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測定器 Insight

AIデバイスとしてメガネ型デバイスの注目度が再上昇

産業タイムズ社

測定器 Insight AIデバイスとしてメガネ型デバイスの注目度が再上昇

 AI市場が拡大する中、メガネ型デバイスがAIグラスとして、AIへのアクセスインターフェースの主流になる可能性が高まっていますメタ・プラットフォームズ(Meta)とサングラスブランドのレイバンによる「Ray-Ban Meta」シリーズは販売面でも存在感を高めており、AIグラス市場の立ち上がりを象徴する製品の一つとなっています。

 関係者の間では、2025年をメガネ型デバイス市場の転換点とみる見方もあります。生成AIの進化によって、メガネ型デバイスが「AIにアクセスするためのインターフェース」として再評価され始めたためです。実際、現時点で多くのメーカーが「AIグラス」という名称を前面に掲げているわけではありませんが、製品設計の中心がAI活用へ移りつつあるのは確かです。今後の市場では、音声・カメラを中心とするディスプレイ非搭載型と、情報表示に対応するディスプレイ搭載型という形で整理されていく可能性があります。

 AIグラスに搭載されるディスプレイについては、マイクロLEDが主流になるとみられています。映像を重視するタイプのAR(AI)グラスでは、マイクロOLED(OLEDoS)がリードしていますが、通知などをメインの用途とするタイプではオーバースペックなディスプレイになってしまいます。加えて、屋外での視認性の高さやよりメガネに近い軽量さ、低消費電力性が追求されると、将来的にはマイクロLEDに軍配が上がるとみられています。

 しかし、マイクロLEDはすでに開発も市場展開も進められているもののいまだ課題も多く、高効率なフルカラーチップの量産展開が待たれるところです。このほか、レーザー光源にも注目が集まっており、数年後の次世代機に向けて、レーザーによる表示方式の開発をロードマップに組み込むメーカーもあるといいます。

グーグルはAIグラスを正式披露、音声モデルを2026年秋に先行投入

 グーグルは、2026年5月のGoogle I/O 2026で、GeminiとAndroid XRを中核とする「intelligent eyewear」を正式に披露しました。今回示されたのは、耳元で音声支援を提供するaudio glassesと、必要な情報を視界内に表示するdisplay glassesの2タイプです。まずaudio glassesが2026年秋に先行投入される予定です。

 グーグルはSamsungと連携し、アイウエアブランドのGentle MonsterおよびWarby Parkerとともに、日常的に装着しやすいデザインの製品化を進めています。機能面では、ナビゲーション、メッセージ送信、写真・動画撮影、リアルタイム翻訳などを想定しており、スマートフォンを取り出さずにGeminiを利用できる新しいAIインターフェースとして位置付けています。

 また、XREALと共同で進める有線型XRグラス「Project Aura」も、Android XRエコシステムの一角を担います。Project Auraは、70度の広視野角を備えた光学シースルー方式の有線型XRデバイスで、コンピューティングユニットとバッテリーを内蔵した処理パックと接続することで、グラス本体の軽量化を図っています。2026年5月のGoogle I/O 2026で一般披露され、現在は「XREAL AURA」として2026年秋の投入に向けた予約受付が始まっています。

メタはAIグラスにディスプレイ初搭載

 メタは、2025年9月に開催された開発者向け技術カンファレンス「Meta Connect 2025」において、Ray-Ban Meta(第2世代品)のアップデート(AI機能の強化)と、ディスプレイを初搭載した新製品Ray-Ban Meta Displayなどを披露して話題をさらいました。

 また、手首に装着するAI入力デバイス「Neural Band」も発表しました。これはRay-Ban Meta Displayを操作するデバイスで、空中で文字を書くような指の動きやジェスチャーを検出して、表示されたメッセージに返信したり、メニューを選択したりすることができるものです。同社ではRay-Ban Meta DisplayとNeural Bandの組み合わせを「AIとの最も自然なインターフェース」と位置付けています。

 さらに同社は、AIグラスを①カメラ付きAIグラス、②ディスプレイ付きAIグラス、③拡張現実(AR)グラスの三つのカテゴリーで製品群を整理し、それぞれを発展させていく方針を示しました。①では、レイバンやオークリーといった世界的に有名なアイウエアブランドと連携して、スタイルやブランドの拡充を進めつつ対応機能も強化していきます。②では、Meta Ray-Ban Displayの高性能でさまざまな状況に対応できるディスプレイを核とする新しいカテゴリーを開拓していくといいます。③では、2024年のカンファレンスで発表した開発者向けARグラスのプロトタイプ「Orion」のように、大型ホログラフィックディスプレイや高帯域入力、そして周囲の世界を拡張するデジタル体験を提供していくといいます。なお、このOrionについては、コンシューマー向け機種の開発も進めています。

