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研究開発が進んでいるロボット工学とは?

レンテックインサイト編集部

ロボット Insight 研究開発が進んでいるロボット工学とは?

ロボット工学は、ロボット技術の発展やロボットエンジニアの育成において重要な役割を担っている学問です。近年、社会全体でロボットの活用が進む中で、ロボット工学の重要性がますます高まっています。しかし、実際にロボット工学でどのような研究開発が行われているのかを知らないという方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、改めて知っておきたいロボット工学について解説します。

ロボット工学の研究領域

ロボット工学は、その名の通りロボットに関する技術を研究する学問です。英語にすると「robotics(ロボティクス)」となり、こちらの名称で呼ばれることも多々あります。

ロボットを動かすためには、多種多様な技術が必要になります。そのため、一口にロボット工学といっても、次のようにさまざまな研究領域に分かれていることを覚えておきましょう。

機械工学

ロボットを作るための技術や知識を学ぶ学問です。ロボットの手足となるアクチュエータや機構を設計してロボットが高精度に動くようにしたり、ロボットの強度を高めたりします。

電気電子工学

ロボットに組み込まれているモーターを動かしたり、センサーを使ってさまざまな情報を収集したりするために必要な電気・電子技術を学ぶ学問です。後述する情報工学と似ていますが、電気電子工学はハードウエア中心、情報工学はソフトウエア中心の研究領域とされています。

情報工学

ロボットを制御するためのプログラムを作成したり、情報処理や情報通信ネットワークの技術を学んだりする学問です。近年では、ロボットの頭脳となるAI技術が発達していますが、それも情報工学の一部と考えられています。

ロボット工学三原則とは

ロボット工学を語る上で必ず触れておきたいのが、「ロボット工学三原則」です。アメリカの化学者・作家であるアイザック・アシモフが1950年に執筆したSF小説の中で掲げたロボットの行動原理であり、現実のロボット工学にも大きな影響を与えました。

  1. ロボットは、人間に危害を加えてはならない。また、人間に危害が及ぶのを見過ごしてはならない。
  2. 第1条に抵触しない限りにおいて、ロボットは人間の命令に服従しなければならない。
  3. ロボットは自身の身を守らなければならない。ただし、第1条、第2条に反する場合は、この限りではない。

現実のロボット工学においても、安全性の基本的な考え方としてこの三原則が用いられることがあります。例えば、ひと昔前の産業用ロボットは安全性を確保するために、周囲を安全柵で囲んで設置する必要がありました。しかし、近年ではロボット技術の発展によって安全センサーを組み込んだ「協働ロボット」が登場しており、人が近づくと減速・停止して安全性を確保できる工夫がなされています。

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ロボット工学におけるトレンド

現在のロボット工学においては、機械工学の領域よりも電気電子工学・情報工学の領域がトレンドになっています。具体的には、AIやセンサーを取り入れた新しいロボットの研究開発が注目を集めている状況です。

実際に、AIをロボットの頭脳として搭載する例が増えています。従来のロボットはあらかじめ決められた動きを繰り返すことしかできませんでしたが、AIを搭載したロボットは次のようなことを実現可能です。

  • 対象物に応じて動作を変える
  • 周りの人やロボットの動きを察知して移動ルートを変えたり、停止したりする
  • ほかのロボットと情報通信しながら、群れとして自律的に動作する
  • 人の動作を見るだけで学習し、同じ動きを再現する
  • より自然なやり取りで人と会話ができる

また、近年の技術革新によって各種センサーの高性能化・小型化・低コスト化が進んだことで、ロボットにあらゆるセンサーが搭載されるようになっています。

例えば、フィルム上でフレキシブルに曲がる触覚センサーをロボットハンドの指先に搭載し、モノを掴んだ状態やモノの質感などをリアルタイムにセンシングする技術が開発されています。実用化されれば、壊れやすい繊細なモノをロボットが扱ったり、ロボットが掴んだモノの触感を遠隔操作している人に伝えたりできるようになるでしょう。

AIとセンサーは、高性能なロボットを開発するために欠かせない技術です。センサーで取得した情報をAIがリアルタイムに分析し、最適な動作を導き出すことで、従来のロボットにはできなかった高精度かつ柔軟な動きが実現します。今後もAIやセンサーの活用を中心に、ロボット工学の研究開発が進められていくと考えられます。

ロボット工学の重要性はさらに高まっていく

ロボット工学の発展に伴って、昨今では私たちの身の回りのあらゆるシーンでロボットが活用されるようになってきました。人手不足をはじめとする社会情勢の変化によって、ロボットの需要はさらに高まっていくと予想されており、世界中のさまざまな大学や企業がロボット工学の研究に注力している状況です。ロボット工学のさらなる発展によって、本格的なロボット社会が実現することに期待していきましょう。

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