測定器 Insight

プロトコル・アナライザ

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

 プロトコル・アナライザは、バス(コンピュータのデータ交換するための回路)上でやりとりされる、通信プロトコルの送受信について詳細に解析を行うものです。

現在の高機能なロジックアナライザではさまざまなプロトコルのデコードができます。時間や状態遷移に相関した、複雑な条件でのトリガが可能なうえ、比較的大容量のメモリを備えているモジュールが多いため、長時間の解析にも活躍します。

新たな電子機器の設計・開発、そして不具合を洗い出すロジックレベルでの検証では、ロジックアナライザを使いこなすことが非常に重要だったのです。

主にフィールドエンジニアリングでは作業の効率(可搬性、接続・セッティングなどの簡便化)や時間見積もりが重要なため、特定の用途に特化した「プロトコル・アナライザ」を導入します。

例えば制御コンピュータや産業機器で歴史的に用いられてきた非同期のシリアル通信では、ほとんどの場合電気的な検査に加えてプロトコル・レベルでの定期的な検査フローが存在します。

他の分野でいえばネットワークの試験や故障診断ではLANアナライザが用いられますし、デジタル化が進んだ映像信号でもHDMIやSDI、ディスプレイポートなどのアナライザが存在します。

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

アストロデザイン社:VA-1842 HDMIプロトコル・アナライザ

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

Quantum Data社:980B HDMI信号プロトコルスコープ

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

東陽テクニカ社:SYS-10G-CP Synesisシリーズ パケットキャプチャシステム

これらのような分野別の信号解析機器は数十年以上前から存在し続けており、信号表現が完全にデジタル化した現在でも広く利用されています。

最近では家電、IoT機器などで標準的に用いられるBluetoothやUSB機器の試験や開発などでも、プロトコル・レベルでの解析のために専用のプロトコル・アナライザが用いられることがあります。

特にUSB3.0の全二重通信に対するコンプライアンス試験の用途では、バスのパワーマネジメントも含めた綿密な動作解析が必要なため、テストパターンの生成機、アナライザ、PC用の解析ツールなどが一体となって解析システムを構成している製品を用いるのが一般的です。

PD(パワー・デリバリー)では大電流の取り扱いが標準化され、供給方向の双方向化、可変電圧など、ネゴシエーションを確実に行うためのCC端子の通信については厳しい評価基準が設けられており、プロトコル解析に加えて、差動信号のアイ・パターンも品質が問われます。

さらにKeysight社のN4903のように、PCIe、SATA/SAS、DisplayPort、USB3.0、FiberChannel、QPI、メモリバスやSFP+など、複数のシリアルI/Oプロトコルに対して高負荷時のビットエラーレート試験を行い、アイ・パターンまで評価できる機器もあります。

以上のように、「プロトコル・アナライザ(バス・アナライザ)」の分野に加え、高速化、スマート化を続ける新たな通信規格についても総合的な解析を行うテスト・ソリューションとして、専用化・自動化されたプロトコル解析システムについて知ることが、効率よく稼ぐ技術産業においては非常に重要であるといえます。

RS-232C、422、485についての解析

 この分野では古くから各社より「シリアル・ラインモニタ」などとして通信解析を行うさまざまな機器が発売されていますが、筆者がインターンやアルバイト、直営業した日雇いの現場でよく出会った機器のひとつにLINEEYEがあります。

RS-232C、422、485など、機器と制御ボードあるいはコンピュータの通信に用いられるシリアル通信は疎結合なメッセージ制御の定番ですが、定期メンテナンスや故障対応などで、メッセージと動作状態の整合性を確認する際に用いていました。

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

ラインアイ社:LE-1500 コンパクトプロトコルアナライザ

デザイン的にはALESIS SR-16など一昔前のDTM機器のような風貌ですが、一度現場で使うと手になじみやすいという操作性が特徴です。

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

ラインアイ社:LE-8200A マルチプロトコルアナライザ

近年の機種では、RS-232C、422、485に加えてI2CやSPI、CAN、LIN、FlexRay、LAN、USBなど、SoCを使ったIoT機器を開発しているときに便利な機能が満載です。

ファームウエアVer1.11から232C、485上のModbusプロトコルにもフレーム単位で対応しています。

仕様のよくわからなくなった古い制御コンピュータや制御ボード、ソフトウエアが自社の工場で動いている場合には、ぜひLINEEYEで簡単な解析などしてみることをおすすめします。

 

USBプロトコル・アナライザ

解析対象の機器、プロファイルにどの程度まで対応している必要があるのかを把握していれば、導入する機器はほぼ一意に決まります。

バジェット(予算)に余裕があり、大は小を兼ねる、という発想であるならば、以下のような機器もおすすめです。

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

Ellisys社:EX350-SSP-DUO USBプロトコル・アナライザ/テストシステム

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

テレダイン・レクロイ・ジャパン社:USB-TOP3-V07-X USB3.1プロトコル・アナライザ

Bluetooth

 BLEや各種ビーコンのマルチパスを考えることなく、理想的な伝搬状況での解析には以下がおすすめです。

測定器 Insight プロトコル・アナライザ

ellisys社:BEX-400-PRO-DUAL BLUETOOTHバス・アナライザ

RFの解析が必要な場合は、すみやかに専門家に協力を仰ぎましょう。

測定器 Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next