振動計では一般に、
などの現象を測定します。測定処理の仕組みは、
という流れになります。
振動計の主要なメーカーには、リオン、小野測器、IMV、キーエンスなどがありますが、振動という現象を計測する分野は極めて広いため、特定の用途に特化した計測器がさまざまな企業で開発・販売されています。
信号を解析する本体とピックアップで構成されます。ハンディタイプの機器選定時にはサンプリング周期や、フィールドでの使用では、耐環境性能も考慮します。(防じん、防水のレベル、動作が保障される温湿度など)
「検定付き」であるか、また「校正書」などの有無も重要で、特に法務に関係する場合は必ず確認が必要です。後述する振動に関するJIS(日本産業規格)やISO(国際規格)などの計測規格への適合もポイントです。
組み合わせ可能な振動計システムのピックアップは
などを考慮して選定します。
例えばモーターなどの軸受けに対して一般的な故障診断を行う場合、圧電式のピックアップを選ぶことが多くあります。これは、振動加速度を圧電素子の変形(電圧が発生する)として直接取り出せることに加え、低周波(およそ10Hz前後)から10kHz以上の幅広い周波数に対応しており、故障診断の基準となるモーターの回転周波数frから、軸曲がりなどで現れる2次高調波、3次高調波までをFFT処理で一望できるためです。
一方でDCから1kHz程度の低周波に対する振動検出に関しては、機械式のピックアップが選ばれる場合もあります。いずれも先行事例が豊富に参照できる場合が多いですが、必要に応じてメーカーやコンサルタントに相談することが重要です。
振動の計測を行う機器には、電磁波を用いるものやレーザー光を用いるものもあります。
レーザー光を用いる振動計の仕組みには、
などの方式があります。
微細な振動に対して非接触で高精度な計測を行いたいときに用いられ、よくある例では
などが挙げられます。
観測信号はkHzオーダーの低周波で出力されるものが多いため、サンプリング後の波形解析には必ずと言っていいほどFFTアナライザが用いられます。LabViewなどで信号を受け、さらに複雑な解析を行うこともあります。
交通システムや自動車の乗務員・乗客に対する振動、工場や工事現場での作業者への振動については、
などの国際規格が古くから用いられてきました。
従来はJIS C 1510(振動レベル計:環境用)およびJIS C 1511(手持ち工具用振動レベル計)などの環境や工具に対する測定規定が定められていましたが、人体そのものに関する振動評価の規定は長らくJIS化されていませんでした。しかし2004年以降、人体に関する振動の規定が順次JIS化されています。
詳細については、こちらのサイトより「B7760」「B7761」などの規格番号を入力して参照できます。
振動は、同じく周波数が関係する騒音とは異なり、周波数成分ごとの感じ方、また振動が加わる人体の部位によって受ける影響が異なるため、注意が必要です。
今後の社会ではIoT化されたウエアラブルデバイスや、パーソナル・モビリティなどの新しい移動手段の登場が想定されています。騒音や電磁波と人体に関する健康や安全への基準に加えて、振動に関する基準へ配慮することは一段と重要になってくると考えられます。