
企業におけるIT資産は、PCやソフトウエアだけでなく、サブスクリプション型のサービスやクラウド上のライセンス契約も管理の対象に含まれるようになり、多様化が進んでいます。しかし、従来の管理方法では情報が分散して効率的に管理するのが難しく、IT部門の業務負担を増大させる要因となっています。
そのため、IT資産の申請や承認といった業務プロセスを明確化し、一元管理する「ワークフロー」の整備が求められるようになりました。本記事では、IT資産管理におけるワークフローの必要性と、どのように業務効率を改善できるかについて解説します。
ワークフローの整備は、IT資産の管理精度を高めるだけでなく、関係部門とのコミュニケーションや業務効率の改善にもつながります。
IT資産管理の業務はしばしば担当者ごとの判断や手動対応に依存しています。このため、情報が分断されることが多く、対応漏れ、重複割り当て、無断使用などの問題が発生することがあります。
例えば、退職者のアカウントがそのまま残っている、SaaSライセンスの更新期限を過ぎたことに気付かない、などのケースがあります。また、ツールやデバイスの管理が曖昧になると、トラブル対応に時間がかかり、社内からの問い合わせが増加します。その結果、IT部門の負担がさらに増えてしまいます。
こういった課題を解決するためには、申請から承認、割り当てといった一連のプロセスをツール上で可視化し、記録として残す仕組みが重要です。こうすることで、誰が何を管理しているのかが明確になり、トラブルの防止と業務の効率化が実現できます。
IT資産の利用申請がメールや口頭で行われると、内容の確認や記録が不十分になり、IT部門への問い合わせが煩雑になりがちです。さらに、申請の重複や抜け漏れが生じ、誰の承認で実行されたのかが不明確になり、責任の所在も曖昧になってしまいます。
承認ルールが明確でない場合、内部統制の観点からも問題が生じます。これらのブラックボックス化を防ぐためには、ワークフローを通じて明文化された手続きと、記録が残る仕組みが必要です。
IT資産管理を効率的に行うためには、プロセスを整理し、ツール上で誰が、いつ、何を行ったのかを管理することが重要です。
IT資産管理の基本的なワークフローは、ユーザーが資産の利用を申請し、上長やIT部門が承認し、管理者が資産を割り当てるという流れです。このプロセスを標準化することで、業務の効率化とガバナンス強化が図れます。
特にSaaSやクラウドサービスの利用申請では、物理的な資産の移動がないため、割り当て状況の可視化が不可欠です。また、利用目的や利用開始、終了日時を記録として残せるようになり、監査対応や内部統制の強化にも役立ちます。
申請プロセスをポータル化することで、従業員は必要な資産を選択して申請し、進捗状況もその場で確認できるようになります。従業員は社内ポータルから申請や進捗確認ができるため、IT部門への問い合わせ件数が減少します。
あらかじめ設定された承認フローや割り当てルールを活用し、定型業務を自動化することで、ヒューマンエラーの防止にもつながります。ポータル化と自動化の仕組みは、IT資産の運用をスムーズにするために欠かせない要素です。

ワークフローの標準化により、IT資産管理の効率化が進むだけでなく、組織全体の運用成熟度も向上します。
ワークフローの導入により、管理対象の正確な把握と迅速な業務対応が可能になります。従来、申請や承認の記録が散在し、資産台帳との紐付けが難しかったケースでも、ワークフローを導入することで一元的に把握できるようになります。
また、資産ごとの使用状況や契約内容をリアルタイムに可視化することで、運用業務のスピードと正確性が同時に向上します。契約や請求処理も集約されるため、経理や管理部門の工数も削減でき、コスト削減にもつながります。特に、月額課金型のSaaSなど、更新や支払い頻度の高い資産の管理において役立つでしょう。
ワークフローにより、操作履歴や承認記録が自動で保存されるため、内部監査や外部監査への対応が容易になります。誰が、どのタイミングで、どの資産を承認、使用したかが明確になるため、不正利用の抑止にもつながります。
さらに、契約違反や情報漏洩リスクを未然に防ぐ観点からも、明確化されたプロセスを通じたIT資産管理は重要です。クラウド時代におけるガバナンス強化においても、ワークフローの整備は欠かせない基盤となります。
IT資産の多様化が進む中で、属人化や非効率な運用を防ぐためには、仕組みによる管理が不可欠です。ワークフロー整備を前提としたIT資産管理ツールの導入は、業務全体の最適化を進め、管理精度の向上、コスト削減、問い合わせ対応の効率化といった多くの効果をもたらします。
特に、SaaSに特化した契約、申請、割り当て、コスト管理まで対応可能な「サブかん」のようなサービスは、実務上の親和性が高く、有力な選択肢となります。IT資産管理に悩まれている方は、ワークフローの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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