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IoT活用がもたらす製造業の生産性向上

レンテックインサイト編集部

IoTを活用した生産性の向上は、製造業のDXを実現しようと考えている企業にとってのトレンドになっています。実際に、いち早くIoTを導入した企業が成果を挙げたという事例が増えており、IoTを活用するメリットが明確になりつつあります。

今回は、製造業がIoTを導入して生産性を向上させた事例を基にして、IoT活用のメリットなどを紹介していきます。

IoT活用による生産性向上の事例3選

IoTが生産性の向上に役立つというのは、よく言われているメリットです。しかし、どのようにして活用すれば生産性を向上できるのかが分からず、なかなか導入に踏み切れない企業も多いように思います。実際にIoTを活用して生産性を向上させた製造業の事例を紹介しますので、自社にIoTを導入するときの参考にしていただければと思います。

製造データのリアルタイム集計

金属のプレス部品を製造するA社では、自社の生産ラインで検証を重ねることによって製造現場のニーズに対応させたIoTプラットフォームを開発し、活用しています。

A社ではIoTプラットフォームの開発前から、設備の製造データを収集して最適な加工条件を導き出すといった取り組みを進めていました。しかし、一部の最新設備にしか適用できないといった課題があり、生産性向上の効果が限定されていました。

そこで、設備から取得する情報を稼働中・停止中といったON/OFFの情報だけに絞り、古い設備からも簡単に製造データを収集できるように変更しました。また、設備に取り付けた送信機からクラウドにデータを送ってPCやスマートフォンで見られるようにするIoTプラットフォームを開発しました。生産ラインの多くの設備から製造データをリアルタイムで収集・分析できることで、稼働率やサイクルタイムの改善を日常的に進められる環境が構築できたといいます。

結果として、IoTの導入から数年後には生産性が2倍以上になり、数千時間の残業時間を削減することに成功。年間でいうと2億円近いコストダウンを実現することができました。

A社でのIoT活用の要点

  • IoTプラットフォームを自社開発
  • 設備の製造データを収集・分析
  • 稼働率やサイクルタイムの改善に成功
  • 生産性は2倍以上に
  • 年間2億円近いコストダウンを実現

稼働状況の監視による省人化

プラスチック部品を製造するB社では、射出成形機の稼働状況データをIoTで収集して一覧で把握できる仕組みを構築し、生産性の向上を実現しました。

B社で製造する製品は単価が安い傾向にあり、売上拡大のためには多くの数量を効率的に生産する必要がありました。そのため、24時間365日稼働させる生産体制を組んでいましたが、トラブルによって設備が停止することが多く、円滑に稼働させるための人員確保が負担となっていました。

そこで、小人数でも安定して稼働できる生産体制を構築するため、IoTを導入することに。複数メーカーの設備50台ほどの稼働状況に関するデータを収集し、PCですべての設備の稼働状況や付加情報を一覧で把握できる仕組みを構築しました。また、製造現場にカメラを設置し、スマートフォンで閲覧できるようにすることで、どこにいても設備の稼働状況を監視できる環境にしました。

その結果、トラブル発生の確認と状況把握が迅速に行えるようになり、より少ない人員での24時間365日の稼働を実現し、生産量を1.5倍にまで高めることに成功しました。

B社でのIoT活用の要点

  • IoTを導入して設備の稼働状況の見える化を実施
  • カメラとスマートフォンで設備の稼働状況を監視できる環境を構築
  • 多くの設備を小人数で効率良く稼働できるように
  • 生産量が1.5倍に向上

人による管理工数の削減

自動車部品メーカーのC社では、人の手で記録していたデータをIoTで収集するように改善することによって、生産性向上を実現しました。

C社では、生産量や、設備の停止時間と理由を記録して生産効率を高める取り組みを進めていましたが、人の手で記録を行っていたため、製造現場から「手間がかかる」といった反発が相次いでいたといいます。

そこで、自社開発した稼働監視のシステムと安価なセンサーを使用して、稼働状況や部品一個あたりの生産時間などのデータを自動で集計できる仕組みを構築しました。生産量や設備の停止時間を正確に把握することによって、的確な改善ができるようになりました。

結果として、時間あたりの生産量は1.5倍以上になり、生産量を増やすために予定していた新ラインが不要になったことによって1億円以上の資金を浮かせることに成功しました。

C社でのIoT活用の要点

  • 人が記録していたデータをIoTで集計できる仕組みを構築
  • データを正確に把握できることで的確な改善が可能に
  • 時間あたりの生産量が1.5倍に向上
  • 1億円以上の資金を浮かせることに成功

生産性向上によって人がより付加価値の高い業務を担える

IoTを活用することによって生産性を向上できれば、作業者の負荷が減少するため、より付加価値の高い業務に集中できる環境が整ってきます。

   

  新しい技術や製品、サービスの開発など、人が担っていくべきクリエイティブな業務は数多くあります。作業者が単純作業やメンテナンス業務から解放されて、クリエイティブな業務に集中して取り組むことができれば、企業の価値は向上していくでしょう。そのことが、製造業のDXを実現することにつながっていきます。

  また、紹介した事例のようにコストダウンに成功すれば、浮いたコストを基にして設備やシステムに投資をしたり、開発予算を確保することができます。優秀な人材の確保や人材教育にも活用できるでしょう。それらが企業の成長を支える土台になっていきます。

IoTを上手く活用して生産性を向上させましょう

   

  今回は、製造業のIoT活用としていくつかの事例を紹介しました。今回紹介した事例はほんの一部であり、多くの企業が生産性向上を実現しています。生産性向上は製造業の大きなテーマですが、IoTの発展によって取り組みやすい環境が整ってきているといえるでしょう。

  また、IoTの活用が製造業にもたらすことは生産性向上だけではありません。製造条件データ、稼働状況データ、製品の利用状況データといった多種多様なデータを収集して見える化することによって、次に挙げるようなメリットも得ることができます。

  • 熟練作業者の技術やノウハウの継承
  • IoTを活用したアフターサービスによる顧客満足度の向上
  • 設備の予兆保全による品質向上
  • 他のシステムとの連携によるサプライチェーンの最適化

  自社でIoTを活用することでどのようなメリットが得られるかを考え、積極的に導入を進めていただきたいです。

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