自動車のバッテリーや家庭用電池、工業用蓄電池や太陽光発電用の蓄電池など、私たちの周りには多くの電池が普及しています。電池は使用し続けると電圧低下が起きてトラブルの原因になることから、定期的に劣化診断をする必要があります。
バッテリーテスターはさまざまな電池向けに、それぞれに適したテスターがあります。正しい測定結果を得るためには、適切なテスターを選択して測定方法を守ることが重要です。この記事ではバッテリーテスターについて概要や種類、用途などを解説します。
バッテリーテスターはバッテリーの性能や状態を測定するための機器です。身近なところでは自動車のバッテリー劣化診断に用いられます。そのほかにも鉛蓄電池やソーラー発電などの幅広い分野で使われています。
特に身近なバッテリーテスターの用途は車載バッテリーの点検です。車検やガソリンスタンドでの検査などでバッテリーの電圧を計測します。バッテリー上がりが起きないように定期的な点検を行い、バッテリーが劣化していた場合は交換します。
車載バッテリー用のテスターは持ち運びできるハンディー式のものが用いられますが、産業用の大型バッテリー用では定置型で高精度なテスターが用いられます。研究開発用や生産ライン用のテスターには、評価用のアプリケーションソフトやLAN接続して測定データを通信できる機能があります。
バッテリーテスターにはさまざまな用途のものがあり、使用環境や測定項目・精度・コストなどの条件によって適したタイプを選ぶ必要があります。以下で代表的な3種類について解説します。
家庭用のバッテリーテスターは、乾電池など家庭でよく使われる電池の測定に使われます。電池をテスターの測定子に繋げるだけで測定できて、アルカリ電池やニッケル水素電池、リチウム電池など多様な電池に対応しています。アナログ表示のものや、LED表示のものなどがあり、用途やコストで選ぶ必要があります。
車用バッテリーテスターは自動車用の鉛バッテリーを測定するためのテスターです。電圧測定機能のほかに、コールドクランキングアンペア測定機能でバッテリーの性能や寿命を測定することができます。
産業用バッテリーテスターは研究開発機関や工場の生産ラインなどで利用されています。大型電池や、最近増加している太陽光発電用の設備などの測定で使われます。研究開発では電池をコントローラーで繰り返し充放電して、電流・電圧・電力量などを測定して電池性能を評価します。
バッテリーテスターは、バッテリーに負荷をかけて電圧をモニターして残量を確認します。さらに詳細に説明すると、テスターで測定周波数の電流を流して電圧計の電圧値からバッテリーの内部抵抗を測定します。例えば4端子法を使うと電線の内部抵抗に影響されず、高精度にバッテリーの内部抵抗を測定できます。
4端子測定法はバッテリーに電流を流す回路を、バッテリーの内部抵抗と電圧計で別々の電線に分ける方法です。通常の2端子測定法では1本の回路で内部抵抗と電圧計に同時に電流を流すため、電線の内部抵抗が測定結果に影響します。その点電線を別々にすると配線抵抗の影響を受けずにバッテリーの内部抵抗を測定できます。
車載バッテリーの検査方法を例にテスターの使い方を解説します。車載バッテリーの検査は当初の電圧に対して、現在の電圧がどの程度低下しているかを測定します。手順は以下の通りです。
電圧値が12.5V以下だとバッテリーが劣化していてメンテナンスが必要と言われています。電圧値が13V付近だった場合は、電圧が高めに出ているのでヘッドライトを点灯させるなどして電圧を安定させてから電圧を測定します。
バッテリーテスターは家庭や業務などで身近に使われる電子機器です。蓄電池や太陽光発電など産業用電池が普及し続けており、今後さらに導入が増える可能性があります。バッテリーの劣化診断では、用途に合ったバッテリーテスターを選定し、適切な使い方を守り安全に作業する必要があります。