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パワエレ技術者育成フォーラム2018 企業展示コーナーレポート(前編)

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight パワエレ技術者育成フォーラム2018 企業展示コーナーレポート(前編)

 2018年10月26日に一般社団法人日本パワーエレクトロニクス協会主催の「パワエレ技術者育成フォーラム2018」が新横浜プリンスホテルにて開催されました。 電力の供給や変換、制御など、電力を効率よく自在に操るパワーエレクトロニクスの技術は、あらゆるものに電気エネルギーが使われる現代においてなくてはならない技術です。 省エネや電気自動車、自然エネルギーによる発電など、近年さまざまな分野でニーズが高まり注目を集めています。 このような流れを受け、需要の高まるパワーエレトロニクス開発技術者ですが、その数は限られ、人材育成はどの企業でも課題となっています。

測定器 Insight キャプション: 多くの人が行き交う企業展示コーナー

(キャプション:多くの人が行き交う企業展示コーナー)

「パワエレ技術者育成フォーラム2018」では、主に製造業の経営幹部層を対象に、技術者育成に関する有益な情報を提供することを目的として開催されています。 会場では、回路シミュレータのセミナや講習会が行われるとともに、パワーエレクトロニクス関連企業による製品、サービスの展示コーナーが設けられていました。 約30社が出展する企業展示コーナーでは、多くの人が各ブースに立ち寄り、最新の製品情報や技術情報に耳を傾け、熱心に情報収集を行っていました。

測定器 Insight キャプション: 各ブースでは新製品の展示やデモが行われている。

(キャプション:各ブースでは新製品の展示やデモが行われている。)

本レポートでは、企業展示コーナーの幾つかの企業を取り上げ、その製品や技術、出展企業からエンジニアに向けたメッセージなどを紹介していきます。

センサから測定器まで一貫して生産 日置電機株式会社

測定器 Insight 日置電機株式会社

(キャプション:日置電機株式会社のコーナー)

 最初に紹介するのは、電気計測器の専門メーカーの日置電機株式会社。 日置電機では、基板検査を行う自動試験装置、データロガーやメモリハイコーダなどの記録装置、 パワーアナライザやインピーダンスアナライザなどの電子測定器、クランプ電力計やテスタなどの現場測定器の開発、生産、販売を行っています。 センサから測定器まで自社で一貫して生産しており、ユーザーのニーズに合わせた計測システムを構築できるところが強みの一つとなっています。 今回の展示では、パワーアナライザPW6001のほか、新商品の電流センサCT6904、メモリハイコーダ MR6000の展示、デモが行われていました。

 パワーアナライザPW6001は、分解能が18bit、5MS/sサンプリング、2MHzの測定帯域。 従来製品の10 倍の測定性能を備え、SiC をはじめとしたスイッチングデバイスの高速化に対応できる十分な性能をもっています。

測定器 Insight  AC/DCカレントセンサCT6904

(キャプション:AC/DCカレントセンサCT6904)

AC/DCカレントセンサCT6904は、定格電流500Aと800A(受注生産品)で、対向配置分割コイルと独自形状のソリッドシールドを用いることで広帯域化と高い耐ノイズ性能を実現し、 従来の40倍となる4MHzの測定帯域性能を有しています。更に、2019年春に発売予定のCT6877は、CT6904と同様に対向配置分割コイルとソリッドシールドを用いた広帯域性能を備え、 定格電流2000Aの大電流に対応し、測定導体径もφ80mmまで可能。パワーアナライザPW6001やPW3390と組み合わせることで、大電流化、高速化する電気自動車のインバータの電力変換効率などを、 より正確に測定することが可能となります。また、センサユニットCT9557を用いれば、最大4台分のセンサ出力の加算が可能ですので、CT6877を4台接続して(多条配線)、 8000Aの大電流測定も可能です。

測定器 Insight メモリハイコーダMR6000

(キャプション:メモリハイコーダMR6000)

 メモリハイコーダ MR6000は、ユニットスロットを8つ持ち、12種類あるユニット(今後も新ユニットが増える予定)を組み合わせることで、 さまざまな種類の測定を多チャンネルで行うことができます。高速アナログユニットU8976では、200MS/sの高速絶縁サンプリングと、 帯域30MHz、DC400Vのダイレクト入力を可能にし、高効率化が求められるインバータなどのスイッチング波形を正確に捉えることができます。 また、DC200Vまでダイレクトに入力可能で、サンプリング速度5MS/s、帯域2MHz、分解能16bitの4chアナログユニットU8975を使用すれば、 最大で4×8=32chの多チャンネル高分解能絶縁測定が可能となり、多軸のロボットの測定も1台で容易に行うことが可能です。

 そのほかにも、静電容量タッチパネルによる直感的な操作や、内部処理の高速化と最新インターフェース採用による測定データ保存時間の短縮、 SSDユニットやHDユニットによるデータの長時間保存など、利便性も大幅に向上しています。

測定器 Insight メモリハイコーダMR6000のユニットスロット部

(キャプション: メモリハイコーダMR6000のユニットスロット部)

日置電機株式会社のセンサプロダクトマネージャの原野氏は「パワーアナライザ、センサともに弊社で一貫してつくっていますので、 センサの特性をよく理解しており、装置として最適化が図られています。 測定に関して何かお困りのお客さまがいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に声をかけてください。 ご相談いただければ、解決できる方法を考えご提案いたします」と、お客さまへのメッセージを述べられました。

良好なWBGデバイスモデルを作成 キーサイト・テクノロジー株式会社

測定器 Insight キーサイト・テクノロジー株式会社のコーナー

(キャプション: キーサイト・テクノロジー株式会社のコーナー)

 続いて紹介するのは、電子計測機器、EDAソフトウェアなどの開発、製造、販売、サポートを行うキーサイト・テクノロジー株式会社。 キーサイト・テクノロジーのブースでは、アドバンスドモデリング用パワーデバイス測定システムPD1000Aのデモが行われていました。

 ハイブリッド車や電気自動車の普及に伴い、SiCやGaNなどWBGパワー半導体の需要が高まっています。 PD1000Aでは、カーブトレーサーシステム、Sパラメータシステム、ダブルパルス・テスター・ハードウェアから構成され、 実際のWBGデバイスから得られた測定データを利用して、アドバンスド・モデリング・ソフトウェアによりキーサイト独自の高度なWBGデバイスモデルが作成できます。

測定器 Insight パワー・エレクトロニクス・モデル・ジェネレーター・ソフトウェア

(キャプション: パワー・エレクトロニクス・モデル・ジェネレーター・ソフトウェア)

 回路シミュレーションを行うためには良好なデバイスモデルが必要です。PD1000Aにより作成されたWBGデバイスモデルを、 キーサイト・テクノロジーのADS、EMPro、Momentumといったソフトウェアで使用することにより、高精度で高度なシミュレーションが実現可能となります。 これにより、プロトタイプ作成前にデザインを綿密に検討して変更できるので、開発時間とコストの削減につながります。

 キーサイト・テクノロジー株式会社のアプリケーションエキスパートの橋本氏は「近年トランジスタの速度が上がってきたため、 我々が得意とする高周波の領域でのお客さまの引き合いが増えています。これからもやはりこういうところは、測定器も含めて強くしていきます。 それから、測定器やツールのご購入が難しいようであれば、測定サービスやモデリングサービスというのもあります。 割と敷居が低いところから、高精度な回路設計ができるシミュレーションが行えますのでお試しください」と述べられました。

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