企業にはSDGsに向けた取り組みが求められていますが、中でも注目度が高い施策が二酸化炭素の排出抑制です。地球環境へ直接影響を与えるとされる二酸化炭素の排出を最小限にとどめることには、全ての企業が取り組むべきと考えられています。
カーボン・オフセットは、そんな二酸化炭素の排出抑制において、重要な役割を果たすとされる取り組みの一つです。この記事では、カーボン・オフセットとはどのような取り組みなのか、実施に際して知っておくべきポイントを解説します。
カーボン・オフセットとは、二酸化炭素の排出抑制に取り組みつつ、それでも生まれてしまうガスの排出を、別の取り組みによって埋め合わせようという施策です。
最近ではテクノロジーの向上に伴い、数十年前と比べて二酸化炭素の排出は大幅に抑えることが可能になってきました。しかし、依然としてすべての二酸化炭素排出をゼロにすることは難しく、特に製造業などのエネルギー消費の大きい業界では、排出抑制には限界があります。
そこで活用されているのが、カーボン・オフセットと呼ばれる取り組みです。目標の排出量の抑制が達成できなかった分を、そのほかの二酸化炭素の排出抑制活動に貢献することで賄います。
カーボン・オフセットには、大きく分けて以下の5つの取り組み方があります。
●製品・サービスオフセット
●会議・イベントオフセット
●組織活動(自己活動)オフセット
●クレジット付製品・サービス
●寄付型オフセット
カーボン・オフセットの活用は、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。最大のメリットは、やはり企業のブランドイメージ向上です。
地球温暖化の抑制に向けた取り組みは、今や企業活動の一環として当たり前のものとなりつつあります。カーボン・オフセットを活用し、二酸化炭素の排出抑制に努めているというメッセージの発信により、ブランド価値の維持・向上を実現可能です。
企業のブランドイメージが高まれば、それに応じたメリットの獲得も期待できます。知名度や名声の高まりに伴う、優秀な人材獲得の可能性向上や、競合他社とのブランドイメージにおける差別化につながるでしょう。
そして、投資家からの印象の改善により資金調達をより進めやすくなるというメリットも高まります。
カーボン・オフセットの実施は積極的に推進すべきですが、一方で課題も残ります。最大の懸念事項は、脱炭素への貢献度としては、ほかの施策に比べると劣るという点です。
カーボン・オフセットは、あくまで抑制しきれない二酸化炭素の排出を、ほかの活動で補填するというものです。まずは、二酸化炭素排出量の削減に取り組むべきでしょう。
また、カーボン・オフセットの仕組みを悪用して、結果的には全く環境保護に貢献していないケースもないわけではありません。カーボン・オフセットの本来の目的である、環境保護を実現するには何をすべきか、まずは検討することが大切です。
この記事では、カーボン・オフセットとはどのような取り組みなのか、そのメリットや取り組み方に触れながら解説しました。カーボン・オフセットをはじめ、二酸化炭素の排出を抑えるための取り組みは、今やスタンダードな施策となりつつあります。
各施策の強みや、カーボン・オフセットという仕組みの構造的な脆弱性にも目を向けながら、正しい改善活動に取り組みましょう。