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直列・並列自由自在、パワエレ開発に必須の電源/評価装置 pCUBEとは?

~コンパクトな筐体(きょうたい)、直列/並列の組み換えで多様な電源仕様に対応、複雑な試験プログラムも直観的に構成でき、準備工数削減可能~

測定器 Insight 直列・並列自由自在、パワエレ開発に必須の電源/評価装置 pCUBEとは?

Mywayプラス株式会社 担当者一同

自動車の電動化や再生可能エネルギーの導入など、エネルギーの電力シフトを進める上で蓄電システムは欠かせない要素です。そこに必要なインバータの開発をする上で欠かせない回生型直流電源pCUBEとそれをベースにした充放電システム評価装置について、開発・製造元のMywayプラス株式会社を取材しました。

自動車の電動化・エネルギーの電力シフトがもたらすパワエレ製品の多様化

-- Mywayプラス株式会社さまの沿革を簡単にご紹介いただけますか。

・新本氏
「当社は1993年の設立以来、パワーエレクトロニクスの分野で評価装置、開発ツール、受託開発の事業を26年間行っております。パワーエレクトロニクス関連のシステムはアナログ回路を中心に組まれる場合が多かったのですが、当社は創業当初からデジタル技術を用いた商品開発に強みを持っております。近年は電源やモータの評価装置が特に好評で売り上げも大きく伸びています」

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HIL_充放電システム 沿革

-- 今回ご紹介いただく回生型直流電源pCUBEと充放電評価装置が支持される背景にある、パワーエレクトロニクス関係のマーケットで起きている変化のトレンドについてお願いします。

・新本氏
「EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)や燃料電池車など自動車が電動化する流れや、太陽光発電/風力発電などの再生エネルギーの展開が代表的ですが、パワーエレクトロニクス(パワエレ)つまり電力変換の技術を必要とする領域、特に電池を使う商品分野が急拡大しています。その結果、パワエレ機器の評価装置には多様性が求められるようになりました」

・河原氏
「こちらはEVや太陽光発電等のパワーエレクトロニクス・システムを概念図で示したものです。バッテリは通常、一番小さな単位であるセルを直列につないだものをモジュール、それを直列もしくは並列につないだものをパックと呼びます。左側のバッテリパックにためた電気を中央のパワーユニットで変換し、右の負荷にあるモータを回すなどして消費するわけです。充電するための電力は商用電力系統や太陽電池パネルなどの外部電源、あるいはモータの回生から得ます。

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パワーエレクトロニクス・システム概念図

おおまかにこのような仕組みなのは共通ですが、細部では近年さまざまな多様化が進んでいます。例えば小型のハイブリッド車ではモータ出力が数kW程度なのに対して、EVでは60~80kW、高級スポーツ車では500kWに達するモデルもあります。電圧でいうと従来の自動車の電装系は12Vが標準でしたが、EVの駆動バッテリ電圧は軽量化や急速充電のニーズに応えるため上昇しつつあり、車種によって異なりますが300~400V程度が多く、今後さらなる高電圧化も進む傾向にあります。そこで、研究開発や品質保証をするためにこれらの多様性に対応できる電源や評価装置が求められているわけです」

回生型直流電源pCUBEと充放電評価装置の仕組み

-- pCUBE自体は回生型直流電源で、それをベースとした充放電評価装置というシステム構成を取れるそうですが、その両者の関係をご説明いただけますか。

・新本氏
「例えばバッテリを試作開発する場合、その特性試験をするためには、バッテリを充電する直流電源と、放電させる電子負荷が必要です。pCUBEはその両方の動作を1台で行うことができます。電源として動作する場合は、商用電力系統からの三相交流を入力電源として、所定の電圧や電流に変換してバッテリに供給します。電子負荷として動作する場合は、バッテリからの電力を構内系統に回生します。これが『回生型直流電源』という意味です。

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回生型直流電源

高効率で回生の動作をするため、熱量が少なく装置を小型にできること、そして充電・放電の制御を高速・高精度で行えることがpCUBEの特長です。」

「パワーユニットやモータを開発する際はバッテリの代わりにpCUBEを模擬バッテリとして動作させることができますし、外部電源の代わりに模擬太陽光発電パネル(PV)として動作させることもできます。それらの『模擬○○』の特性はソフトウエアで設定できるため、ソフトウエア次第でバッテリでもPVでも、任意の特性のパーツとして動作させられるので、非常に効率よく開発を進められるわけです」

「充放電評価装置というのは、単体の回生型直流電源ユニットであるpCUBEをベースに充放電コントローラ、データロガー、プログラミング用充放電ソフトウエア等を加えてシステム化したものです。モジュール組電池やパック組電池の充放電評価をするための最適なシステムとして構成した製品です」

省スペース・実機に近い試験・段取り時間短縮へのニーズ

-- 実際にその評価装置が好評を得ているそうですが、ユーザーが評価装置を選ぶにあたって重視するポイントをもう少し具体化するとどのような点が挙げられますか?