日本企業も展開を加速

 日本企業ではTDKが、AIグラス向けソリューション事業を加速させるため、システムソリューションの新事業「TDK AIsight」を立ち上げています。新事業は、物理世界を感知・理解するフィジカルAIと生成AIを組み合わせることで、直感的で使いやすいAIグラスの実現に貢献する考えです。

 新事業の名前は、AI(人工知能)とeyesight(視覚)を組み合わせた造語です。同社は、フィジカルAI向けにTDKの独自技術とアイインテント/トラッキングのソリューションを提供し、AIグラス向けに設計されたマイクロコントローラー、ステートマシン、ハードウエアによる畳み込みニューラルネットワークエンジンを統合した次世代マイクロプロセッサー「TDK AIsight SED0112」を展開します。

 SED0112は、省電力機構をサポートしており、フロー制御を簡素化し、センサーや複数の異なる解像度の映像センサーに対応します。SED0112に搭載されたハードウェアCNNアーキテクチャは、特にアイインテント(視線意図検出)処理に最適化されています。

 TDKの齋藤昇CEOは「TDK AIsightは、AIエコシステムへの貢献という当社の戦略を具現化したもので、コンシューマー向けにも産業向けにもソリューションを展開でき、当社の成長において重要な役割を果たす」とコメントしています。

 三井化学は、ウエーブガイド(光導波路)向け樹脂ウエハーの「Diffrar」(ディフラ)の製品群を拡充しています。ウエーブガイド技術を用いたARグラスは、薄く透明なレンズ(ガラスまたはプラスチック)内に光を伝搬・投影し、現実世界とデジタル情報を融合する次世代ディスプレイ技術です。小型プロジェクターと連携し、軽量で洗練されたデザインを実現しています。ウエーブガイド向けでは、HOYAやAGCの高屈折率ガラス、Cellidの広視野角モジュールなどが産業界リードしています。その中でHOYAやAGCの高屈折率ガラス、Cellidの広視野角モジュールなどが産業界をリードしています。その中でディフラは、1.67以上の高屈折率と、高平坦性などの優れた光学特性を持ち、ARグラスユーザーへ広い視野角を提供します。2023年12月に3/6/8インチ品(当時8インチサイズの実現は世界初)をラインアップし、2025年12月には、12インチ品の開発にも世界で初めて成功しました。

 三井化学は「2~3年ほど前から、ARグラスの軽量化を視野に樹脂製のウエーブガイド材料の開発に注力してきた。当部署では、スマートフォンのカメラレンズに使用されるCOC(環状オレフィンコポリマー)樹脂の『アペル』も扱っており、お客さまの顔ぶれが同じことから、ウエーブガイド基板についても早い段階でさまざまなニーズが寄せられ、いち早く開発に着手できた。ガラスは屈折率2.0が実現可能だが、その分重たくなってしまうため、樹脂とガラスとですみ分けられるだろう」としています。

 また三井化学は現在、フィンランドのウエーブガイドメーカーのDispelixと協業しているほか、国内ベンチャーのCellidや東京科学大学と医療用ARグラスの研究開発も進めています。

 「ARグラスの本格普及は2030年ごろになると見ている。ディフラは、現在はプロジェクトベースだが、2030年までに事業化する計画で、そのゴールに向け着々と歩を進めている。普及製品に採用されるためには、素材の性能の高さだけでなく、加工工程におけるバランスが重要だ。詳細は申し上げられないが、樹脂をウエハー形状にするのもノウハウの塊で、間違いなく当社が最先端であると自負している」(三井化学)といいます。

 ARグラスは、AIの進化とともに、そのアクセスインターフェースとしての地位を獲得し、AIグラスとして普及が始まりつつあります。将来的にはスマートフォンのようにコンシューマー市場で広く普及するといった予測も出始めています。そして今後は、ウェーブガイドを用いてAIを活用して得たさまざまな情報を視界に投影するタイプのグラス製品が主流になると言われています。ウエーブガイドの素材はガラス基板が中心ですが、軽量化の観点から樹脂基板の開発も進められています。

 AIを軸に新たに構築されつつあるメガネ型デバイス市場は2026年以降、いよいよ本格的な市場形成へと歩を進めそうです。各社の取り組みが進展するにつれて、OS、光学系、AIモデル、アプリストア、広告、決済などのエコシステムが再編され、日常のインターフェースは、スマートフォン以来の大転換期を迎えるかもしれません。

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