ホームロボット除菌から非接触まで!コロナ禍で活躍するロボット10選

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除菌から非接触まで!コロナ禍で活躍するロボット10選

レンテックインサイト編集部

新型コロナウイルス感染防止のため、政府から人と人との接触機会の削減が呼びかけられました。企業や行政などでも、人手が必要な作業を補うための取り組みが進められています。こうした背景を受けて、除菌作業や非対面・非接触を実現するロボットの活用事例も増えています。では、どのようなロボットが活躍しているのでしょうか?具体的な製品をご紹介します。

図書館や病院もお任せ!除菌ロボット

コロナ禍をきっかけに、空間除菌の重要性が一層高まりました。とはいえ、くまなく除菌するとなると、人の作業負担がとても大きくなります。そこで、注目されているのが、除菌ロボットです。こちらのパートでは、除菌ロボットを5製品ピックアップしました。

最先端の自立走行技術で宿泊療養施設を除菌「CL02」

人工知能を搭載した次世代型清掃ロボット「CL02」は、最先端の自律歩行技術により、人手をかけずに非対面・非接触で除菌を行うことができます。紫外線照射による床面除菌や、除菌剤噴霧によって手すりやベンチなどを除菌。また、除菌エリアの走行ルートを記録し、可視化されるので、確認もスムーズです。

さらに、無線通信でエレベーターと連動して、自動乗降できるため、人を介さずにフロアをまたいだ除菌作業も可能。ホテルなど複数階ある施設での利用にも向いていることから、東京都は新型コロナウイルスに感染した軽症者の宿泊療養施設で、清掃・除菌業務の実証実験のためにCL02を導入しました。

安心安全に殺菌線をコントロールできる「SR-UVC」

さまざまな細菌の不活性化に有効なことが確認されている殺菌線(紫外線UV-C/波長254nm)。しかし、人体に照射すると悪影響があることから、人がいない場所での照射が前提となります。そこで、人が側にいなくても遠隔操作で照射できる機能を搭載したのが、殺菌灯搭載ロボット「SR-UVC」。安全性を最優先に考えた設計となっており、離れた場所や自宅から、コントローラーやPCキーボードを使い、簡単に遠隔操作できます。

また、操作画面上で、「照射する場所の周辺に人がいないか」「的確に照射が実行されているか」など、常時確認しながら殺菌を行うことができるので安心。モニターを通して、会話もできるので、もし人が近くに来たときには、作業について説明することもできます。紫外線UV-C照射が新型コロナウイルスの不活性化に有効だという結果を受け、新型コロナウイルス感染症の軽症者の宿泊療養施設で実証実験を行いました。

経路を記録して自動で走行「UV-C 紫外線照射 自動巡回ロボット」

高出力の紫外線ランプを用いた除菌作業を実現する「UV-C紫外線照射 自動巡回ロボット」。特許出願技術の「メモリトレース機能」の搭載により、あらかじめ決めたルートを走行して除菌作業を行うことが可能です。手動操作や自動追従機能により、経路を記憶させ、照射位置は手動で設定します。レーザーセンサーを搭載しているので、障害物があった場合は、走行を停止。また、除菌作業中に人が接近すると照射を停止するなど、安全対策もぬかりありません。

UV-C紫外線は消毒液や除菌剤の噴霧に比べると、書物を劣化させる懸念が少ないことから、つくば市立中央図書館において試験的に導入。新型コロナウイルス感染症対策に関する、人による除菌作業の負担軽減効果が検証されました。

床を徹底清掃でウイルスを減らす「Whiz」

人型ロボット「Pepper」に続いて、ソフトバンクロボティクスが二機種目に手掛けた清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」。清掃ルートを記憶し、地図データをもとに自律走行で床を清掃します。複数の清掃ルートを連続して清掃できるので、運用する際に人手がかかりません。また、人の手による清掃よりも、ダストが舞い上がらないため、空気中の浮遊菌を減らすことができます。薬剤を組み合わせて壁やドアノブなどを消毒する「除菌ソリューションβ版」を床清掃と同時にオプション提供しています。

東京都江戸川区の新型コロナウイルス感染症軽症患者受け入れ施設で、Whizの実証調査を行ったところ、清掃前後で床面の新型コロナウイルスの大幅な減少が認められました。

自動パトロールしながら消毒する「PATORO」

「PATORO(パトロ)」は、自動走行で無人パトロールや消毒液を散布する機能を備えたコンパクトなロボットです。360度カメラや各種センサーで周囲の環境を認識し、通行人や障害物を検出して自動回遊できます。さらに、声で自分の存在を知らせて道を譲るようなお願いをするなど、周囲に配慮しながら走行できるところが特徴です。自動走行による無人警備に加えて、自動制御できる消毒液散布のオプション機能も搭載可能。

