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インバータ・モーター評価試験とは?評価内容や使用する計測機器を紹介

レンテックインサイト編集部

測定器 Insight インバータ・モーター評価試験とは?評価内容や使用する計測機器を紹介

インバータ・モーター評価試験は、電力変換や駆動性能の評価を通じて効率向上や信頼性の確保を目指します。インバータやモーターの性能は、家電製品や電気自動車などの省エネルギー性や長寿命化に直結する重要な要素です。本記事では、試験の概要や目的、代表的な評価内容、さらに評価で使用される計測機器について解説します。

インバータ・モーター評価試験の概要

インバータ・モーター評価試験とは、インバータやモーターを対象とした一連の性能試験を指します。この試験では、インバータやモーターの入出力電力を測定し、効率や損失を評価したり、動作性能を把握したりすることが主な目的です。

試験の対象は幅広く、一般家庭用の電化製品から電気自動車まで多岐にわたります。例えば電気自動車においては、バッテリーから供給される直流電力を交流電力に変換するインバータの効率や、モーターの駆動力を評価します。

これらの性能評価には、信頼性の確保という大きな意義もあります。例えば、過酷な動作環境下でも正確に機能するかを確認したり、発熱や振動による性能劣化の度合いを測定したりします。製品開発時に適切な評価試験を実施することで、製品の長寿命化や市場における競争力向上が期待されます。

代表的な評価試験内容

インバータ・モーター評価試験の代表例として、インバータとモーターの入出力評価があります。試験を通じてエネルギー変換効率や損失を詳細に分析し、設計改善に役立てます。

インバータの入出力評価

インバータは、製品の入力電力をモーター駆動に必要な形態に変換する役割を担っています。この試験では、入力電力と出力電力を高精度で測定し、効率や損失を評価することが主な目的です。

効率を算出するには入力電力と出力電力の比率を求め、損失を算出するには入力電力から出力電力を差し引きます。効率が高く損失が少ないことが望ましく、入力した電力を無駄にせずモーターに届けることが求められます。

また、インバータの出力信号に含まれる高調波成分を分析する高調波解析も重要です。高調波は主にスイッチング素子の動作によって発生し、損失や振動、さらには電気的ノイズの原因となります。この解析により、インバータの出力がシステム全体の効率や安定性に与える影響を把握できます。

モーターの入出力評価

モーターは、インバータからの出力を入力として受け取り、これを回転力として出力する部品です。モーターの入出力評価では、インバータからの出力をモーターの入力として計測し、さらにモーターが発生する回転トルクと回転速度を測定します。

モーター効率は、これらの測定データを基に、入力電力と出力エネルギーの比率として算出します。効率が高いモーターほど、エネルギーを無駄にせずに動作します。

モーター効率や損失の評価においては、トルクメーターの精度が結果に大きく影響します。トルクメーターでは摩擦や非直線性誤差といった要素が代表的な誤差となるため、高精度な測定を実現するには、これらの要素の正確な補正が必要です。

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評価試験に用いる主な計測機器

インバータやモーターの評価試験では、高精度な計測機器が欠かせません。ここでは、入出力電力を同時に評価するパワーアナライザ、モータートルクを計測するトルクメーター、機器の電流を計測する電流センサーを取り上げます。

パワーアナライザ

パワーアナライザは、インバータとモーターの入出力電力を正確に測定するための計測機器です。入力と出力の測定タイミングがずれていると正確な効率の測定ができませんが、パワーアナライザは多チャンネルでの同時測定が可能で、入力と出力の効率や損失の評価に役立ちます。

パワーアナライザの中には、高調波解析機能を備えているモデルもあります。複雑な波形特性の詳細な分析が可能で、インバータやモーターのエネルギー伝達効率を正確に把握できます。

トルクメーター

モーターの機械的出力を評価するには、トルクメーターが必要です。トルクメーターは回転トルクや回転速度を正確に計測し、これらのデータを基にモーターの出力エネルギーを算出します。パワーアナライザに接続可能なトルクメーターを使用すれば、インバータとモーターの入出力エネルギーを同時に測定し、総合的な性能評価が可能です。

電流センサー

電流センサーは、インバータやモーターの入出力電流を高精度に測定するために使用します。配線にクランプするだけで電流を計測でき、電圧の測定と組み合わせることで電力の測定も可能です。

特にスイッチング周波数や高調波成分を含む電流信号を正確に捉えるためには、広帯域かつ高精度な電流センサーが必要です。適切な電流容量や周波数の機器を使用することで、信号の特性をより詳細に把握できます。

インバータ・モーター評価試験で信頼性と効率を向上

インバータ・モーター評価試験の実施は、エネルギー効率の向上や製品寿命の確保を目指す上で、重要なプロセスです。高精度な計測機器を使用することで、信頼性の高いデータを取得し、製品の性能向上に寄与します。製品開発時には、製品の性能把握や改善検討のため、インバータ・モーター評価試験の実施を検討してみてください。

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