・河原氏
「おおまかに、①省スペース性、②実機に近い評価ができること、③段取り時間を短縮できること、の3点です。

まず省スペース性についてですが、バッテリの電圧や電流値が多様化したからといってそれに応じてそれぞれ異なる評価装置が必要だと、直接の調達コストもかかりますし保管・設置スペースが増えるデメリットもあります。多様なバッテリの評価を一式ですべてまかなえることが望ましいのです。

次に、現在は機器の性能評価においてカタログスペックではなく、現実に使用した場合の実質値がより重視されるようになっています。例えば自動車でも一定のサイクルで加減速を繰り返す試験だけでなく、実際の市街地走行でデータを取って、同じ負荷を再現するような試験ができなければなりません。

最後に、それらのさまざまな試験を短時間で効率よくこなせる段取りのしやすさが求められます。バッテリというのはエネルギーのカタマリですから本質的に危険物ですので、安全性に関する評価項目も増えつつあります。製品の多様化に加えて1製品あたりの試験項目も増えるわけですから、人手をかけずに異なる試験を効率よく消化できることが望ましいわけです」

自由に直並列可能、制御プログラムも組みやすいpCUBE・充放電システム

-- pCUBEはそのような要求に対するベストソリューションであるとのことですが、具体的にはどのようなスペックが評価されているのでしょうか?

・新本氏
「pCUBEは小型で、直並列の自由度が高い点も省スペース化に有利です。pCUBEにはそれぞれ80V±250A(MWBFP3-1008-J02)、500V±35A(MWBFP3-1250-J02) 2種類のラインアップがあります。これを自由に直列・並列に組み合わせて、多様な電圧・電流の仕様に対応できます。具体的には80V版の組み合わせで最大480V/±1000Aまで、500V版で最大1000V/±280Aまで拡張できます。

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HIL_充放電システム紹介

・新本氏
違うレンジの試験をするためにそれぞれ別の機器を用意しなければいけないときにも、pCUBEなら接続を組み換えるだけで対応可能ですし、ちょっとだけ足りないような場合はその分だけレンタルして追加もできますので、コストもスペースも節約できる仕組みです。この技術、特に直列化の技術は8年前に当社が初めて世に出したもので、他社も追随しつつありますが自由度、品質、効率等を踏まえた完成度は現在も当社が最先端であると自負しております」

・新本氏
「先ほど説明したpCUBEをベースに充放電コントローラ、データロガー、プログラミング用充放電ソフトウエア等を加えた充放電評価装置で、Web上では『バッテリ充放電システム』の名前で掲載しています。ベースの電源ユニットが80V版と500V版の2種類あるのに応じて、電池モジュール評価用のバッテリ充放電システムがMWCDS-1008-J02/MWCDS-1250-J02の2種類、電池パック評価用の大容量バッテリ充放電システムもMWCDS-060-040A1/MWCDS-075-040A1の2種類あります」

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バッテリ充放電システム pCUBE

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大容量バッテリ充放電システム

・河原氏
「大容量バッテリ充放電システムの一番の特徴となるのは電流リップル重畳機能です。パワーユニットを小型化するためにはスイッチング周波数を上げる必要があります。ところがそうすると電流が細かく波打つリップル現象が大きくなって電池が発熱し、電池寿命を縮めてしまうという問題が起きます。この影響を評価するためには、やはり実機のパワーユニット同様のリップル電流を重畳させて充放電試験を行わなければなりません。そこで、電池パック評価用の充放電システムには電流リップル重畳機能をつけています。

また、複雑な充放電試験パターンの組み合わせを設定/実行するソフトウエア機能も大変好評です。特別なトレーニングは不要で、従来多かったExcelに符号を入力していくようなわずらわしさもありません。複雑な試験プログラムも、アイコン化された基本コマンドを選んで組み合わせていくだけで、プログラム、パターン、ステップ、コマンドの4階層で組むことができます。実車のデータを再現できる機能も当然備えています。これらの点をご評価いただき、自動車部品メーカーさまや電力会社さまなどの他、製品評価を行う専門機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構さまでも試験機材として採用いただいております」

デジタル技術を生かしてパワエレの研究開発を支援

-- 自在に直・並列が可能なpCUBEを初めとして、御社はこれまで独自技術にもとづく斬新な商品をいくつも世に出してこられましたが、そのような成果を生み出せた理由と、今後の事業展開の構想についてお願いします。

・河原氏
「パワーエレクトロニクスは、『電力技術』『電子技術』『制御技術』にまたがる、複合的な応用技術です。当社は『制御』の重要性に注目し、制御を高度化するためにデジタル制御技術と高周波回路の製品化に注力してきました。それが現在の高性能電源装置につながっています。デジタル制御の重要性は、SDGs(持続可能な開発)を目指した電力シフトの時代を迎えて、ますます高まっており、当社は今後もこの分野でよりよい技術・商品を開発して世界の技術発展に貢献していきたいと考えております」

--本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました

Mywayプラス株式会社
営業部 部長 河原和也 氏
営業部 西日本営業所 営業支援チーム TL補佐 新本智也 氏

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