高輪ゲートウェイ駅で行われた実証実験では、あらかじめ作成された自動運転用マップに基づき、人が歩く速度の自動走行で消毒作業を実施。利用者の手に触れる手すりやベンチ、床面に自動で消毒液を散布しました。他にも、これまで東京メトロの駅構内や商業地下街などで、実証実験が行われています。

介護や配膳もできる!非対面・非接触を実現するロボット

緊急事態宣言以降、国や自治体から人と人との接触を減らすよう、呼びかけが続きました。そこで、これまで人手が必要だった仕事や作業をロボットに任せるケースも増えています。こちらのパートでは、非対面・非接触の実現を後押しするロボット5製品をご紹介します。

介護職員の代わりに駆けつける「SOWAN」

24時間365日、自動で駆けつける介護ロボット「SOWAN(ソワン)」。見守りが必要な人の腕に装着した活動量計からサーバーを経由してアラートが発生すると、サーバーから出動指示を受けて自動で居室まで駆けつけます。入室と同時に映像が録画され、介護職員は遠隔からその映像の確認が可能。SOWANを介して会話することもできます。また、時間と場所を定めると自動で巡回し、事前に登録された人を発見した場合は、設定した文言で声掛けしてくれます。

さらに、新型コロナウイルス感染防止対策として、オプションで除菌消臭液の噴霧機能を新たに追加。介護職員に代わり、施設内を最小限の装備で効率的に除菌することが可能です。

ホテルのリネン運搬もお任せできる「AISLE」

無人搬送ロボット「AISLE(アイル)」は、ホテルや公共空間などで配膳や荷物を運べるロボットです。本体高さ170mmと低床構造が特徴で、台車の下に潜り込ませることができるため、荷物の高さをあまり変えずに牽引できます。エレベーターと連携し、各階を自動で移動でき、設定したルートを走行。PCやタブレットから走行経路を手軽に設定、変更できます。

ホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」では、作業効率化や新型コロナウイルス感染症対策における非接触・非対面を強化し、安心・安全な滞在を実現することを念頭に「AISLE」を導入。リネン室からシーツなどが入った台車を運び出し、人手を介することなく、各階の使用済みリネンが入った台車と交換するかたちで活用しています。

検温や手指消毒を呼び掛けてくれる「パラメディTAPIA」

病院や施設などを訪れる人に声掛けできる会話ロボット「パラメディTAPIA」。搭載しているカメラを使い、人の動きを検出して、検温や問診を促すことが可能。さらに、熱や倦怠感の有無などの質問を発話と同時に画面上に表示させ、回答ボタンを押すと問診に答えられます。さらに手指消毒の励行なども、声掛けで啓発できるので、感染症拡大防止の水際対策に有効です。

新型コロナウイルス感染症対策強化のため、岡山中央病院では病院の入り口に「パラメディTAPIA」を設置。人と人とを介さずに、早めに発熱症状のある人をスクリーニングするために活用しています。

スムーズな検温&発熱者への対応もできる「SEED-Noid」

サーモグラフィカメラを搭載し、マスクで覆っていない額部分を特定して体温を測定する検温ロボット「SEED-Noid」。THK株式会社は、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、人を配置して出社や来訪者の来館時に複数の非接触体温計で検温をしていました。しかし記録の煩雑さや入館に大変時間が掛かることから、検温自動化を進めるためにこのロボットを開発。

発熱を感知した際は、遠隔地にいるオペレーターをモニターに表示して会話できるので、その後の対処について指示を出すことも可能です。非接触で検温から記録まで行うので、受付通過時間が短くなり感染リスクを下げることも期待できます。さらに、ロボットの双腕アームを上下に動かし、発熱者に入場制限を求めたり、アーム先端のハンド部分にオートディスペンサータイプの消毒液を持たせたりと、感染症防止対策に適した機能が充実しています。

AI搭載でスマートな配膳を実現する「PEANUT」

複雑な屋内環境でも自由に移動できる配膳ロボット「PEANUT(ピーナッツ)」。飲食店のマッピングデータと複数のセンサーで、自律的に移動することが可能です。また、複数のロボットを稼働させる場合は、AIエンジン機能により、各ロボットがそれぞれの位置を把握しながら、最短ルートで走行します。走行速度は安全に配膳を行えるように設定変更が可能です。

「焼肉の和民」では、コロナ禍による新様式への対応や業務効率化などの目的で、「PEANUT」を導入。非接触の配膳を実現させることで、来店客とホールスタッフの接触機会が減少し、感染予防対策につながることが期待されています。

コロナ禍で除菌や非接触・非対面など、感染症拡大防止対策に有効な手段が求められるなか、最新技術を搭載したロボットが続々と登場。これまで、少し遠い存在だったロボットですが、私たちの生活に着々と浸透し、感染症拡大防止の一翼を担っています。ニューノーマルの社会においても、こうしたロボットたちの活躍が期待できそうです。

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