカフェテリア配膳、2023年10月にグランドオープンを果たした「東京ミッドタウン八重洲」の清掃、デリバリーなどで活用されています。

さらに、病院における医療従事者のサポート、中山間地域でのラストワンマイル配送代行といった生活支援、海外自動運転EVスタートアップ企業との共創など、今後の可能性を広げるための取り組みもさまざまに行われています。

「RoboticBase®」の基盤にあるのが『FIWARE』(ファイウエア)というOSS(オープンソースソフトウエア)。欧州を中心に30カ国、250の都市や企業でスマートシティの構築に適用可能な都市OS/建物OS基盤として採用されており、ロボット間や、ロボットとIoT、オープンデータのデータ連携を容易にするFI(Future Internet:次世代インターネット)の基盤となるWARE(ソフトウエア)群です。

「RoboticBase®」の基盤にあるのが『FIWARE』(ファイウエア)というOSS(オープンソースソフトウエア)。欧州を中心に30カ国、250の都市や企業でスマートシティの構築に適用可能な都市OS/建物OS基盤として採用されており、ロボット間や、ロボットとIoT、オープンデータのデータ連携を容易にするFI(Future Internet:次世代インターネット)の基盤となるWARE(ソフトウエア)群です。

将来的なスマートシティ像として描かれているのは、ロボットが施設内を飛び出し、街区内の担当範囲で、各建物を出入りしてより大規模な自動清掃や自動搬送を行うというビジョン。
「そのとき、建物OS・都市OSと親和性の高い『FIWARE』の強みが発揮されるでしょう」(中西氏)。

ロボット Insight 「RoboticBase®」の基盤にある『FIWARE』──将来的なスマートシティでの活用ビジョンとは?

ロボット Insight 「RoboticBase®」の基盤にある『FIWARE』──将来的なスマートシティでの活用ビジョンとは?

ロボット Insight 「RoboticBase®」の基盤にある『FIWARE』──将来的なスマートシティでの活用ビジョンとは?

ロボット Insight 「RoboticBase®」の基盤にある『FIWARE』──将来的なスマートシティでの活用ビジョンとは?

TIS社が目指す、直近のゴールは「人とロボの共創」

TIS社は複数台・異機種のロボットと人が共創できる「スマートオフィス」のビジョンを以下の4ステップで描いています。

DXonRB 1.0:ロボ単体作業
DXonRB 2.0:ロボが人と協調
DXonRB 3.0:人とロボの協働
DXonRB 4.0:人とロボの共創

ロボット Insight TIS社が目指す、直近のゴールは「人とロボの共創」

スマートオフィスビジョンの4ステップ


「今はちょうど『DXonRB 2.0』くらいの段階です」(中西氏)。

直近のゴールは、2025年、ロボットによる自動化が進み、人は人にしかできない業務に注力できる未来「人とロボの共創」です。

──最後に読者へのメッセージを。
そう尋ねると、今が「DXonRB 4.0」に向けた途上にあることを前提に、「ぜひ各現場の皆さんがより効率を上げられるような環境の提供に取り組んでいきたいと思います」と未来に向けた意気込みが語られました。

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