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製造業の品質向上に役立つAI外観検査

レンテックインサイト編集部

製造業にとって、品質向上や品質保証のための外観検査は重要です。しかし、加工や組立といった生産工程とは異なり、外観検査そのものは付加価値を生む工程ではありません。そのため、自動化などによる生産性の向上が求められていますが、人の手に頼った外観検査を続けていて非効率な製造現場がまだまだ多いのが現状です。

近年では、製造業の品質向上に役立つAI外観検査が登場しており、製造現場での活用事例が増加しています。今回は、外観検査の課題を解決する手段の一つであるAI外観検査のメリットや導入の流れなどについて紹介いたします。

AI外観検査がなぜ求められるのか

外観検査は、製品の品質を保証するために外観上の欠陥を見つける検査です。変形や欠けといった外観形状の異常を検知したり、製品表面のキズや汚れ、変色などの欠陥を発見したりします。 外観検査においては、視覚や触覚などの人の五感に頼った検査がいまだに主流です。しかし、人の五感に頼った検査には次に挙げるような課題があり、自動化による課題の解決が求められています。

● 高精度の検査を行うためにはスキルと経験が必要であり、検査員の教育に時間がかかる
● 熟練の検査員であっても、ヒューマンエラーによって不良品が検知できない可能性がある
● 判定結果が検査員によってバラつく場合がある
● 検査速度や稼働時間に制限があり、柔軟な生産調整がしにくい
● 少子高齢化による人口減少に伴って、検査員の確保が難しくなる傾向である

コンピュータとカメラを用いた画像処理技術が発達したことによって、外観検査の自動化を進めている製造現場は既にあります。ただし、良否判定のルール設定が難しくて誤判定する可能性があることや、製品が増えるたびにルール設定を行う必要があるといった課題が存在しており、自動化できる範囲が限られているのが実状です。

しかし、AIを搭載した外観検査の仕組みであれば、上述した課題を解決できると期待されています。

従来の外観検査とAI外観検査の違い

AI外観検査では、カメラなどで取得した画像をコンピュータで処理するときにAIが活用されます。従来の外観検査とAI外観検査の大きな違いとして、次の3点が挙げられます。

ルール化できない不具合への対応力

AIは、ディープラーニングによって外観検査の精度を高め続けられるという特徴があります。熟練の検査員がスキルと経験を基に実施していた難しい外観検査であっても、AIによる外観検査であれば同等の精度で自動化を実現し、ヒューマンエラーも無くすことができます。

また、自ら思考することができるAIであれば、ルール化されていない未知の不具合であっても違和感を数値で検知して適切に処理することで、不良品の流出を防ぐことができます。AIを搭載していない従来の外観検査では、ルールにない不具合を検知することは難しく、不良の流出や人による二重検査が必要になっていたケースであっても、AIを活用すれば対応できます。

パターン化による類似品種への横展開

AIを搭載していない従来の外観検査では、製品一つ一つに対して検査項目や良否判定のルールを設定しなければならない場合が多く、新製品に対応させるために大きな手間がかかっていました。
しかし、AI外観検査ではディープラーニングによってAIが学習するため、類似品種へ横展開する際は設定変更の手間を大幅に短縮することができます。また、新製品であっても基本的な設定は流用して足りない部分だけを学習させるといったように、少ない手間で外観検査の自動化を実現します。

設定変更への柔軟な対応

外観検査では、新たな不具合事象の発生や市場ニーズの変化によって検査対象や良否判定のルールを変更せざるを得ない場合があります。そのような場合でも、AI外観検査であれば追加の学習データを準備するだけで柔軟に対応できます。

AI外観検査を導入する一般的な流れ

ここまでで、従来の外観検査における課題やAI外観検査のメリットについてご理解いただけたと思います。では、AI外観検査を自社の製造現場に導入することになった際には、どのような流れで進めることになるのかを紹介します。

1. 検査基準の策定

AI外観検査の対象となる製品と検査項目を決定します。また、検査項目ごとに良否判定ルールを決める必要があるため、検査基準書などの各種マニュアルや検査員へのヒアリングによって検査基準を策定していきます。

2. サンプル画像の収集

AIがディープラーニングで学習するためのサンプルデータを収集します。外観検査の精度を高めるためには大量のサンプルデータが必要ですが、不良品のサンプルデータを大量に集めるのは難しい場合もあるでしょう。ベンダーによっては、1つのサンプルデータを画像編集して複製(N増し)することで、少ないデータからでも外観検査の精度を高められるサービスを提供している企業もあります。

3. AIによる学習

サンプルデータを基にして、AIを学習させます。不具合の特徴を抽出して、規則性を数値で見つけることで、外観検査の精度を高めることができます。

4. 画像処理ロジックの実装

設定の微調整を行ったり、不良品を検知したときの処理方法を設定します。特に、生産ライン上で外観検査を行う場合は、他の機器と連携して不良品を仕分ける必要があるため、不良品を検知した後にどのような動きを取るかも考慮しておきましょう。

5. 検査実施

テスト導入して正常に外観検査できているかを確認し、問題なければ製造現場に導入することになります。実際に外観検査を行う中でもAIは学習を続け、継続的に外観検査の精度を向上させていきます。
製造業が生産性を向上させるために期待されているのが、あらゆるモノをインターネットに接続するIoT技術の活用です。市場からの要望に応えるために、IoT関連のシステムが増加しています。

AI外観検査の導入によって品質向上が期待できる

今回は、製造業の品質向上に役立つ手段としてAI外観検査を紹介してきました。AI外観検査のソリューションはさまざまなベンダーが提供しており、実績も出ています。

自社の外観検査において「ヒューマンエラーがなくならない」「外観検査をもっと効率化したい」といった課題を持っているのであれば、AI外観検査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

AI外観検査は、自動化による改善効果やコスト削減効果が分かりやすいため、製造業へのAI活用の第一歩としてもおすすめです。

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