ロボット Insight

ロボット活用の基礎知識~導入イメージをつかむ~

レンテックインサイト編集部

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ロボットを導入するというと難しく感じられるかもしれませんが、 世界中でノウハウが展開されており、ロボット自体の柔軟性も高くなっています。なぜ今、ロボット導入を検討する必要があるのか、どんな効果があるのかをご紹介します。

なぜ今ロボット導入を考える必要があるのか

日本では、少子高齢化が社会問題になっています。労働人口の減少は、経済が閉塞するだけでなく、さまざまな問題を引き起こします。

労働人口が減少する中で経済を発展させていくためには、生産性を高める必要があります。 経済産業省 中小企業庁が公表する「2018年版中小企業白書」の中でも、人手不足を感じる企業の方が多くなっています。 現在の日本はまさに、生産性の向上は国をあげて取り組む課題になっています。

製造業においては、熟練職人の技術伝承も課題となっています。 先に述べた「2018年版中小企業白書」にある製造業における雇用形態・職種別人手不足DIの職種区分をみても、大きく不足している職種として「単純工」のほかにも「技能工」「専門・技術」が挙げられています。 熟練職人の技術が継承されないままに、職人の高齢化が進んでいる状況なのです。

こうした状況を受けて、2015年に政府は国家戦略として「ロボット新戦略」を策定しました。 ここではロボット革命実現のために、「世界一のロボット利活用社会」を目指すことがうたわれています。

そして重点分野として、部品組み立てや食品加工など労働集約的な製造業の準備工程を中心としたロボットの活用、ロボットメーカーとユーザーの橋渡しをするシステムインテグレーター事業の育成、 ロボットのハードウエアとソフトウエアの標準モジュール化、OSなど共通基盤の整備などを掲げました。

ロボット導入の効果とは?

ロボット導入の効果というとまず「省力化・省人化」が浮かびますが、それだけではありません。どのような効果があるのか、その特徴的な例をご紹介しましょう。

多品種変量生産の実現

今まで生産ラインで大量生産していた企業でも、消費者の多様化するニーズに合わせ製品ラインアップを多様化するに伴い、今までの生産方式では利益が出なくなっている場合もあります。 しかし従来の専用機では、決められた作業しかできないため、多品種変量の生産方式に対応するのは難しい場合がありました。 しかし現在、ロボットを活用し、多用途に使う事例が増えています。

過酷な作業の代替

重い荷物の運搬や過酷な環境での作業をロボットが肩代わりすることで、働きやすい職場環境にすることができます。

例えば大規模な養鶏場では、ロボットを巡回させているところもあります。ロボットはセンサーやカメラを取り付け、決められたルートを巡回して鶏の温度を測定し、ケージ内の様子を撮影します。

体温が高い鶏や、動かない鶏がいるかをAIによって検査し、担当者が検査結果を見て死亡鶏や病気にかかった鶏を除去します。 病気にかかった鶏や死亡鶏を早い段階で検知して取り除くことで、周囲にいる鶏から病気の感染から守り、病気の鶏や卵が流通するのを防止します。

養鶏場は、鶏にとって快適な場所でも、人間にとっては過酷な作業環境です。 また広い場内では、鶏のいるケージを数段積み上げて飼育しているため、ケージごとに目視でチェックする作業は長時間におよびます。

ロボットを導入することで、人間が巡回をする必要がなくなりました。 病気にかかった鶏や死亡鶏が発見されたときのみ人間が除去作業を行えば良いため、体の負担が軽減され、働く環境が改善されました。
(出典: 経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会 事例紹介ハンドブック2018)

熟練者の技術継承

熟練者の技術の継承は製造業において喫緊の課題です。熟練者の高齢化が進むなか、後任を育成するには長い時間がかかり、そのための人員を確保するのも困難になってきています。

そのため、技術をロボットに継承させる取り組みが行われています。例えばその土地に伝わる伝統技能で商品を製造し、国内外から高い評価を受ける企業においてもロボットが導入されています。

この例では、工程が複雑で、熟練者による繊細な作業が求められるため、手作業で行っていた技術についても工程をロボットに合うように見直し、自動化に成功しました。

各工程を担当していた作業者が必要なくなるだけでなく、職人の感覚を頼りとする技術を「見える化」して、技術を後世に引き継いでいくことが可能になっています。

検討チームを立ち上げ、経営上の課題・作業工程上の課題の両面から検討を

ロボットにも向いている作業と向いていない作業があります。ロボットを導入すると経営課題の何が解決できるのか、 そして、作業工程のどの部分の課題が解決できるのかを検討することで、導入効果がイメージできます。

さらに、営業面でロボット導入が顧客へのアピールポイントになり、システム面で基幹システムとの連携で生産性の向上ができる事例もあります。 そのためにも各担当者からなる検討チームを立ち上げ、導入効果を見極めていきましょう。

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