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流量計とは?仕組みや種類、用途などの基礎知識を解説

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight 流量計とは?仕組みや種類、用途などの基礎知識を解説

私たちの身の回りには、水道メーターやガスメーターのように「流れるもの」を測定する機器が数多く存在します。このような機器は総称して「流量計」と呼ばれており、さまざまな分野で非常に重要な役割を果たしています。本記事では、流量計の基本的な仕組みや種類、主な用途などの基礎知識を解説します。

流量計とは?

流量計とは、液体や気体などの流体が「単位時間あたりにどれだけの量が流れているか」を測定する機器です。代表的な例としては、水道料金を算出するための水道メーターや、ガス使用量を測定するガスメーターなどが挙げられます。

流量計は私たちの身の回りはもちろん、工場の製造ラインや上下水道などのインフラ、医療現場などのさまざまな分野で重要な役割を果たしています。流量の正確な測定は、品質管理や安全管理、省エネルギー化、災害対策などに深く関わっているため、流量計はなくてはならない存在です。

流量計の仕組みと種類

流量計には機械式・電磁式・超音波式・コリオリ式などの種類があり、流体の種類や用途によって使い分けられています。それぞれの特長を簡単にまとめてご説明します。

機械式流量計

機械式流量計は、流体の流れを機械的な運動に変換して測定する方式です。羽根車の回転数から流量を求める「タービン流量計」、円筒内を浮遊するフロート(浮き)の位置で流量を確認する「面積流量計」などが該当します。機械的な構造が比較的シンプルなため、導入コストや運用コストが低い傾向にあります。しかし、回転部や可動部があるため、摩耗や目詰まりなどの問題が発生する可能性もあり、定期的なメンテナンスが求められます。

電磁式流量計

電磁式流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則を応用して流量を測定する方式です。配管内に磁界を発生させ、流体が配管を通過することで発生する起電力を検出します。起電力は流速に比例するため、そこから流量を算出するという仕組みです。機械的に可動する部分がないためメンテナンス性が良く、高精度に測定できます。ただし、測定の仕組み上、気体や導電性のない液体は検出できません。

超音波式流量計

超音波式流量計は、超音波が伝播する速度を利用して流体の流れを測定する方式です。流体内を進む超音波は流れに逆らうと遅く、逆に流れに乗ると速く伝わるため、二つのセンサーを取り付けて交互に超音波を送受信し、伝播時間の差を検出して流量を測定します。配管を切らずに外側から取り付けられる超音波式流量計もあるため、設置が容易かつさまざまな用途に対応できます。ただし、流体中に気泡が多かったり固形分が多かったりすると、測定誤差が大きくなる可能性があります。

コリオリ式流量計

コリオリ式流量計は、振動する流路に流体が通過することで生じるコリオリ力(配管がねじれたような状態となる力)を検出する方式です。ほかの方式が「体積流量」を測定するのに対して、コリオリ式では「質量流量」を高精度に測定できるため、流体の密度の変化に左右されにくいのが特長です。石油化学や食品、医薬品の分野などの質量で管理する方が適している用途でよく使われています。ただし、機器自体が高額になりやすく、導入コストが高くなる傾向にあります。

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流量計の主な用途

流量計はさまざまな分野で活用されています。ここでは、製造業、インフラ・環境、医療の三つの分野における用途をご紹介します。

製造業

製造業の現場では、原材料の投入量や完成品の流量を厳密に管理することで、品質の維持や安定供給に役立てられています。例えば、食品工場であれば、飲料の充填量や調味液の添加量などを正確にコントロールすることで、品質が安定します。また、工業用ガスや燃料ガス、排ガスなどの流量を測定することで、消費量や排出量を把握でき、コストの最適化や環境への負荷低減を図れます。

インフラ・環境

上下水道の分野では、水源からの供給量や家庭などからの排出量を定量的に把握するために流量計が活用されています。流量計による測定結果は水道料金や下水道料金を算出する根拠となるほか、老朽化による漏水を検知できるため、安全対策にも役立ちます。また、河川やダムの流量を計測することは、洪水対策や水資源の管理に欠かせません。雨量が増えた際の水位や流速の変化をタイムリーに把握できるため、災害の予測と対策を迅速に行えます。

医療

医療の現場においては、患者に投与する薬剤の点滴量や酸素ボンベからの酸素供給量などを正確に管理する必要があります。投与量や供給量を少しでも誤ってしまうと患者の生命を脅かす可能性があるため、高精度かつ信頼性の高い流量計が求められます。また、人工透析装置などでも、透析液や血液の流量を正確に制御しなければなりません。このように、流量計は患者の生命を支える重要な医療機器の一つとなっています。

流量計が私たちの暮らしを支えている

流量計は目立たない存在ではありますが、私たちの生活を支えている重要な計測器です。多岐にわたる流量計の中から用途や環境に応じた種類を選択し、流量の管理を適切に行うことで、品質向上や災害対策につながります。

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