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エコカー減税、2021年5月の改正内容は? 「HV」「EV」「PHV」「FCV」の違いも解説

レンテックインサイト編集部

環境性能に優れた「エコカー」に対し自動車重量税の減税が受けられるエコカー減税。2021年4月末を境に新基準が適用されることが予定されています。
その変更内容(案)をみなさんは把握できていますか?
自動車関連メーカーに大きな影響を与える同基準は、これからの業界の向かう先を理解することにつながります。この機会に、2021年5月より適用される基準や、「HV」「EV」「PHV」「FCV」の違いなど基本事項をおさらいしつつ、脱炭素社会へ向かう自動車業界の最新事情を押さえましょう!

エコカー減税の変更点をわかりやすく解説!

まずは、2020年12月10日に与党が発表した2021年度税制改正の内容を押さえましょう。全体の傾向として押さえておきたいのは、新型コロナウイルスの流行により打撃を受けた自動車産業の回復を図るため、メーカー・ユーザーの負担増を避ける形で案が練られたということです。

燃費基準の達成の度合いに対して、新車登録時・車検時に支払う自動車重量税の免税が受けられるエコカー減税。EV・PHV・燃料電池車・天然ガス自動車については2020年4月末までと同じく、2回分の免税が与えられるようです。ここで注目したいのが排気ガスや粒子状物質の排出を抑えることでディーゼル車規制条例に対応する「クリーンディーゼル」が外れたという事実。2021年5月からはガソリン車と同様に扱われ、2020年度燃費基準(推定値:17.6km/L)からより厳しく設定されるようになった2030年燃費基準(推定値:25.4km/L)の達成率に応じて軽減が受けられる予定です。

ただし、経過措置として、2023年4月までは2020年度基準を達成したクリーンディーゼルカーは2回免税が、達成基準に満たないクリーンディーゼルカーも1回免税が受けられるようです。

購入翌年度の自動車税・軽自動車税に対して税金の軽減が受けられるグリーン化特例。2021年4月1日~2023年3月31日までは、「電気自動車(EV・FCV・PHV・天然ガス自動車)」に対して75%の免税が受けられるという基準が設けられています。2021年3月末までは登録車・軽自動車全般に対して2020年度燃費基準にプラスした達成率にあわせて免税規定が設けられていたのですが、2021年4月からは変更されました。

自働車とエコにかかわる3つ目の税として挙げられるのが、2019年10月に廃止された自動車取得税に代わって登場した「環境性能割」です。自家用車の場合は、以下のように、2030年度燃費基準の達成度合いによって自動車の購入価格に税金がかかります。

環境性能割の達成基準と税率

達成基準 自家乗用車の税率
2030年度燃費基準85%達成~、電気自動車等 非課税
2030年度燃費基準75%達成~ 1%(2021年12月末まで非課税)
2030年度燃費基準60%達成~ 2%(2021年12月末まで1%)
その他 3%(2021年12月末まで2%)

参考:令和3年度税制改正の大綱┃財務省

ただし、2021年12月末までは消費増税に伴って設けられた臨時的軽減措置が延長されるため、表のカッコ書き内の税率が適用されます。また、上記はあくまで自家用車の基準であり、営業用車両やバス、トラックの場合は基準が異なります。

押さえておきたい「HV」「EV」「PHV」「FCV」の違い

さて、前述の基準に置いて「HV」「EV」「PHV」「FCV」」などの英単語が登場しました。いずれもエコカーの種別を意味する言葉です。ここで、それぞれの違いについておさらいしておきましょう。

HVはハイブリッド自動車

HVはガソリンで動くエンジンと電気で動くモーター、2つの動力を持つハイブリッド車を意味します。同エコカーにはなじみ深い方も多いでしょう。2017年末時点で19%と国内保有台数において最も大きなシェアを占めてきたエコカーだからです。

EVは電気自動車

EVは完全に電気のみを動力とする自動車のこと。世界ではエコカーの中心となりつつあり、2021年のグローバル市場規模はHVを追い抜くことが見込まれています。米テスラや中国のNIOのような世界的に注目を集める新興自動車メーカーもEVを開発しています。

PHVはプラグイン・ハイブリッド自動車

PHVはその名の通り、HVにP(プラグイン)という要素を加えた言葉。外部電源から電気を取り入れることで、走行時のエネルギーを使わなくても自動車を充電することができます。HVに充電性能を取り入れることでEVとの良いとこどりを狙った形といえるでしょう。

FCVは燃料電池自動車

FCVは水素と酸素を化学反応させて発電を行う燃料電池自動車を意味します。発電時にも化石燃料を使わない点で、“究極のエコカー”と称されることもあります。水素を充填する水素ステーションがいかに普及するかが今後の一般化を左右すると考えられます。

カーメーカーが向かう2050年脱炭素社会

そもそもなぜ、エコカー減税という制度が設けられ、基準が更新されているのでしょうか。
それは、当然ながら全世界的に“エコ”に対する意識が高まっており、日本も同風潮に合わせて“脱炭素”を進めていく必要に駆られているからです。

自動車業界の将来を考えるうえで、その流れへの対処は避けられません。現在自動車業界が「100年に一度の変革期」といわれる上でのポイントのひとつはCASE、MaaSという言葉に象徴される“サービス化”ですが、“サステナビリティ(持続可能性)”も同じくらい重視すべきでしょう。

経済産業省は2050年までに自動車のライフサイクル(製造から廃棄・リサイクルまで)においてCO2排出ゼロとすることを目標として掲げています。そのために税制による後押しや、2030年度からのCAFE規制(企業平均燃費を基準とした燃費規制)導入などが行われているのです。

日本は世界に対してHVの割合が高く、EV化において出遅れているといわれることもあります。今後もサステナビリティがキーワードとなり続けることが予想される中で、各メーカーが変化していくことが求められます。

持続可能性はすべてのメーカーに関わる

2021年5月よりエコカー減税の新基準が適用されることを端緒に、日本の自動車関連メーカーに関わる税制やエコカーの種別、そこから読み取れるこれからの流れについてご紹介しました。持続可能性がキーワードとなり、変化を迫られることになるのは自動車業界に限ったことではありません。
ものづくりにおける持続可能性も視野に入れて、最新テクノロジーの導入に取り組んでみてください。

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