ホームITVMwareのライセンス高騰の背景とは?主な影響や企業が取るべき対策を解説

IT Insight

VMwareのライセンス高騰の背景とは?主な影響や企業が取るべき対策を解説

レンテックインサイト編集部

VMwareのライセンス高騰の背景とは?主な影響や企業が取るべき対策を解説

近年、VMwareのライセンス費用が上昇しており、コストの増加に悩む企業が多く見られます。特に中小企業では、予算やリソースの制約から対応策を講じるのが難しく、事業運営そのものに影響をおよぼす可能性があります。さらにDX推進やクラウド移行を進めたい企業にとっても、コスト上昇によってIT計画の見直しを迫られるケースが少なくありません。

本記事では、VMwareのライセンス高騰の背景や主な影響、企業が取るべき対策などを詳しく解説します。

VMwareライセンスが高騰している背景

VMwareのライセンス費用が高騰している背景には、BroadcomによるVMwareの買収と、それに伴うライセンス体系の大幅な改定があります。ライセンス体系が改定されたことにより、従来の利用環境および契約条件に直接的な影響が生じ、多くの企業が対応を迫られているのです。

BroadcomによるVMware買収

Broadcom社によるVMwareの買収は、2023年に完了しました。買収後は収益性を重視した戦略への転換が進み、ライセンス体系や販売モデルに大きな変化が生じています。従来の価格体系に慣れていたユーザー企業にとって、これがライセンス高騰の主要な要因となっているのです。

VMwareライセンスの改定

買収後、VMwareはライセンス体系を抜本的に見直しました。その結果、永続ライセンスの廃止や購入できるエディションの制限、コア単位での課金方式への移行などが導入されました。

VMwareライセンスの主な変更点

ここでは、前項で挙げたVMwareライセンスの主な変更点について解説します。

永続ライセンスの廃止

従来の買い切り型(永続ライセンス)は廃止され、すべての製品がサブスクリプション型ライセンスに移行しました。毎年一定の利用料を支払う必要があるため、長期的に見るとコストが増えるケースが想定されます。

購入できるライセンスのエディションも限定

ユーザー企業は「Strategic」「Corporate」「Commercial」の三つのカテゴリに分類され、それぞれのカテゴリで購入できるライセンスのエディションが制限されました。従来のように自由にエディションを選択できなくなったため、導入計画やシステム運用に影響がおよぶ可能性が高くなっています。

コア単位での課金に変更

これまでのCPUソケット単位での課金から、CPUコア単位での課金方式へと変更されました。これにより、特にコア数の多いCPUを搭載したサーバーでは、従来よりもライセンス費用が大幅に上がるリスクがあります。

ライセンス高騰による企業への影響

上記のライセンス改定により、VMwareを利用している企業にはどのような影響があるのでしょうか。ここでは企業への主な影響について解説します。

ITインフラ運用のコスト増加につながる

VMwareのライセンス高騰によって最も大きな影響を受けるのが、ITインフラの運用コストです。従来のソケット単位からコア数単位への課金に移行したことで、特にコア数の多いサーバーを利用している企業では、同じハードウエア環境でも費用が大幅に増加する可能性が高まっています。

加えて、永続ライセンスの廃止により、毎年サブスクリプション料金を支払い続ける必要が生じたため、長期的な費用負担の増加は避けられなくなりました。結果として、サーバー台数の多い大企業はもちろん、中小企業にとってもIT予算を圧迫する深刻な問題となる可能性があります。

システム運用計画の見直しが求められる

ライセンス体系の変更によって、システム運用計画の見直しが必要になるケースも増えています。例えば、将来的な拡張を見込んで高性能なCPUを導入する場合、ライセンス費用が想定以上に膨らむ可能性があります。また、企業のカテゴリによって利用できる製品が限定されるため、必要な機能を自由に選べなくなるリスクもあるでしょう。

企業が取るべき対策

まずは、自社のライセンス利用状況を棚卸しすることをおすすめします。どの製品をどれだけ利用しているのかを明確にすることで、不要なライセンスの削減や最適なエディションの選択が可能になります。さらに、具体的なコスト削減策や移行計画も立案しやすくなります。その上で下記の選択肢を検討すると良いでしょう。

代替サービスへ乗り換える

一つが、VMwareに代わるソリューションへ移行する方法です。代表的なソリューションがMicrosoft Hyper-Vです。Hyper-Vは、Windows Server Datacenterエディション上で無制限に仮想マシンを稼働できるため、ライセンスコストを抑えつつ仮想基盤を構築できます。

また、Microsoftはクラウド上でVMware製品を稼働できる「Azure VMware Solution」も提供しており、オンプレミス環境とクラウドを組み合わせた柔軟な移行も可能です。

乗り換えずにVMwareをそのまま利用する

ライセンス改定後もVMwareを継続利用するのも一つの手です。近年のソフトウエア業界では、サブスクリプション型ライセンスが主流となっており、VMwareの改定もこの流れに沿ったものといえます。サブスクリプション型ライセンスの主なメリットは、下記の三つです。

・初期費用を抑えられる
・定期的なセキュリティアップデートが提供される
・新機能が追加された際に継続的に利用可能

サブスクリプション型ライセンスは、特に最新機能を常に取り入れながら運用を続けたい企業に適しています。

オープンソース製品と併用しつつVMwareも利用する

コストを抑えるために、オンプレミス環境でオープンソースの仮想化プラットフォームとVMwareを併用する方法もあります。VMwareの利用範囲を最小限に縮小し、主要部分をオープンソース製品で補うことでライセンス費用の増加を抑えることが可能です。

代表的なオープンソース製品として挙げられるのが、Proxmox VEやoVirtなどです。これらはコスト効率が高く、さまざまな機能を備えているため、用途や環境に応じて柔軟に導入することが可能です。

自社の環境やIT戦略に合わせて対応を検討しよう

今回は、VMwareのライセンス高騰の背景や主な影響、企業が取るべき対策について解説しました。ライセンス費用の上昇は避けられない流れであるため、自社の環境や将来のIT戦略に合わせて早めに最適な対応を検討することが重要です。

既存システムの維持を重視するのか、それともクラウドやオープンソースを活用してコスト最適化を進めるのかによって、選択すべき対策は大きく変わります。今後の投資計画や人材リソースの確保も視野に入れ、経営層とIT部門が連携して戦略を立てることが求められます。また、早い段階で代替サービスや移行シナリオを比較検討しておけば、突発的なコスト上昇にも柔軟に対応できるでしょう。

IT Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next