計測に関する分野で信号を取り扱っているときに、その信号を元の波形を正確に保ったまま(ひずみなく)減衰させたくなるシーンがあります。
また、設備などで機器Aから機器Bへ信号をインターフェースする際に、受信する側の都合で信号のレベルを一定値だけ下げたいこともあります。
このような場合にはアッテネータ(減衰器)を用いて信号レベルを適切なパワーまで調整します。信号の減衰量に関する単位は、直観的に理解しやすいようにdBで表現しています。
信号が依存している物理現象や利用目的、信号周波数によって主に以下の種類に分けられ、用途に応じていずれかを選ぶことになります。
機器の選定においては、
などのスペックを確認することが重要です。
多くの場合は製品に添付された個別のスペックシートを信頼して使います。 ただ、自分でVNA(ベクトル・ネットワーク・アナライザ)などを使い、機器が持つ特性を実測することで確認が必要な場合もあります。
信号経路をねじ形状ではめ合いする機器ですので、コネクタの締め付けトルク量も重要な要素です。 これらの製品マニュアルには、トルクレンチの利用について詳しく説明されているものがありますのでよく確認しましょう。
機器の選定においては、
が重要です。
光学機器は実験や通信によって求められる機能が幅広いため、個々の事例については割愛しますが、一般に光アッテネータという場合、特定波長のレーザー光線を減衰させるために用いられます。
機器の選定においては、
が重要です。
それに加えて、操作時の減衰カーブ特性などについてもチェックが必要です。
生産設備、基地局、ラボなど、高周波信号を扱う施設で用いられます。 アッテネータによって減衰された信号のパワーは熱損となりますが、数ワット以上の出力に対応したものは、必ず放熱器を備えています。 CW(連続波)を入力して連続使用する場合は、焼損しないようアッテネータ本体の温度やハウジング内など設置場所の温度にも注意が必要です。 精度の高いものは熱損と減衰量に精密な相関性があり、高周波のパワーメータではこの性質を利用して(パワーセンサー内に温度センサーを備える)送信出力を計測しています。
特定波長のレーザー光に対し、設定値の減衰を行います。 光通信に用いるトランシーバー・モジュールのテストや敷設されたファイバー網のテストなどで活躍します。 ラボでは各種光学実験で使いますが、最近ではレーザー光を用いた量子もつれの研究などでも利用されています。
かつてはハーフミラーやNDフィルターの機械的な組み合わせで減衰させる製品が主でしたが、最近ではMEMSを用い、印加電圧に応じた減衰を実現するものも登場しています。
基本的にはDCからkHz、数MHzまでの低周波で減衰動作を保証します。
複数の抵抗器で構成され、動作カーブやステップに特徴を持たせたものが部品として販売されています。
低周波信号を用いる音声の分野では(プロオーディオなど)、用途や接続対象に合わせて、ざっくりとインピーダンスの決定をします。 適用する回路にもよりますが、必ずしもマッチングする必要はなく(効率はそこまで重視しない)、「Low出し・High受け」の考え方で運用することになります。 ただし、放送や音声通信設備などでは、場合に応じて正確なマッチングが必要です。
「計測器」の文脈では、「抵抗減衰器」の製品名で600Ωのインピーダンスを持ち、低周波をカバーするものが提供されていましたが、 最近ではプロオーディオの現場も随分と変化しましたので、あまり一般的ではなくなっています。