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AI・IoTコンサルタント 伊本貴士の経営に役立つ最新技術解体新書 連載21回目テーマ「有能なエンジニアの採用について」

レンテックインサイト編集部

 私が様々な企業の相談を受けている中で、どの企業でも共通する悩みが有能なエンジニアの採用です。

これまで、日本の多くの企業は、ITシステムの設計や、場合によっては企画までをIT企業やITコンサル企業に丸投げをしてきました。
ところが、DXやIoTといった技術が浸透し、ロボットをデジタル制御し、経営にデータ分析の要素を取り入れるようになると、ITシステムの失敗は、経営を大きく揺るがしかねない事態に陥り、丸投げというわけにはいかなくなりました。

もちろん、最終的に開発は専門の会社に依頼するわけですが、社内にプロジェクトの企画をし、各部署と調整を行い、経営者に状況を報告でき、なおかつIoTやAIに詳しいプロジェクトリーダーが必要になります。
また、そのリーダーを補佐できるエンジニアも数名必要でしょう。

プロジェクトリーダーの採用方法

はっきり言って、先に述べたような優秀な人材は、ほとんど通常の転職市場にはいないと言って良いでしょう。
既に、かなりの給料をもらっており、転職するとすれば通常の転職企業ではなくヘッドハンティング専門の会社に登録しているはずです。
一般的に、ヘッドハンティング専門の会社に登録している人材は、1000万以上といった非常に高額の給料を希望しています。(能力から言えば当然の価格なのですが。)
それに加えて、紹介した企業に払う報酬も高額です。また、そういう人材は引く手あまたなので、何十人面接しても会社を選んでくれないかもしれません。

そのような場合は、素質を見込んで採用し、そこから人材を育てる必要があります。
まず、幅広い技術に関する知識と経験がある事は必須です。また、データ分析に関する知識も必須です。プロジェクトリーダーなので、コミュニケーション力も必要です。

その上で、マネジメント経験やその会社の業務に関する知識に関しては、実績を求めるのではなく、2,3年でやりながら勉強していってもらうという考え方が必要です。いきなり、全てを求めると、そういう人材はなかなか見つかりません。
ただし、当然ですが、そういったプロジェクトリーダーになることができる伸びしろのある人を選ぶ必要があり、その人の素養を見極める必要があります。

外部の助っ人を活用すべき

とは言っても、プロの人事担当であっても、その人がITプロジェクトのマネジメントに向いているかどうかまではわかりません。
また、ITプロジェクトのマネジメントには、知識や人間としての基本的な能力以外にも、いろいろな力が必要になります。最新のマネジメント手法を勉強しているのか、AIなどの知識を持っているのかなどです。当然、面接ですから、知らないことも知っているフリをしている可能性もあります。

そこで、面接官に外部からの助っ人を呼ぶと良いでしょう。そして、可能なら助っ人にその人がリーダーとして育つまでコーチとしてアドバイスを頼むべきです。

考えてみていただきたいのですが、例えばプロのアスリートは必ず専属のコーチをつけます。コーチなしでは、悩んだ時に相談相手もいなくて、迷走する可能性が高いからです。また、コーチは技術指導以外にも、心のケアをする役割があります。

つまり、一流のマネージャーを育てるには、一流のコーチを雇う必要があるという事を、企業は今一度自覚すべきです。

エンジニアを採用するなら今がチャンス

私も、実際に企業から依頼を受け、面接の手助けをやっています。その中で感じたのは、人材を採用するなら、今がチャンスです。
はっきり言って、数年前に比べて明らかにレベルの高い人材が多く転職を希望しています。

事情はそれぞれですが、やはりコロナ禍の影響で、今の仕事のままで先行きに不安を感じているという人が多くいるように思います。また、今のうちにキャリアアップしたいという、向上心の強い人材も多いです。

実際には、社員が有能にもかかわらず、経営が傾いた会社も多く有能な人材が転職市場に流れているようです。

現在転職を希望している人の傾向としては、年収のアップより安定を求めている傾向にあります。その分、企業としては、コロナに対する対応をどうしていくのか、経営状況は安定しているのか、福利厚生は充実しているのか、働き方の多様性が認められているのかなど、安心できる職場であるという事をPRする必要があるでしょう。

これから、DXなしにはまともな経営はできなくなる世の中で、優秀なエンジニアやマネージャーは、企業にとっての何よりも得がたい財産です。組織の変革を進めるにあたって、新しい風を入れるという意味でも、そのチャンスを逃すべきではないと思います。

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