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セキュリティ対策の基本とトレンドとは?企業が押さえるべき視点を解説

レンテックインサイト編集部

セキュリティ対策の基本とトレンドとは?企業が押さえるべき視点を解説

サイバー攻撃の多くは、ソフトウエアの脆弱性を突くことや、偽メールで情報を入力させるといった、従来からある「攻撃のきっかけ」を組み合わせたものです。一方で、クラウドやリモートワーク、生成AIの普及によって企業のIT環境が複雑化しています。その結果、攻撃の影響範囲が広がり、被害が長期化・深刻化する傾向が強まっています。

本記事では、まずセキュリティ対策の基本を整理した上で、押さえておくべき対策のトレンドについて解説します。

セキュリティ対策の基本

セキュリティ対策の基本は、ソフトウエア更新や認証強化、組織体制の整備といった、あらゆる企業が共通して取り組むべき領域で構成されています。

ソフトウエア更新や脆弱性管理

OSやアプリケーション、ネットワーク機器などには、設計上の不具合や仕様の抜け穴といった脆弱性が存在します。脆弱性を放置すると、不正アクセスや改ざん、情報漏洩などに直結するため、更新プログラムを適切なタイミングで適用し続けることが必要です。ベンダーが公表する脆弱性情報を把握し、計画的にパッチを展開できる体制を整えることで、攻撃を受ける可能性を減らせます。

パッチ提供前に脆弱性が悪用されるゼロデイ攻撃への備えも欠かせません。この場合はウイルス対策ソフトや、端末やネットワークの挙動を監視するEDR(Endpoint Detection and Response)のような仕組みが有効です。これにより、不審な動きを早期に検知し、攻撃が広がる前に封じ込めることができます。

IDやパスワード管理と認証強化

不正ログインの多くは、推測しやすいパスワードの利用や使い回しが原因です。そのため、十分な長さを確保し、英大小文字・数字・記号を組み合わせて、推測されにくい文字列を設定するといった基本的なルールの徹底が必要です。

また、現在ではパスワード単体に依存しない仕組みが求められ、多要素認証を導入する企業が増加しています。従来のパスワードとワンタイムパスワードやSMSコード、生体認証などを併用し、重要システムやクラウドサービスへのアクセスには適用することが望まれます。このような不正ログインを防ぐ対策に加え、ログイン履歴を把握し、普段と異なる端末や場所や時間帯からのアクセスを早期に検知できる仕組みがあれば、攻撃の初期段階で気付ける可能性が高まります。

組織としての体制づくり

セキュリティ対策は、技術的な仕組みを整えるだけでは成り立たず、組織全体で取り組む姿勢が必要です。誤って不審な添付ファイルを開く、見慣れないリンクをクリックするといった、従業員の行動が攻撃の入り口になることは珍しくありません。そのため、怪しいメールやSMSを疑う、SNSの情報を慎重に扱うといったリテラシーが不可欠です。定期的な教育や訓練は、セキュリティ意識の向上において大きな効果を発揮します。

インシデントが発生した際には、誰が判断し、どこに連絡し、どのように対応を始めるのかを明確にしておかなければ、初動の遅れが被害拡大を招きます。責任範囲の明確化や報告ルールの整備、シミュレーション訓練など、組織としての仕組みづくりが対策の要となります。

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セキュリティ対策のトレンド

近年のサイバー攻撃は高度化しており、従来の境界防御に頼るだけでは組織を守れません。ゼロトラストモデルの導入、資産の可視化と脆弱性管理、そして侵害を前提としたインシデント対応力の強化が、今後の企業に求められる重要な取り組みとなっています。

ゼロトラストによるアクセス管理強化

サイバー攻撃が巧妙化し、内部ネットワークであっても安全とは言えなくなっています。そこで、「何も信用しない」ことを原則とし、すべてのアクセスを検証するゼロトラストの考え方が広がっています。ユーザーIDとパスワードに加え、端末の状態や接続元の場所、アクセス先の重要度など複数の条件を組み合わせてアクセス可否を判断するため、侵害が起きた場合でも被害範囲を限定できます。

さらにSASE(Secure Access Service Edge)のようにネットワークとセキュリティ機能をクラウドで統合する仕組みも普及しています。この仕組みを活用すると、場所を問わず安全に利用できる柔軟なIT環境が実現します。

資産の可視化と脆弱性管理の強化

サイバー攻撃の多くは、管理されていない端末や古いソフトウエア、利用されていないアカウントを足掛かりに侵入します。退職者のPCが返却されていない、サポート切れのOSが社内に残っている、放置されたSaaSアカウントが存在するといった状況は、攻撃者にとって絶好の標的となります。

これに対応するため、IT資産管理ツールと脆弱性管理ツールを連携させ、資産の状況をリアルタイムに可視化する取り組みが進んでいます。OSやアプリケーションのパッチの適用状況やアカウントの利用状況を自動で収集し、優先度の高い対策を効率よく進められることから、限られたリソースでも効果的なセキュリティを実現できます。

侵害前提のインシデント対応力向上

現代の攻撃は高度化・巧妙化しており、攻撃をすべて防ぐことは現実的に困難です。最近では侵入後にすぐ暗号化するのではなく、内部に潜伏しながら情報を盗み出し、暗号化と恐喝を組み合わせる二重脅迫型のランサム攻撃が増加しています。そのため、侵害があることを前提とし、侵害を早期検知し、もし侵害されても業務継続と復旧をスムーズに行うための備えが重要です。

EDR(Endpoint Detection and Response)やXDR(Extended Detection and Response)といったセキュリティ製品は、端末の挙動を常に監視し、不審な操作を検知して封じ込める機能を提供します。また、バックアップをオフラインで保管する、異なるクラウドサービスに分散するなど、復旧手段を複数確保しておくことで、復旧できる可能性が高まります。

基本と最新動向を踏まえた継続的なセキュリティ対策へ

サイバー攻撃は日々進化しており、基本的な対策を継続しつつ、新しい技術やサービスも適切に取り入れて対策を進めることが重要です。どこから強化すべきかを明確にし、現実的なアクションへと落とし込むことが、組織全体のセキュリティレベルを高める第一歩となります。

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