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設備更新前に行うべき実測調査とは?流量・温度・電力データの取り方

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight 設備更新前に行うべき実測調査とは?流量・温度・電力データの取り方

空調設備やポンプ、熱源機、生産設備などを更新する際、既存設備と同じ能力の機器を選定すれば問題ないと判断されることがあります。

しかし、建物の使い方や生産量、稼働時間が設備の導入時とは変わっている場合、既存設備の能力が現在の負荷に対して適切であるとは限りません。

適切な設備更新を行うには、流量、温度、電力などを実際に測定し、設備がどのような条件で使われているのかを把握することが重要です。

本記事では、設備更新前に確認すべき測定項目とデータの取り方、実測結果を設備更新計画に生かすポイントを解説します。

設備更新前に実測調査が必要な理由

設備更新では、既存設備の仕様書や設計図面を確認するだけでなく、現在の運転状態を実測する必要があります。

設備の設計時には、最大負荷への対応や将来の増設を考慮し、一定の余裕を持った能力が設定されていることがあります。しかし、設備の実際の運用では設計時に想定した最大負荷まで使用されていない場合も少なくありません。反対に、生産量や利用範囲の増加によって、能力が不足している場合もあります。

現在の使用状況を確認せず、既存設備と同じ容量で更新すると、過大な容量の設備を導入する可能性があります。設備容量が大きすぎると、機器本体の価格だけでなく、付帯工事や受変電設備、配管などにかかるコストも増大する可能性があります。

設備更新前に確認すべき主な測定項目

設備更新前の実測調査では、設備の種類や用途に応じて測定項目を決めます。

実測調査では複数の項目を組み合わせて測定することで、設備がどの程度の負荷で運転されているか、能力にどの程度の余裕があるかを確認できます。

流量

流量は、水や薬液、エアなどが一定時間あたりに流れる量を示す値です。

配管設備では、実測流量を、圧力・揚程、温度、運転条件などと組み合わせて確認することで、ポンプや熱交換器の必要能力、配管口径を検討するための情報を得られます。測定時の負荷を踏まえて設計流量と比較し、必要な流量に対して不足・過剰がないかを判断します。

温度

温度データは、設備がどの程度の冷却や加熱を行っているかを把握するために必要です。

空調・熱源設備では、冷温水の往き温度と還り温度を測定します。設備の入口と出口の温度差を確認することで、冷温水がどの程度熱交換に利用されているかを判断できます。

電力

電力を測定すると、設備ごとの消費電力、ピーク負荷、時間帯ごとの運転傾向を確認できます。

機器の定格消費電力は、常にその電力を使用していることを示すものではありません。実際には、負荷率や制御状態によって消費電力が大きく変化します。

一定期間にわたって電力を記録すれば、設備が高負荷で運転している時間帯や、低負荷のまま長時間運転している状況を把握できます。

流量・温度・電力データの取り方

設備更新前の実測調査では、一時点の数値だけで設備能力を判断しないことが重要です。

設備の負荷は、生産量、稼働時間帯、曜日、季節、外気温などによって変化します。そのため、一定期間にわたってデータを記録し、複数の運転条件を比較することが重要です。

一定期間データを記録して運転条件による違いを比較する

設備の運転実態を把握するには、短時間の測定だけでなく、一定期間の連続測定を行うことが重要です。

空調設備であれば、稼働時間と非稼働時間、平日と休日、外気温が高い日と低い日では負荷が異なります。生産設備でも、生産品目や稼働台数、工程の進行状況によって必要な能力が変化します。

更新機器の容量を検討する際は、瞬間的な最大値だけでなく、その負荷がどの程度継続しているかも確認することが大切です。短時間だけ発生するピークであれば、設備容量を大きくする以外の対応を検討することもできます。例えば、業務や必要な性能に支障がない範囲で、機器の起動時刻をずらして負荷を分散できるかを確認します。

系統別・設備別に測定して負荷の偏りを確認する

複数の配管系統や設備がある場合、建物全体や設備群全体のデータだけでは、負荷の偏りを把握できません。

例えば、ポンプが複数系統へ冷温水を送っている場合、全体流量は適切でも、一部の系統だけ流量が不足していることがあります。

流量、温度、電力を系統別・設備別に測定することで、どこに負荷が集中しているか、どこに余裕があるかを確認できます。

季節ごとや更新前後の差を比較できるように記録する

空調設備では、夏季と冬季で負荷の性質が異なります。測定できる期間に余裕がある場合は、季節ごとのデータを取得することで、年間を通じて必要な設備能力を検討しやすくなります。

