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冷温水配管の流量バランスを確認する方法|空調・熱源設備の保守点検に必要な測定

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight 冷温水配管の流量バランスを確認する方法|空調・熱源設備の保守点検に必要な測定

空調設備や熱源設備では、冷凍機やヒートポンプなどでつくられた冷水・温水を配管によって各空調機へ供給しています。建物内に複数の系統がある場合、それぞれに必要な量の冷温水が流れていなければ、空調能力を十分に発揮できません。各系統へ、その負荷に応じて必要な流量が分配されている状態が、ここでいう「流量バランス」が取れた状態です。

こうした問題を防ぐには、冷温水の流量、往還温度差、圧力、差圧などを実際に測定し、各系統の状態を数値で確認することが重要です。

本記事では、冷温水配管の流量バランスを確認する方法と、バランスが崩れる主な原因、保守点検に使用する計測器について解説します。

冷温水配管の流量バランス確認が必要な理由

冷温水配管では、熱源機でつくられた冷水や温水を、各空調機や熱交換器へ適切に分配する必要があります。

配管の距離や口径、分岐数、バルブ開度などが異なると、冷温水は抵抗の小さい系統に流れやすくなります。他の条件が同じであれば、配管が短いほど圧力損失は小さくなるため、熱源機に近い系統では流量が多くなり、遠い系統では流量が不足する可能性があります。

流量不足が起きると、空調機へ必要な冷温水が供給されず、室内を設定温度まで冷却・加熱できない可能性があります。

特定の部屋だけ暑い、暖房が効きにくいといった現象が発生している場合は、配管系統の流量バランスに問題がある可能性があります。

空調の快適性と設備の効率を維持するためには、各系統の流量を測定し、設計条件や実際の負荷に合ったバランスになっているかを定期的に確認することが大切です。

冷温水配管の流量バランスで確認すべき測定項目

流量バランスを確認する際は、流量だけを見て判断するのではなく、往還温度差や圧力、差圧も併せて測定します。

複数のデータを組み合わせることで、流量の過不足だけでなく、熱交換の状態や配管抵抗、ポンプ運転の適否まで確認しやすくなります。

流量

流量は、各配管系統に必要な冷温水が供給されているかを確認する基本的な測定項目です。機器仕様書に記載された設計流量と実測値を比較することで、流量不足や流量過多が発生していないかを判断できます。

例えば、ある系統だけ実測流量が設計値を大きく下回っている場合は、バルブの開度不足、ストレーナーの目詰まり、配管抵抗の増加などが考えられます。

反対に、設計値を大きく上回っている場合は、例えば、その系統のバルブが必要以上に開いているなど、バランス調整が不十分で、ほかの系統の流量を減少させている可能性があります。

流量を測定する際は、建物全体の総流量だけでなく、可能な範囲で枝管や空調機ごとの流量も確認することが重要です。

往還温度差

往還温度差とは、往き配管と還り配管を流れる冷温水の温度差です。

冷房運転では、往き側の冷水が空調機で室内の熱を受け取り、温度が上昇して還り側へ戻ります。暖房運転では、温水が熱を放出するため、還り側の温度が低くなります。

往還温度差を確認することで、冷温水による熱交換の状態を把握できます。

流量が多く、往還温度差が小さい場合は、実際の空調負荷に対して流量が過剰になっている可能性があります。ただし、温度差が小さくなる原因には、低負荷運転やバイパス流、制御弁や空調機側の状態などもあるため、関連する測定値を併せて確認する必要があります。反対に、流量が少なく往還温度差が大きい場合は、流量不足や空調負荷の増大などが考えられます。

圧力・差圧

圧力や差圧の測定は、ポンプが冷温水を適切に送り出しているか、配管内に過大な抵抗が発生していないかを確認するために行います。例えば、ポンプの吸い込み側と吐出側の圧力を同じ運転条件の正常時と比較し、供給状態の変化を確認します。

