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「生産性向上特別措置法」とは?固定資産税の特例措置は令和4年度まで延長!

レンテックインサイト編集部

投資後3年間の固定資産税についてゼロ~1/2の減免が受けられる「固定資産税の特例」措置が、令和4年度(2023年3月末)までに延長され、さらに適用対象に新たに事業用家屋と構造物が加わったことを皆さんはご存じでしょうか。
「固定資産税の特例」の根拠となっていたのが2018年に施行された生産性向上特別措置法です。同法を施策の一環とする「生産性革命・集中投資期間」は令和2年度(2021年3月末)までですが、今後も国の生産性向上支援策の方向性は大きく変わらないはずです。
そこで、本記事では製造業界と特に関わりの深い「固定資産税の特例措置」を筆頭に「生産性向上特別措置法」についてご紹介します。

「固定資産税の特例措置」とは?

固定資産税の特例措置とは「市区町村の承認を受けた中小事業者に対して与えられる先端設備等導入時の固定資産税減免措置」です。その申請方法や減税率は自治体によって異なりますが、多くの自治体が導入から3年間、通常評価額の1.4%かかる固定資産税をゼロに免除するという規定を定めています。
2020年には新型コロナウイルスの流行により多くの自治体がダメージを受けたことを鑑み、特例措置の対象に機械装置・器具備品に加えて事業用家屋と構築物も追加となりました。現在の状況で設備投資を考えており、条件に該当する中小企業・個人事業主は利用しない手はないといえるでしょう。ただし、特例措置を受けるためには「生産性向上に資する指標が旧モデル比で年1%以上向上する」「生産・販売活動等に直接使用する」「中古資産でない」「事業用家屋については取得価額の合計額が300万円以上の先端設備等とともに導入された」などの条件とともに、以下の基準(最低取得価格/販売開始時期)も満たす必要があります。

【「固定資産税の特例措置」対象設備の基準】

最低取得価格 販売開始時期
機械装置 160万円 10年以内
測定工具・検査工具 30万円 5年以内
器具備品 30万円 6年以内
建物付属設備 60万円 14年以内
構築物 120万円 14年以内
事業用家屋 120万円 なし

2020年12月31日時点でこの特例措置の認定件数は累計49,826件となっています。固定資産税ゼロを実現した自治体(2020年12月31日時点)については、コチラをご参照ください。

「固定資産税の特例措置」を受けるためには「先端設備導入計画の認定」が必要

固定資産税の特例措置を受けるためには以下のような基準についても満たしていることが求められます。

  • 【1】資本金額1億円以下の法人あるいは従業員数1,000人以下の個人事業主等である
  • 【2】先端設備等導入計画の認定を受けている

先端設備等導入計画は、中小企業者が国から認定されることで税制や金融にまつわる支援措置が受けられる生産性向上特別措置法に基づいた制度のことです。ここでいう中小企業者は、製造業の場合「資本金額または出資の総額:3億円以下」「常時雇用する従業員の数:300名(ゴム製品製造業の場合は900名)以下」の事業者を指します。

先端設備導入計画の認定は「工業会証明書」と「経営革新等支援機関の事前確認書類」を取得したうえで、自治体に計画を提出することで受けられます。自治体に提出する計画に含めるべき内容はおおむね以下の通りです。

  • (1)計画の期間:3年、4年、または5年
  • (2)労働生産性が基準年度比で年平均3%以上向上すること
  • (3)導入する先端設備等の詳細

税制支援を受けるためには先端設備等導入計画が認定された後に、先端設備等を取得する必要があります。ただし、設備メーカーから発行される工業会証明書が間に合わない場合は、賦課期日(1月1日)までに追加提出すれば、特例措置が受けられます。

※参考:【生産性向上特別措置法】先端設備等導入計画について┃令和2年6月
経済産業省 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/2020/200601seisanseiPRgaiyou.pdf

「規制のサンドボックス」と「データの共有・連携のためのIoT投資の減税等」とは?

2018年6月6日に施行された「生産性向上特別措置法」の柱は、中小企業の生産性向上のための設備投資の促進のほかに、2本ありました。

一つが「規制のサンドボックス」で、もう一つが「データの共有・連携のためのIoT投資の減税等」です。

規制のサンドボックスの「サンドボックス」は、“砂場”から転じて“自由に創意工夫が行える限定された空間”を意味します。事業者がAIやIoTといった新たな技術やシェアリングエコノミーなどの新たなビジネスモデルを開発する際に、既存のルールが壁として立ちはだかる状況を避けるため、限定した期間・場所での実証を認める制度です。認定プロジェクトは内閣官房成長戦略会議事務局の成長戦略ポータルサイトで公開されており、高速PLCが組み込まれた電気用品のモデル住宅における試用など、製造業とデジタルに関わるプロジェクトも確認できます。

データの共有・連携のためのIoT投資の減税等として実施されていたのが「コネクテッドインダストリー税制(IoT税制)」と「公的データ提供要請制度」です。前者はデータの連携・利活用を促進するソフトウエア・器具備品・機械装置等の購入に対して税制上の優遇が受けられる制度でしたが、2020年3月31日をもって前倒しで廃止されました。廃止の背景には制度の利用件数が経済産業省の見込みに対して大幅に少なかったことが関係しており、積極的な利活用が制度を維持するために不可欠であることが伝わります。
後者は一定のデータに関するセキュリティの審査を受けたうえで、国や独立行政法人にデータの提供を要請することができる制度です。

いずれもIoTに関わる制度であり、国がデータ活用に大きな期待を寄せて生産性向上特別措置法を設けたこと、しかしコネクテッドインダストリー税制のように十分に活かされたとはいえない制度もあることがわかります。
今ある制度にメリットが感じられるならば、積極的に利用したほうがよいでしょう。

生産性向上に対する国の支援は今後も続いていく

生産性向上特別措置法に裏付けられた固定資産税の特例措置が2年間延長されたことを受け、その内容をおさらいし、生産性向上特別措置法のほかの施策についても解説いたしました。
新型コロナウイルスの流行という予期せぬ事態を受けて、より生産性向上の重要性は高まりました。国による支援の波は今後も続いていくでしょう。上手に活用して、生産性向上やものづくりの進化を実現していきましょう!

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