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インライン検査のメリットと測定技術

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight インライン検査のメリットと測定技術

インライン検査は、製造業における検査方法の一種です。モノづくりに関する品質要求が高まっている昨今では、全数検査の実施が求められるケースが増えています。インライン検査は全数検査に適した検査方法であり、品質保証の信頼性を高めるために導入を検討しているという企業は多いでしょう。

本記事では、インライン検査の概要やメリットに加えて、インライン検査で利用されている測定技術がどのようなものかをご紹介します。

インライン検査とは?

インライン検査とは、生産ライン内で検査を行うことです。製造業の多くの企業では、効率よく生産するためにライン生産方式を導入しています。そのライン生産方式に検査工程を組み込んだものをインライン検査と呼び、生産ライン外で検査を行うものをオフライン検査と呼んでいます。

インライン検査では、製品に応じてさまざまな測定が行われています。キズやカケ、汚れといった外観検査が代表的ですが、光学特性や電気特性、製品内部のキズや組成の検査など、インライン検査の対象は多岐に渡ります。

昨今ではモノづくりに関する品質要求が高まっており、顧客から全数検査による品質保証を求められるケースが増えています。抜き取り検査が中心のオフライン検査では十分な品質保証が難しいことから、多くの企業がインライン検査への切り替えに取り組んでいる状況です。

インライン検査が増加している背景には、測定技術の進化もあります。画像処理機器をはじめとする測定技術の進化によって、従来は人の感覚でしか検出できなかった不具合であっても自動で検出できるようになりました。生産ラインの生産性向上やコスト削減といった観点からも、インライン検査の導入が目指されています。

インライン検査のメリット

オフライン検査と比べた時に、インライン検査にはどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットをいくつかご紹介します。

インライン検査の最大のメリットは、全数検査に適していることです。オフライン検査の場合は、生産の開始時・途中・終了時といったように特定のタイミングで抜き取った製品を生産ライン外にある測定機器で検査します。その仕組み上、抜き取りで検査していない製品の品質を完全に保証することはできず、不良品の流出リスクが高いことが課題です。しかし、インライン検査は生産ラインを流れる製品を全て検査して良品のみを選別するため、品質保証の信頼性が高くなります。

次に、リアルタイムで検査できることもインライン検査のメリットとして挙げられます。インライン検査では製品の生産中に都度検査を行うため、異常が発生したらすぐに検知できます。測定値に異常が見られたり、ばらつきが発生したりしたタイミングで生産条件を見直せば、不良品の発生を未然に防げるでしょう。

インライン検査のメリットは上述した通りですが、デメリットも当然あります。主なデメリットは、初期投資が高額になりやすいことです。生産ライン内に検査工程を組み込むためにレイアウトを変更したり、高額な測定機器を導入したりする必要があるため、十分な費用対効果が見込めなければ導入は難しくなります。特定の製品のためだけに導入するのを避け、複数の製品に流用できる測定機器を選定するなどの工夫をしなければなりません。

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インライン検査で活用される測定技術

では、実際にインライン検査ではどのような測定技術が活用されているのかをご紹介します。

代表的なものが、画像センサーによる外観検査や寸法検査の技術です。人間の目によるインライン検査の代わりとして、多くの生産ラインに導入されています。画像センサーは、カメラで撮影した画像データを処理して対象物の形状や寸法、外観上のキズなどの不具合を検出します。測定結果があらかじめ設定した品質水準を下回っていた場合、不良品と判断して瞬時に生産ラインから除外されるという仕組みです。画像センサー自体の性能や画像処理技術が発達した結果、人間の目では判別できない微細な不具合であっても検出できるようになっています。

他にも、一般的に非破壊検査と呼ばれる測定技術がよく用いられています。非破壊検査は、測定対象物を切ったり割ったりせずに外観上の不具合や内部不良を見つける方法であり、検査後の製品をそのまま出荷しなければならないインライン検査に適しています。

非破壊検査では、赤外線・マイクロ波といった電磁波や超音波を使うものが一般的です。電磁波や超音波を測定対象物に照射して吸収率の違いや反射した波長を検知することで組成を測定したり、内部のキズなどを検知したりできます。

また、測定対象物が金属製品の場合は過電流を用いた非破壊検査が効果的です。測定対象物に電流を流してその電流の流れ方を測定することで、製品内外のキズを検知はもちろん、金属組織の状態まで検査できます。過電流を用いた非破壊検査は制御がしやすく、自動化に適していることから自動車業界などで多く利用されています。

インライン検査の導入で品質管理レベルを向上させましょう

製造業での品質保証の方法として、インライン検査は優れています。一昔前までは人の手によるインライン検査が頻繁に行われていましたが、測定技術が発達したことで自動化がしやすくなっており、自動化に踏み切る企業が増えていくでしょう。人手不足の進む日本では特にインライン検査の自動化が求められています。

品質保証に課題を感じている製造業の方は、インライン検査を導入して自社の品質管理レベルを高めることを検討してはいかがでしょうか。

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