差圧は、測定位置に応じて評価する必要があります。ストレーナーや熱交換器の前後差圧が基準値より大きい場合は、内部の汚れや目詰まりが考えられます。一方、配管系統の供給側と還り側の差圧が不足している場合は、ポンプの能力や回転数、バイパス配管への流量などを確認します。

流量と差圧を併せて確認することで、ポンプや配管系統の状態をより詳しく評価できます。

冷温水配管の流量バランスを確認する方法

流量バランスの確認は、主に以下の手順で実施します。測定と、原因を絞り込むための確認の流れを解説します。

設計流量と実測流量を比較する

最初に、設備図面や機器仕様書から各系統の設計流量を確認します。その上で、主管、枝管、空調機など、測定可能な位置で実際の流量を測定します。

設計値と実測値に差がある場合は、すぐにバルブを調整するのではなく、配管系統や運転条件を確認することが重要です。

例えば、熱源機やポンプの運転台数が通常と異なれば、流量も変化します。また、二方弁を使用した変流量方式では、空調負荷に応じて流量が変わるため、設計最大流量と単純に比較できない場合があります。

同じ系統の設計値や過去の測定値を比較基準とし、負荷、運転台数、設定などの条件をそろえて評価する必要があります。部分負荷時には、その時点で必要な流量も考慮します。

往還温度差から流量の過不足を判断する

往還温度差は、流量測定の結果を補足する重要なデータです。実測流量が多く、往還温度差が小さい場合は、実際の空調負荷に対して流量が過剰になっている可能性があります。低負荷運転やバイパス流、制御弁の状態なども確認した上で、ポンプの回転数やバルブ開度を調整することで、搬送動力を抑えられる場合があります。

一方、流量が少なく、往還温度差が大きい場合は、流量不足や空調負荷の増大などが考えられます。室内温度や空調機の運転状態も併せて確認し、必要な熱量を供給できているかを判断することが重要です。

流量と温度差を同時に確認することで、単に水が流れているかだけでなく、その流量が設備負荷に対して適切かを判断しやすくなるでしょう。

系統ごとの測定結果を比較して偏りを確認する

複数の配管系統がある場合は、各系統の流量、往還温度差、差圧を一覧にまとめて比較します。

一部の系統だけ流量が少ない場合は、その系統のバルブ、ストレーナー、配管内部などに問題がある可能性があります。反対に、一部の系統だけ流量が多い場合は、その配管の抵抗が小さいため、流量がその系統に偏っている可能性があります。

建設中の建物の床に敷設された色分けされた配管

冷温水配管の流量バランスが崩れる主な原因

冷温水配管の流量バランスが崩れる原因はさまざまです。測定結果から可能性の高い原因を絞り込み、必要な点検や調整を行いましょう。

バルブ開度や調整不良による流量の偏り

各系統に設置されたバルブの開度が適切でないと、流量に偏りが生じます。

抵抗の小さい近距離の系統でバルブが大きく開いていると、そこに冷温水が集中し、遠方の系統で流量が不足する可能性があります。

保守点検では、系統ごとの流量を測定しながらバルブ開度を調整します。ただし、一つのバルブを調整するとほかの系統の流量も変化するため、全体の数値を繰り返し確認することが必要です。

ストレーナーや配管内の汚れによる流量低下

ストレーナーの目詰まりや配管内のスケールは、流路を狭くし、配管抵抗を増加させます。

特定の系統で流量が減少し、ストレーナーや熱交換器の前後差圧が大きくなっている場合は、内部の汚れや目詰まりが疑われます。

清掃や洗浄を行った後は、再度流量と差圧を測定し、改善効果を確認します。定期的に測定値を記録しておけば、徐々に進行する目詰まりも把握しやすくなります。

ポンプ能力の不足や過剰運転

ポンプの能力が不足していると、末端の系統まで必要な流量や圧力を確保できません。羽根車の摩耗、回転数の低下、吸い込み側の異常などによって、以前より能力が低下することもあります。