実測データは、設備選定だけでなく、設備更新後の効果確認にも利用します。そのため、測定日時や運転条件を含めて記録を残すことが重要です。

更新後も同様の条件で測定すれば、設備更新によって消費電力や運転状態がどのように変わったかを客観的に評価できます。

建物の壁面に沿って設置された配管とボックス

実測調査に使われる主な計測器

実測調査では、測定項目や設置条件に応じて計測器を使い分けます。

流量の測定には流量計を使用します。既存配管を加工できない場合や短期間の調査では、配管外部にセンサーを取り付けるクランプオン式流量計が適しています。配管を切断せずに測定できるため、設備を大きく変更せずに実測データを取得できます。

ただし、配管材質や口径、流体の状態によって使用できる機種が異なるため、事前に適用条件を確認する必要があります。

温度測定には、熱電対、測温抵抗体、表面温度センサーなどを使用します。配管表面の温度を測定する場合は、センサーを配管に確実に密着させ、外気温の影響を受けにくいように保温することが大切です。

電力の測定には、電力計やクランプメーターを使用します。クランプメーターは配線を切断せずに電流を確認できますが、電流値だけでは正確な消費電力を把握できない場合があります。設備更新に必要な電力データを取得する場合は、電圧、電流、力率などを測定できる電力計を使用します。

複数地点の温度や、流量計・電力計から出力される測定値を一定間隔で記録する場合は、データロガーを使用します。設備の起動・停止や負荷変動と測定値の関係を時系列で確認できます。

実測データを設備更新計画に生かすポイント

実測調査で取得したデータは、設備更新の必要性や機器容量を決めるための根拠になります。

カタログ上の性能や既存設備の仕様だけでなく、現在の負荷に基づいて計画を立てることで、過大な投資や更新後の能力不足を防ぎやすくなります。

必要能力を把握して適切な機器容量を検討する

流量、温度、電力のデータを確認すると、設備が実際にどの程度の能力を必要としているかを把握できます。

例えば、既存設備が定格能力に対して低い負荷で運転されている場合は、更新時に容量を小さくできる可能性があります。

反対に、ピーク時に定格付近で長時間運転している場合は、必要な流量や温度を満たせているか、将来の負荷増に対応できるかを確認します。その上で、同等以上の能力を持つ機器や負荷分散を検討します。

必要能力を実測値から確認した上で、運用上必要な余裕を加えることが、適切な容量選定につながります。

省エネ効果や電力削減効果を試算する

更新前の消費電力、運転時間、負荷率を把握しておけば、新しい設備へ更新した場合の削減効果を試算できます。

既存設備の定格消費電力だけを使った試算では、実際の運転状態との間に差が生じる場合があります。

実測した時間帯別の消費電力や年間運転時間を使うことで、より現実的な省エネ効果を算出できます。

更新前後のデータを比較して導入効果を確認する

設備更新後は、機器が正常に動いているかを確認するだけでなく、更新前と同じ項目を再測定します。

流量や温度が必要な条件を満たしているか、運転時間や負荷などの条件をそろえたときに消費電力が計画どおり削減されているかを比較することで、導入効果を数値で確認できます。

また、期待した効果が得られていない場合は、機器の選定ではなく、制御設定、運転時間、バルブ開度、配管バランスなどに原因がある可能性もあります。

更新前後のデータを同じ運転条件で比較し、必要に応じて設定を調整することで、設備本来の性能を引き出しやすくなります。

設備更新前の実測調査は適切な機器選定に欠かせない

設備更新を適切に進めるには、既存設備の仕様や設計値だけでなく、現在の運転状態を実測することが重要です。

流量を圧力・揚程や温度などと組み合わせて確認すれば、ポンプや熱交換器の必要能力、配管口径を検討する手がかりになります。温度差と流量を併せて測定すれば、冷却・加熱や熱交換の状態を把握しやすくなります。

実測調査では、一時点の数値だけでなく、一定期間にわたって低負荷時やピーク時など複数の運転条件のデータを取得することが大切です。

取得したデータを基に必要能力を検討すれば、過大な設備投資や能力不足を防ぎやすくなります。

設備更新前の実測調査は、適切な機器選定だけでなく、投資判断、省エネ計画、更新後の運用改善まで支える重要な工程です。

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