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フルMVNOとは?MVNOとの違いやIoT・5Gとの関係性を解説

レンテックインサイト編集部

フルMVNOは従来のMVNOと大きな違いがあり、自由度が高くさまざまなサービスが登場する可能性があります。日本では2018年に商用サービスが開始されたフルMVNOですが、2021年現在でもまだあまり認知されておりません。

本記事では、フルMVNOの基礎知識として、MVNOとの違いやメリットをご紹介します。また、製造業と関わりの深いIoTや5Gとの関係性についても解説します。

MVNOとは?

MVNOとは、自社で無線通信回線網を持たずに、後述するMNOから無線通信回線網を借りて移動体通信サービスを提供している企業のことです。例えば、格安SIM事業者などがMVNOにあたります。「Mobile Virtual Network Operator」の略称であり、「仮想移動体通信事業者」と訳されます。

一方、自社で無線通信回線網を持って移動体通信サービスを提供している企業をMNOと言います。MNOは「Mobile Network Operator」の略称であり、「移動体通信事業者」と訳されます。NTTドコモ、KDDI、SoftBank、楽天が、日本の主なMNOにあたります。

MVNOは無線通信回線網を自社で持たないため、通信基地局への投資や管理コストを抑えられます。そのため、MNOよりも安く通信サービスを提供できるのです。しかし、従来のMVNOでは特定のMNOが発行したSIMカードを利用するため、そのMNOの無線通信回線網しか利用できないという特徴があります。そのため、提供できる通信サービスに制限があり、他の事業者との差別化が難しいことが課題として挙げられます。

フルMVNOとは?

フルMVNOとは、移動体通信のコアネットワークの一部を自社で保有して運用する事業者のことです。一般的に、MVNOは無線設備とコアネットワークをMNOから借りて移動体通信サービスを提供しています。

明確な定義はありませんが、コアネットワークの中でも加入者管理機能(HLR/HSS)を自ら運用している事業者をフルMVNOと呼ぶことが多くなっています。

加入者管理機能(HLR/HSS)とは、ユーザー情報を管理するデータベース機能です。SIMカードに紐付けられている電話番号や契約内容、SIMの識別番号といったユーザー情報に加え、現在地や通信経路などが加入者管理機能(HLR/HSS)で扱われています。

フルMVNOは、MVNOに比べると多額の設備投資や管理コストが必要というデメリットがあります。一方で、自社で管理できる領域を増やすことにより、自由度の高い移動体通信サービスを提供できるため、海外を中心にフルMVNOが増加しています。

フルMVNOのメリット

フルMVNOがコアネットワークの一部を自社で保有して運用することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、次の3点が挙げられます。

  • SIMカード、eSIMを自由に提供できる
  • 接続先を柔軟に切り替えられる
  • SIMの状態を自由に設定できる

どれも、従来のMVNOでは実現できなかった自由度の高い移動体通信サービスを提供するために役立つものです。各メリットがどのような内容かご紹介します。

SIMカード、eSIMを自由に提供できる

フルMVNOでは、自社でSIMカードを発行できます。従来のMVNOではMNOが発行するSIMカードをそのまま転用する形でしたが、自社で発行する場合は独自の機能を付与できます。例えば、「eSIM」と呼ばれる端末に抜き挿しせずに書き換えられるSIMとして提供する、セキュリティ機能を強化したSIMを提供する、といったことが実現可能です。

接続先を柔軟に切り替えられる

一つのMNOだけでなく複数のMNOの無線通信回線網を利用できるようになります。従来のMVNOでは、SIMカードの発行元であるMNOが提供している無線通信回線網しか利用できませんでした。フルMVNOでは自社でSIMカードを提供できるため、国内外のMNOと契約して、国境をまたいだ自由な移動体通信サービスも実現できます。また、使用環境に応じて最適なMNOに変更することで、通信コストを抑えられる可能性があります。

SIMの状態を自由に設定できる

加入者管理機能(HLR/HSS)を自社で運用するフルMVNOでは、SIMの状態を自由に設定できます。例えば、遠隔で書き換え可能なeSIMの形で発行しておき、移動体通信サービスを利用するときはONに、利用しないときはOFFに切り替えて通信コストを削減するといった使い方が考えられます。利用環境や用途に合わせた柔軟な対応ができるため、サービスの幅が広がるでしょう。

IoT・5GとフルMVNOの関係性

フルMVNOは、昨今のトレンドであるIoTや5Gとの親和性が高く、これらを組み合わせたサービスが誕生することが期待されています。従来のMVNOと違い、フルMVNOであれば特定の用途を見据えた付加価値の高い通信サービスを提供しやすいためです。

例えば、製造業でのIoT活用に関連した次のようなサービスが検討されています。

  • 工場内の高所など、人が近づけない場所にあるIoT機器のSIMの状態を遠隔で切り替える
  • 必要な期間のみセンサーの通信をONにしておき、不要な期間はOFFにすることで、コストを削減しつつセキュリティリスクも軽減する
  • 国内外の工場で同一の機器を使用しつつ、最適な無線通信回線網を選択可能にする
  • 通信データの暗号化や改ざん検知機能を備えたSIMを利用するなどして、IoT機器のセキュリティレベルを向上させる

また、5G環境においては、多数の端末が同時に接続されますが、SIM自体にセキュリティ機能を追加しておくことで一定のセキュリティレベルを担保できます。工場やプラントでのローカル5Gサービスを検討しているフルMVNOもあり、5Gを活用した業務改善を目指している製造業にとっては有効な選択肢になり起こりうるでしょう。

IoT・5G市場へのフルMVNOの活用が進む

フルMVNOには大きな可能性がありますが、日本国内ではまだフルMVNOのサービスは少なく、活用範囲が限られているのが現状です。しかし、IoT・5G市場での活用メリットが大きいため、各市場が成長するのに伴って、フルMVNOのサービスが増えていくことが期待できます。

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