一方、必要以上の回転数や台数でポンプを運転している場合は、流量や差圧が過大となり、消費電力が増加する可能性があります。

流量、差圧、消費電力を測定し、実際の負荷に対して適切なポンプ運転となっているかを確認することが重要です。

負荷変動に対して制御設定が合っていない

空調負荷は、季節、時間帯、在室人数、外気温などによって変化します。例えば、最大負荷を前提とした設定で常時運転すると、中間期や低負荷時に流量が過剰になる可能性があります。

インバーターによるポンプ制御や差圧制御を導入していても、差圧の設定値やセンサー位置が適切でなければ、流量が過剰・不足となったり、十分な省エネ効果を得られなかったりする場合があります。

流量や差圧を時間帯ごとに記録し、負荷の変化に応じて制御が適切に追従しているかを確認します。

冷温水配管の保守点検に使われる計測器

冷温水配管の流量バランスを確認する保守点検では、以下の計測器を使用します。

  • 流量計
  • 温度センサー
  • 圧力計
  • 差圧計
  • データロガー

流量計は、単位時間あたりに流れる冷温水の量を測定します。機器には、配管内に直接設置するタイプのほか、配管の外側にセンサーを取り付けるクランプオン式があります。クランプオン式は配管を切断せずに測定できるため、既存設備の短期調査に適しています。ただし、配管材質や口径、流体、センサーの設置位置などの適用条件を確認する必要があります。

温度センサーは、往き配管と還り配管に設置して温度差を測定します。表面温度センサーを使用する場合は、配管表面に密着させ、外気の影響を受けにくいように保温することが重要です。

圧力計や差圧計は、ポンプやストレーナー、熱交換器などの前後の圧力を確認するために使用します。

また、データロガーを用いて流量、温度、圧力を一定間隔で記録すれば、時間帯や負荷に応じた変化を把握できます。

一時点の測定だけでなく、数日間にわたってデータを取得することで、時間帯や負荷に応じた運転傾向を把握しやすくなります。

測定結果を保守点検・省エネ改善につなげるポイント

流量バランスの測定は、数値を確認するだけで終わらせず、保守点検や運転改善に反映することが大切です。

まず、設計値や過去の測定値と比較し、流量、往還温度差、圧力・差圧に大きな変化がないかを確認します。異常が見つかった場合は、バルブ調整やストレーナー清掃、配管洗浄、ポンプ設定の変更など、原因に応じた対応を行います。

調整や清掃などの対応後は同じ条件で再測定し、流量バランスや往還温度差が改善したかを確認します。室内温度や設備の消費電力も併せて測定すれば、空調性能と省エネ効果の両面から評価できます。

また、調整前後の数値を記録しておけば、バルブ調整や清掃によって流量バランスがどの程度改善したかを確認しやすくなります。

また、測定日時、運転条件、バルブ開度、測定値、実施した対策を記録しておくことも重要です。

定期的にデータを蓄積することで、配管内部の汚れやポンプ性能の低下など、設備の変化を早期に発見しやすくなります。

冷温水配管の流量バランスは複数の測定値で確認する

冷温水配管の流量バランスは、空調の効き方や室内の快適性、熱源機・ポンプの運転効率に関わる重要な点検項目です。

流量バランスを確認する際は、各系統の流量だけでなく、往還温度差、圧力、差圧を併せて測定することが大切です。

各系統の測定値を設計条件や過去の値と照合し、系統間でも比較することで、バルブ調整の不良、配管内部の汚れ、ポンプ能力、制御設定などの問題を絞り込めます。

測定結果に基づいて調整や清掃を行い、その後に再測定することで、保守作業の効果を客観的に把握できます。

定期的にデータを記録し、設備の状態変化を把握することが、安定運転と継続的な省エネ改善につながるでしょう。

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