
工場や商業施設、オフィスビルなどでは、電気料金の削減に向けて使用電力量の削減に取り組むことが一般的です。
しかし、高圧契約の一部では、使用電力量だけでなく契約電力も電気料金に影響します。契約電力は最大需要電力をもとに決まるため、電力使用が集中する時間帯の管理も重要です。
デマンド監視は、こうした電力の使われ方を把握し、最大需要電力の上昇を防ぐための手法です。
本記事では、デマンド監視の基本から、電気料金削減につながる理由、導入時のポイントまで解説します。
デマンド監視とは、30分単位の平均使用電力である「デマンド値」を監視し、最大需要電力の上昇を防ぐための取り組みです。高圧契約の一部では最大需要電力をもとに契約電力が決まるため、電気料金の削減にもつながります。
デマンド値とは、30分単位の平均使用電力です。
そのため、短時間でも空調や生産設備が同時に稼働すると、30分単位の平均使用電力である「デマンド値」が高くなり、最大需要電力に影響する可能性があります。
最大需要電力とは、一定期間に記録されたデマンド値のうち最も高い値です。
特に高圧契約のうち小口区分(契約電力500kW未満)では、当月を含む過去1年間の最大需要電力をもとに契約電力が決まります。そのため、電力使用が集中するとデマンド値が上昇し、結果として契約電力や基本料金の上昇につながる可能性があります。
電気料金は使用電力量だけで決まるわけではありません。実際には、契約電力ごとに異なる基本料金と使用電力量に応じた料金で構成されています。
高圧契約のうち小口区分では最大需要電力が契約電力を決める要素になるため、デマンド監視によって電力ピークを抑制し、最大需要電力を低減することがコスト削減につながります。
高圧契約の電気料金では、契約電力が大きいほど基本料金も高くなります。
電力ピークが高い状態が続くと最大需要電力が上昇し、基本料金の高い契約電力区分につながる可能性があります。
契約電力500kW未満の高圧契約では、一度大きな電力ピークが発生すると、その値が一定期間の契約電力に影響します。
夏場の空調負荷や設備の同時起動など、一時的な電力ピークにも注意が必要です。
デマンド監視を行うと、電力使用が集中する時間帯や設備を把握しやすくなります。
電力ピークの原因を特定できれば、設備の一時停止、稼働時間の調整、運用ルールの見直しなど、具体的な対策につなげられます。
ピークカットとは、電力使用が大きくなる時間帯に一部設備の稼働を抑え、デマンド値の上昇を防ぐ方法です。
空調、照明、冷凍機、ポンプなど、短時間であれば調整できる設備を対象とすることで、実施しやすくなります。
ピークシフトとは、電力を多く使う作業や設備稼働を別の時間帯に移す方法です。
生産工程、充電設備、空調の予冷・予熱などを調整することで、電力使用の集中を避け、電力ピークの抑制につなげます。
電力ピークは、複数の設備が同時に稼働することで発生しやすくなります。
運転開始時間をずらす、設定温度を調整する、不要な照明や設備を停止するなど、日常運用の見直しも有効です。

デマンド監視装置・EMS(Energy Management System:エネルギーマネジメントシステム)は、電力やエネルギーの使用状況を可視化し、管理・最適化するシステムです。
デマンド監視装置やEMSを導入すると、電力使用状況を継続的に把握し、電力ピークの発生前に対応しやすくなります。
目視や手入力による管理では把握しにくい電力使用状況もデータとして確認できます。
デマンド監視装置やEMSでは、現在の電力使用状況や予測デマンド値をリアルタイムで確認できます。
設備の稼働状況と電力ピークの関係を分析できるため、対策すべき時間帯や設備を把握しやすくなります。
設定したデマンド値を超えそうな場合にアラートを出せるため、デマンド値が目標値を超える前に対応できます。
アラートを受けて担当者が設備の運転を調整したり、デマンド監視装置やEMSと連携して自動制御したりすることで、超過リスクを抑えられます。
電力使用データを蓄積すれば、省エネ施策の効果確認やCO2排出量の管理にも活用できます。
電気料金の削減だけでなく、脱炭素経営や環境報告への対応を進める上でも役立ちます。
デマンド監視を導入する際は、装置を設置するだけでなく、自社でどの設備を調整できるかを確認することが重要です。
制御できる設備が少ない場合、期待した削減効果が得られにくいことがあります。
空調、照明、ポンプ、コンプレッサー、生産設備など、一時的な停止や運転調整が可能な負荷を把握することが重要です。
業務や品質に影響を与えずに調整できる設備を整理することで、現実的な対策を立てやすくなります。
デマンド監視の際は、アラートを受けて担当者が手動で対応するのか、EMSと連携して自動制御まで行うのかを決めます。
施設の規模、人員体制、設備の重要度に応じて、無理なく継続できる運用方法を選ぶことが大切です。
導入費用や月額費用に対して、どの程度の電気料金削減や省エネ効果が見込めるかを試算することも大切です。
過去の電力使用データやピーク発生状況をもとに、投資回収期間を確認しておくと、判断しやすくなります。
デマンド監視は、最大需要電力を把握し、電力ピークを抑えるための基本的な対策です。
特に高圧契約の施設では、契約電力や基本料金の上昇を防ぐのに役立ちます。
電力使用状況の見える化、設備運用の見直し、EMSの活用により、電気料金の削減と省エネ管理を同時に進められます。