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AIが変える廃棄物処理の現場

レンテックインサイト編集部

AIが変える廃棄物処理の現場

私たちの日常生活では日々多くの廃棄物が発生しており、廃棄物処理は都市環境を支える重要なインフラの一つとなっています。近年はSDGsへの取り組みが盛んになり、廃棄物を分別してリサイクルする活動が広がるとともに、廃棄物量を資源別に把握する制度なども整備されてきました。

廃棄物処理の重要性が高まる一方で、人手不足や処理コストの増加が課題となっています。こうした状況を受けて、AIを活用した廃棄物処理技術の開発や導入に注目が集まっています。

本記事ではAIを活用した廃棄物処理の新たな取り組み事例や、今後の展望などをご紹介します。

廃棄物処理におけるAIの役割

AIはビジネスから日常生活まで幅広く活用されるようになり、廃棄物処理産業においても、さまざまな役割を担うようになってきています。

その一つ目として、廃棄物を自動的に資源別に分別する役割が挙げられます。ごみの分別は、従来、人の手によって紙ごみやプラスチック、金属などを判別して行われてきました。しかし、これには多くの工数が必要となり、人手不足が課題となっていました。そこで、AIと画像認識技術をロボットに組み合わせ、分別作業を自動化する技術が開発されています。

二つ目としては、廃棄物収集車の運行ルートを最適化する役割が挙げられます。AIによってリアルタイムな最適化を行うことにより、燃料使用量の削減や、ドライバーの工数削減につながります。

そのほかにも、環境異常をAIで検知・予測する技術の開発や導入が進んでいます。センサーが排水や排ガスをリアルタイムに監視し、異常を早期に検知することで、環境汚染や法令違反のリスク低減につながるとされています。

国内外の導入事例

国内外のAIを活用した廃棄物処理の事例をご紹介します。

エコスタッフ・ジャパンの導入事例

エコスタッフ・ジャパン株式会社は2020年6月に、産業廃棄物処分業者向けにAIを活用してごみ収集ルートを最適化するサービスを開始しました。同社は全国56社の廃棄物運搬関係の企業ネットワークを有しており、その基礎情報を基に、AIが最適なルートを算出します。

従来は配車係が経験や勘を頼りに、日常的に発生する廃棄物量の変動に応じて収集ルートを決定していましたが、AIが収集ルートを設計することで、作業者の負荷の軽減や、効率的なルート設計、車両台数の削減などのメリットを提供します

住吉工業の導入事例

住吉工業はNTTコミュニケーションズの支援を受けて、「Node-AI」を活用した水質予測モデルを開発しました。このモデルは過去データと外部環境情報による機械学習で、2日後に放流される水の水質を予測する技術です。

この技術により、人手で行っていた点検作業の負担軽減や、人件費削減につながるとされています。今後は気象庁データとの連携による予測精度の向上や、複数地点での同時予測機能の開発などを目指しています。

海外の導入事例

米国のAMP Roboticsは、廃棄物の画像を認識し、プラスチックや金属など資源ごとに分別するAI技術の開発を進めています。この技術により、リサイクル率の向上や、分別作業にかかるコストや作業時間の削減が期待されています。

この技術を搭載した同社の「AMP Cortex」というAIロボットは、廃棄物の分別作業をリアルタイムで行います。リサイクル業者や地方自治体、環境意識の高い企業などで利用され始めています。

AIが変える廃棄物処理の現場 挿絵

AI導入における注意点

AIを活用した廃棄物処理システムの導入には、技術開発や法整備が進められる必要があります。例えば地方自治体や国への報告義務に対して、AIによる判断については、その妥当性を関係者に説明する責任が求められます。

また、システムの導入にかかる初期費用や、導入後の運用を社内でどのように対応するかについて、事前の検討が必要です。例えば、廃棄物の分別を目的としてカメラで画像や動画の撮影を行う場合、セキュリティやプライバシー保護の観点からそのデータの取り扱いには注意が必要です。

今後の展望

AIを活用した廃棄物処理は、さまざまなスタートアップ企業による技術開発や、センサー・ロボティクス関連の企業の参入により今後の成長が期待されています。また、利用者側の企業においては、導入することで環境意識の高さを社会に訴求することにつながります。

廃棄物処理のAI技術は循環型社会の構築につながる

AIを活用した廃棄物処理は、スマートシティの構築に向けて今後必要性が高まります。導入が進めば、資源循環やCO2排出量削減などによる効果で社会問題の解決につながる可能性があります。

廃棄物処理に関わる企業は、単に業務の効率化やコストメリットを目的としてAIを導入するのではなく、持続可能な未来に向けての投資として着実にAIの導入を進めることが求められます。

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