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CC-CV方式の仕組みと試験方法について

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight CC-CV方式の仕組みと試験方法について

一般的な充電方式の一つに、CC-CV方式と呼ばれるものがあります。安全性と電池寿命の安定化を担保しやすいことから人気のある方式ですが、採用に際しては事前に適切な測定を行うことが求められます。

本記事では、CC-CV方式とはどのような手法なのか、そのメリットと試験の詳細について解説します。

CC-CV方式とは何か

CC-CV方式は、定電流モードと定電圧モードを切り替えることで充電を制御する手法です。ここではその概要と、この充電方式が採用されている電池の種類を解説します。

定電流(CC)と定電圧(CV)の基本動作

CC-CV方式は、電池の充電において最も一般的な二段階制御方式です。定電流(CC)モードで一定の電流を流し、電池電圧が設定値に達すると定電圧(CV)モードに切り替えます。

定電圧区間では徐々に電流を減らしながら、電池を安全に満充電へ導きます。これにより、充電時間と安全性のバランスを最適化し、過充電や発熱を防止することが可能です。

充電プロセスと適用される電池の種類

CC-CV方式は、リチウムイオン電池をはじめ、鉛蓄電池やニッケル系電池など幅広い二次電池で採用されています。

初期の定電流充電では短時間で80%程度まで充電が進み、後半の定電圧充電では化学反応を安定させながら残りの電力をゆっくりと蓄えます。

この制御により、エネルギー効率を維持しつつ電池の劣化を抑えることができ、長寿命化と高信頼性の両立が実現可能です。

CC-CV方式の仕組みと特徴

CC-CV方式において重要なのは、定電流と定電圧の切り替え制御と、充電カーブです。どのような点に目を向けるべきか、確認しておきます。

定電流から定電圧へ切り替わる制御原理

CC-CV方式では、充電開始時に設定された一定の電流を流し続け、電池電圧が所定の目標値に到達したタイミングで定電圧制御に切り替わります。

この切り替え点を正確に制御することが、安全性と効率を両立する鍵です。適切な切り替えにより、急速充電中の過負荷や過熱を防ぎ、電池へのダメージを最小限に抑えることができます。

充電カーブで見る電流・電圧・時間の関係

CC-CV方式の充電カーブでは、初期段階では電流が一定で電圧が上昇し、目標電圧に達すると電圧が一定となり電流が徐々に減少します。

定電流区間では短時間で大容量を充電し、定電圧区間では化学反応の安定化とセルバランスを整える段階に移行します。この特性により、充電効率と電池の長寿命化が両立する仕組みです。

CC-CV方式の仕組みと試験方法について 挿絵

CC-CV方式の意義と安全性

CC-CV方式が重宝されているのは、電池寿命の延長に加え、安全性の確保にも優れているためです。制御機構がどのように役に立っているのかについて解説します。

過充電防止と電池寿命の最適化

CC-CV方式は、充電過程における過充電や過電流を防ぐための最も効果的な方式です。定電流制御により急速充電時の安全性を確保し、定電圧制御によって満充電直前の化学反応を穏やかに保ちます。

これにより発熱や膨張といったトラブルを抑制し、電池の劣化を防いで寿命を延ばしてくれるのが強みです。安定した充電環境の維持により、製品全体の信頼性向上につながります。

内部抵抗や温度変化に応じた制御補正

電池は使用環境によって内部抵抗や温度が変化し、電流や電圧の挙動にも影響を与えます。

CC-CV方式では、温度センサーや制御アルゴリズムがこれらの変化をリアルタイムで検知し、充電電流を自動的に調整できるのが強みです。

これにより、温度上昇時の過充電を防ぎ、また低温時でも安定したエネルギー供給を実現します。環境変動に強い制御設計が、長期的な安全性を支えているわけです。

CC-CV方式の試験と活用機器について

CC-CV方式を評価する上では、適切な評価試験を実施することが大切です。その際、必要な機器を揃えておくことで、再現性と安全性を確保することができます。

DC電源・電子負荷・BMSによる試験構成

CC-CV方式の評価試験は、精密なDC電源装置と電子負荷装置を組み合わせて行います。DC電源は安定した電圧・電流を供給し、電子負荷により実際の電池挙動を再現可能です。

さらに、BMS(バッテリーマネジメントシステム)を採用することで、各セルの電圧や温度を監視し、過充電や過放電を防止します。

これらの環境が揃うことにより、再現性と安全性の高い充電特性試験を実施可能です。

電圧・電流データの取得と解析方法

CC-CV方式の評価試験では、電圧・電流・温度・時間などのパラメータを同時に計測し、制御性能を時系列で解析します。

データロガーやオシロスコープを使用して波形を取得し、電流の立ち上がり特性、そしてCVモードへの切り替え挙動を評価します。

これにより、充電プロセスの最適化や異常検知アルゴリズムの改善に役立つ精密な検証が可能です。

高効率かつ安全な充電を支える基本技術

CC-CV方式は、定電流と定電圧を組み合わせることで、安全性と充電効率を両立できるアプローチです。

電池の状態に応じた制御により、臨機応変に負荷を抑えた制御を実現します。

高精度な測定と制御アルゴリズムの進化により、より短時間で安全な充電が可能になってきました。CC-CV方式は今後も電動化・蓄電技術の中心的な充電制御として、広く発展していくでしょう。

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