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GX-ETS第2フェーズに備えた排出量算定について

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight GX-ETS第2フェーズに備えた排出量算定について

GX-ETS第2フェーズから、温室効果ガスの排出量の算定・報告・検証(MRV)が本格的に始まります。GX-ETS第1フェーズは本格運用に向けた検証段階に相当し、参加企業は自ら定めた削減目標に基づき排出量実績を報告しました。GX-ETS第2フェーズでは、第1フェーズの知見を踏まえて排出量算定の精度が高められ、対象となる企業には改正GX推進法に基づく対応が義務付けられます。

本記事では、経済産業省が実施した排出量取引制度小委員会(以下、会合)の情報に基づき、GX-ETS第2フェーズの概要や算定対象範囲、排出量算定法の見通しについて解説します。

GX-ETS第2フェーズの概要

GX-ETS(排出量取引制度)の第2フェーズは、三つのフェーズのうちの2番目にあたり、制度が本格的に運用される段階です。GX-ETSは、欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)や韓国ETSなどの先行事例を参考にしながら、規制対象や割当方法などの制度設計が進められています。今回実施予定のGX-ETS第2フェーズでは、J-クレジットやJCMクレジットといったカーボンクレジットの使用が限定的に認められる方向で検討されています。

GX-ETS第2フェーズの開始時期

GX-ETS第2フェーズは2026年度から開始し、2033年度から始まる予定の第3フェーズへと橋渡しする予定です。GX-ETS第2フェーズの詳細設計については、経済産業省が主導で2025年7月から7回にわたって会合が開かれ、議論が続けられました。最初の会合では、開始・終了時期について情報が開示されました。なお、2033年度から開始予定のGX-ETS第3フェーズでは、発電事業者に有償オークションが導入されるなど、対策が強化される予定です。

GX-ETS第2フェーズでは、二酸化炭素の直接排出量(Scope1)が、前年度までの3カ年度平均で10万トン以上となる事業者のうち、300〜400程度が参加すると予想されています。また、削減目標などの移行計画を、毎年度提出・公表することも義務付けられるとみられます。

第1フェーズとの違い

GX-ETS第2フェーズと第1フェーズとの違いは、法的拘束力の有無です。第1フェーズでは、二酸化炭素排出量50%を占める企業約700社がGXリーグに参加し、削減目標を自主的に決められました。しかし、未達成に対するペナルティもないため、実効性や公平性の観点から課題が残りました。

一方、第2フェーズでは、制度の対象となる企業はGX-ETSへの参加が義務付けられ、活用可能なカーボンクレジットやペナルティなどが規定されます。

GX-ETS第2フェーズに備えた排出量算定について 挿絵

GX-ETS第2フェーズの算定対象範囲

GX-ETS第2フェーズでは、事業所ごとの割当量を合算した上で全体の割当量が調整されるため、第1フェーズよりも集計精度が高くなる見込みです。また、届出事業者である親会社は子会社や関連会社など密接関係者を含む事業者全体で割当量を算定しますが、事業所が小規模である場合には取り扱いが調整される見込みです。こうした密接関係者と共同して排出目標量等の事項を届け出ることを認める背景にあるのは、GXリーグへの参画企業の約4割がグループ単位で削減目標を設定していた実態を踏まえたことだと記載されています。

GX-ETS第2フェーズは厳格な設計が求められる一方で、事業所の新設や廃止の場合、または災害が発生して稼働が低下した場合などには、割当量の算定が別途認められます。こうした措置は、企業の事業活動に支障をきたさないための配慮だと記載されています。

GX-ETS第2フェーズの排出量算定法

排出量(実績)の算定方法は国際的な算定ルールとの整合性を踏まえ、活動量×排出係数が原則です。排出係数についてはデフォルト値以外も使用可能で、計測機器についてもGXリーグの算定ルールを踏まえて機器ごとの精度を定める予定です。活動量や排出係数の計測が難しい場合には、物質収支、実測(濃度×流量)、モデル計算など、それ以外の算定方法も認められる方向で進んでいます。

大枠として、事業者に対する排出枠の割当方式はベンチマーク方式とグランドファザリング方式を採用予定です。排出量の多い分野については、業種ごとに定められたベンチマーク指標に基づき、事業所単位で割当量を算定する「ベンチマーク方式」が採用されます。一方、ベンチマーク方式が適用されないそのほかの業種やベンチマークの算定が困難な場合には、過去の排出量実績から割当量を算定する「グランドファザリング方式」を適用します。このため、届出事業者は排出量実績の提出を義務付けられるだけでなく、第三者による精度の高い事前確認や計測機器の精度や管理状況等の情報を報告する方針で進められています。

詳細設計の論点を押さえることが重要

GX-ETS第2フェーズの詳細設計については、経済産業省の7回の会合を通じて方向性を垣間見ることができ、精度の高い算定のための設計について議論が重ねられました。基本的な算定ルールに基づかない場合でも、排出量実績の提出や第三者による確認などが義務付けられるため、該当企業には、こうした詳細な論点を踏まえた上で排出量を算定することが求められます。

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