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製造業で活用されるシステムの種類と最新動向

レンテックインサイト編集部

IT Insight 製造業で活用されるシステムの種類と最新動向

製造業では、企業経営や製造業務のためにさまざまなシステムが活用されています。デジタル技術を活用した業務改善が急務とされている状況の中で、システムの導入や入れ替えを検討している企業は多いのではないでしょうか。

今回は、製造業で活用されているシステムの種類と最新動向についてご紹介します。製造業向けシステムに関心のある方はぜひご一読ください。

製造業で用いられているシステムの種類

製造業で活用されているシステムは、基幹システム、業務システム、ERP(統合基幹業務システム)の3つに大きく分けられています。

一つ目の基幹システムは、企業を経営する上で必要不可欠なシステムです。具体的には、生産管理、在庫管理、販売管理、会計管理、人事給与などの機能を持ったシステムのことを指します。

製造業向けシステムでは、在庫管理と販売管理の機能も生産管理システムに統合されている場合が多くなっています。生産管理システムは、製造業務における計画、生産、在庫、販売、原価計算などの情報を総合的に管理するシステムであり、製造業が効率的に業務を行うために欠かせない存在だといえるでしょう。

二つ目の業務システムは、さまざまな業務を円滑に遂行するためのシステムです。具体的には、ドキュメント管理、ペーパーレス、検品、設備管理、顧客管理、グループウェアなどのシステムが挙げられます。企業を経営する上で必要不可欠ではないものの、ムダをなくして効率的に業務を行うために多くの企業で活用されています。

最後のERP(統合基幹業務システム)は、上述した基幹システムと業務システムの機能を併せ持ったシステムです。もともとは欧米諸国で活用されていたものが日本にも広がり、大企業を中心に導入が進みました。

非常に高機能なため、使いこなせれば企業全体の効率が大きく向上することが期待できます。一方で、高機能であるがゆえに操作が複雑で使いこなせない、導入コストが高いといったデメリットもあり、中小企業での導入割合はやや低い傾向にあります。

製造業向けシステムのクラウド化が進む

近年、ICT技術の発展に伴って製造業向けシステムのクラウドサービス化がトレンドとなっています。既存のシステムベンダーがクラウド版を新たにリリースするだけでなく、新たなシステムベンダーがクラウド型システムで参入しており、製造業がシステム導入を検討する上での選択肢の一つとして定着してきました。

従来は、自社にサーバーを設置してシステムを運用するオンプレミスが主流でしたが、それに対するクラウドのメリットとしては次の3点が挙げられます。

自社でのメンテナンス業務を最小限にできる

システムを運用するための維持・管理を行う手間をシステムベンダーに任せることができるため、自社の負担を軽減できます。製造業の中でも、中小企業はIT人材が不足している傾向にあり、効果が大きいでしょう。

初期費用を安く抑えられる

従来の製造業向けシステムは初期費用が高価なものが多く、高機能な基幹システムやERPだと数千万円以上かかる場合もあります。クラウドサービスの場合は、サーバーなどのハードウエアの準備が不要であり、料金形態も月額課金制のサービスが多いため、初期費用を安く抑えてシステムを導入できます。

常に最新のシステムを使用できる

多くのクラウドサービスでは、システムベンダーによって機能の強化や改善が継続的に行われており、利用者は常に最新のシステムを使用できます。自社で追加費用を払ってカスタマイズを行う必要がないため、時代の変化に合ったシステムを使い続けることができます。

製造業向けシステムがクラウドサービス化することによって、大企業だけでなく中小企業でもシステム導入がしやすくなります。製造業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む上でも、システム導入のハードルを下げるクラウドサービスは有効であり、今後も需要が高まっていくことでしょう。

IT Insight 製造業向けシステムのクラウドサービス化

製造業向けのIoT関連システムが充実

製造業が生産性を向上させるために期待されているのが、あらゆるモノをインターネットに接続するIoT技術の活用です。市場からの要望に応えるために、IoT関連のシステムが増加しています。
IoT関連のシステムの例としては、次のような内容が挙げられます。

製造現場の勘・コツ・ノウハウを見える化

生産設備にセンサーを取り付けることで、言語化の難しかった作業者の勘・コツ・ノウハウなどの情報をデータとして見える化できます。データを業務改善に活用したり、マニュアルとして共有することで製造現場の生産性が向上します。

設備の故障や異常の検知

センサーを取り付けて不自然な動作や音を検知することで、生産設備の故障や異常を未然に防ぐことができます。生産設備による品質トラブルや納期遅延などを解消することができ、品質レベルが向上します。

自動制御や遠隔操作

IoT技術を応用すれば、ロボットなどの生産設備とAIを組み合わせることによって生産ラインの自動制御も実現できます。また、異常の発生時には人が遠隔操作で制御するといった柔軟な対応も行えます。

IoT関連のシステムは、ERPや生産管理システムと組み合わせることでデータの活用範囲が広がり、より効果を発揮するようになります。部分最適ではなく、全体最適を考えてシステムを導入することが重要です。

また、IoT関連のシステムでもクラウド型のプラットフォームサービスなどが登場しており、初期費用を安く抑えて導入できるようになっています。IoT技術を活用する上で課題となっていた費用の問題が解消されれば、これまで以上のスピードで製造現場内にIoT技術が広まっていくことでしょう。

システムを活用して業務改善に取り組みましょう

製造業向けのシステムは日々進化しており、業務の効率化や生産性向上といった目的を達成するために役立つシステムが登場しています。

システムのクラウドサービス化が進むことによってシステム導入がしやすい環境が整いつつあるため、今まで十分にシステムを活用できていなかった企業も改めて検討してみてはいかがでしょうか。

また、既にシステムを導入している企業にとっても、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に企業の成長を阻害するとされる「2025年の崖」問題が目前に迫っています。既存のシステムに課題を感じているのであれば、システムの見直しや入れ替えを検討してみてください。

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