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通信規格であるModbus・BACnetの違いを知っておくと良い理由とは?

レンテックインサイト編集部

通信規格であるModbus・BACnetの違いを知っておくと良い理由とは?

IoT化や省エネ化、スマートビル化の加速により、異なるメーカーの機器やシステムを横断的に接続するケースが増え、通信規格の役割はさらに重要になっています。中でも近年注目を集めているのが、ModbusとBACnetと呼ばれる通信規格です。

本記事では、ModbusとBACnetがどのような規格で、どんなシーンで活躍しているのかについて整理していきます。

通信規格の基礎知識

FA・BA分野で用いられる機器は年々高度化し、単体動作ではなく、ネットワークを通じた統合制御や状態監視、そしてエネルギー管理が求められています。

こうした複雑なシステムを安全かつ効率的に運用するためには、機器同士が共通のルールでデータをやり取りする通信規格の理解が欠かせません。

FA・BA分野で通信規格が重要とされる理由

FA(Factory Automation)やBA(Building Automation)の現場では、PLCやセンサー、アクチュエーターなど、膨大な数のデバイスが稼働しています。

これらの機器は単独で動くのではなく、互いに情報を共有しながら全体として最適な制御を行うことが求められます。

メーカーや機種ごとに通信規格が異なれば、機器の追加やシステム改修を行うたびに個別対応が必要になり、コストや時間も増えてしまいます。

ここで重要になるのが機器間の共通ルール、つまり通信規格であり、機器同士が同じ「言語」で会話できるようにすることが求められます。

デバイス間通信を標準化する目的

通信規格を標準化する主な目的は、異なるメーカー・異なる種類の機器間であっても、確実にデータを送受信できるようにすることです。

標準化された通信プロトコルを使うことで、以下のようなメリットがあります。

  • 開発・導入コストを削減できる
  • データの互換性と可搬性が高まる
  • 機器選定の自由度が上がる

独自仕様のインターフェース開発が不要になり、スムーズに機器を統合できるほか、温度・圧力・電力量など、産業用途で重要なデータを正確に共有することができます。

また、メーカーが違っても通信できるため、ユーザーは最適な機器を柔軟に選択できる点も強みといえます。

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Modbusとは?

産業用ネットワークの世界で最も歴史があり、今も広く使われ続けている通信規格の一つがModbusです。

通信の安定性やシステム構成のシンプルさが重視される現場において、Modbusは持ち前の堅牢で扱いやすいプロトコルを活かし、長く支持されてきました。

Modbusの概要と開発背景

Modbusは1979年にModicon(現シュナイダーエレクトリック)が開発し、PLCと計測機器を効率よく通信させるための標準プロトコルとして誕生しました。

当時はメーカー独自の通信方式が乱立していたため、機器同士の接続には大きな負担が伴っていました。そんな中、Modbusがオープンな規格として開発されたことで、状況は一変します。

オープンな規格が誕生したことにより、どのメーカーでも同じ仕様に基づいて機器を開発でき、異なる設備を容易に統合できる環境が整いました。

Modbusのメリット・デメリット

Modbusが長年広く利用されてきた理由として、構造が非常にシンプルである点が挙げられます。

通信仕様が分かりやすいため、多くのメーカーが採用しており、ユーザーは製品選択の自由度を高く保つことが可能です。

また独自性が低く、導入コストを抑えられる点も現場にとっては大きな魅力といえます。

一方でModbusは通信速度が比較的遅いため、多数の機器を同時に接続する用途には向かないという課題があります。

さらに、セキュリティ機能が標準では用意されておらず、暗号化や認証を必要とする環境では追加の対策が必要です。

BACnetとは?

建物管理の高度化が進む中で、注目されている通信規格がBACnetです。

設備ごとの独自仕様に依存せず、空調や照明、防犯など多種多様なシステムを統合的に管理するための通信規格として普及しています。

BACnetの概要と特徴

BACnet(Building Automation and Control Network)は、1987年にアメリカで行なわれたSPC(Standard Project Committee)により方針が決められ、1995年にアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)で規格化(ASHRAE/ANSI 135.1)され、2003年に国際標準規格ISO16484-5として規定されたビル管理向けの通信プロトコルです。

特定のメーカーが主導する規格ではなく、建築設備全体の相互接続性を高めることを目的に策定されています。

そのため、空調機器から照明、防災設備、入退室管理システムに至るまで、建物内のあらゆる機器を同一のネットワークで扱える点が特徴です。

また同規格は、ISO 16484-5として国際標準にも採用されているため、海外拠点を含む大規模施設でも安心して利用できる、信頼性の高い規格とされています。

BACnetのメリット・デメリット

BACnetの強みは、なんといっても高い互換性に加え、建物の拡張に合わせて容易にネットワークを発展させられる拡張性を備えている点です。

これにより、後から設備を追加する場合でも既存のシステムとの整合性を大きく損なうことのない、統合管理しやすい仕組みを構築できます。

また、オブジェクト指向のデータ構造を採用しているため、設備の状態や仕様が明確な形式で扱われ、監視や制御、分析が一貫して行える点も、大きなメリットです。

一方、BACnetはプロトコル自体の構造が複雑で、機器の設定やネットワーク設計には専門的な知識が求められる点が課題となります。

また、外部ネットワークとの接続や遠隔監視の需要が高まるにつれ、セキュリティ対策の重要性も増しています。内外の脅威から通信環境を適切に保護するためには、追加の対策が必要となり、負担が大きくなる場合もあります。

ModbusとBACnetの違い

ModbusとBACnetはいずれも産業・建物設備の通信を支える重要な規格です。ただ、両者は設計思想やデータの扱い方、想定しているネットワーク規模が大きく異なります。

Modbusは現場の計測や制御に特化したシンプルな通信方式を採用し、設備機器とPLCの間で確実にデータをやり取りすることを目的としています。

一方、BACnetは建物全体の設備を統合的に管理するために開発され、複数システムを横断した大規模なネットワークに適した構造を備えています。

目的に応じて両者を使い分けることで、効率的なネットワーク環境を構築することができます。

ModbusとBACnetの違いを理解し最適な選択を

ModbusとBACnetは、いずれも産業・ビル設備の通信を支える基盤技術ですが、得意分野やその構造については異なる点も多いものです。

システムの規模や目的、拡張性を踏まえ、どちらを採用するか、あるいは併用するかを判断することが求められます。

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