
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、国内では企業のCO2排出量削減を促す制度整備が進んでいます。2026年度からは、一定規模以上のCO2排出を行う事業者を対象とした排出量取引制度が本格稼働し、排出量の算定や報告の重要性が高まっています。
排出量の算定では、基礎となるデータの正確性が重要です。GX-ETSでは、計量器の精度管理が重視されており、特定計量器は信頼性の高い計量器として扱われます。
本記事では、GX-ETS対応で押さえておきたい特定計量器の概要や種類、実務上の確認ポイントについて解説します。
GX-ETSは、企業のCO2排出量に関する取引制度です。2023年度から行われていたGXリーグの枠組みでの試行的な取り組みを経て、2026年度からは改正GX推進法に基づく排出量取引制度が本格稼働しています。
2026年度以降の制度では、一定規模以上のCO2排出を行う事業者が制度の対象となります。制度の対象となる事業者は、排出実績量の算定や届出、移行計画の提出などに対応する必要があります。なお、制度開始時の負担を軽減するため、2026年度は手続きや期限を一部後ろ倒しとする特例スケジュールが設けられています。
排出量取引制度では、CO2排出量の算定結果が制度運用の基礎となるため、算定に用いるデータの正確性が重要です。
特定計量器とは、計量法に基づき、適正な計量を確保するために構造や器差に関する基準が定められている計量器です。取引や証明に特定計量器を用いる場合は、検定証印または基準適合証印が付されたものを使用する必要があります。種類によっては、検定等の有効期間の管理も求められます。
身近な例としては、タクシーメーターやガソリンスタンドの燃料油メーターなどがあります。こうした計量器は、取引の公平性を確保する上で高い信頼性が求められます。

GX-ETSでは、排出実績量を正確に算定・報告するため、算定の基礎となる活動量データにも一定の信頼性が求められます。
特定計量器で計測したデータは、精度管理された計量器による信頼性の高いデータとして扱われます。そのため、排出実績量の報告では、特定計量器とそれ以外の計量器を区分して報告する仕組みが設けられており、特定計量器を使用した場合は一部の報告項目が簡素化されています。
一方、特定計量器以外の計量器を使用する場合は、計量器の精度を確認した上で、制度上必要な報告に対応する必要があります。
経済産業省は、特定計量器として18器種を定めています。内訳は以下のとおりです。
特定計量器を使用する際は、計量器の種類に応じて、検定証印または基準適合証印の有無、有効期間、定期検査の要否を確認することが重要です。
例えば、取引や証明に特定計量器を用いる場合は、適切な証印が付された計量器を使用する必要があります。また、種類によっては検定等の有効期間が定められているため、期限切れになっていないかも確認しなければなりません。
定期検査が必要な特定計量器については、定められた周期で検査を受ける必要があります。GX-ETS対応では、計量器の種類だけでなく、制度上求められる精度管理や報告内容を把握し、継続的に管理することが重要です。
また、GX-ETSへの対応では、計量器を導入するだけでなく、どの設備のどの活動量データを、どの計量器で把握するのかを整理しておくことも重要です。算定根拠を明確にすると、報告時の確認や社内管理を進めやすくなります。特に複数拠点を持つ企業では、計測ルールを統一し、記録方法までそろえる視点も欠かせません。
特定計量器は、取引や証明に用いる際に、適正な計量を確保するための基準が定められた計量器です。GX-ETSでは、排出実績量の算定や報告に用いるデータの信頼性が重要になるため、計量器の精度管理を適切に行う必要があります。
特定計量器を使用する場合は、証印の有無や有効期間、定期検査の要否を確認し、制度上求められる報告に対応できる管理体制を整えることが重要です。