ホームITクラウド破産とは?予期せぬ請求の原因と対策を解説

IT Insight

クラウド破産とは?予期せぬ請求の原因と対策を解説

レンテックインサイト編集部

クラウド破産とは?予期せぬ請求の原因と対策を解説

「クラウド破産」は、クラウド利用料金が予期せず高額になり、企業のIT予算に負担をかける事態を指す言葉です。単なるクラウドの設定ミスだけでなく、セキュリティインシデントの発生もその要因となり得ます。本記事では、クラウド破産の代表的な原因と対策について解説します。

クラウド破産とは

クラウド破産とは、企業がクラウドサービスを利用する際に想定を超えた高額な請求が発生してしまう状況を指します。クラウドサービスは利用量に応じた従量課金が一般的で、必要に応じてリソースを調整できるというメリットがあります。一方で、設定ミスやセキュリティ上の問題によって予期せぬ形でコストが膨れ上がるリスクがあります。

こうしたコストの急増によりIT予算が圧迫されると、経営にも悪影響をおよぼす可能性があります。クラウドの利用が広がる中で、このようなクラウド破産のリスクを軽減するための対策は検討しておくべきです。

クラウド破産の原因

クラウド破産の主な原因には設定ミスやセキュリティ侵害によるリソース消費、そして為替変動によるコスト増加などが挙げられます。

クラウドサービスの設定ミス

クラウドサービスでは、設定ミスが原因となって不要な課金が発生することがあります。例えば、テストのために作成したインスタンスの削除や停止のし忘れがありそのまま稼働し続ける、リソースを使い終わった後に削除せず放置する、といった要因で意図せぬ料金が請求される可能性があります。

また、負荷状況に応じて自動でサーバーの台数やスペックを調整するオートスケーリング機能の誤設定により、アクセス増加時に不要なリソースが増加してしまうケースもあります。

こういった設定ミスによってクラウド料金が急激に高騰するリスクがあるため、運用体制の見直しや設定確認の徹底が必要です。

セキュリティ侵害によるリソース消費

クラウドサービスのアカウントが不正にアクセスされ、思いがけない高額請求が発生することもあります。例えば、アカウントがハッキングされると、仮想通貨のマイニングやDDoS攻撃などにリソースが不正利用される恐れがあります。大量のリソースが消費されれば、請求額が急増する結果となるでしょう。

こうした不正利用の原因として、アクセスキーやパスワード管理の不備、ネットワーク設定の誤りなどが挙げられます。クラウドサービスを安全に使用するためには、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

為替変動の影響

多くのクラウドサービスは米ドル建てで提供されており、円安が進むと支払い額が増加するリスクがあります。近年はドル円の為替レートが大きく円安方向に動いているため、クラウド事業者がドル表記で公開している利用料は変わらないのに、実質的な支払額が増加しているという状況が発生しています。

利用料が増加すれば、企業のIT予算に影響をおよぼしかねません。クラウドのコスト予測では、為替の影響も考慮して予算を立てる必要があります。急激な為替変動が発生した際には投資計画の見直しを迫られる場合もあるでしょう。

クラウド破産とは?予期せぬ請求の原因と対策を解説 挿絵

クラウド破産を防ぐための基本対策

クラウド破産を防ぐためには、利用状況の可視化や社内の管理体制の強化が効果的です。

利用状況の可視化と料金アラート設定

クラウドコストを管理するためには、リソースの利用状況を常に把握し、料金アラートを設定することが重要です。多くのクラウドサービスでは、リソースの詳細な利用状況を把握できる管理ツールが提供されており、これを活用することで無駄なリソースや不要なコストを特定し、適切な対策を検討できます。

さらに、料金アラートを設定しておくことで、あらかじめ設定したしきい値を超えた場合に通知を受け取れます。アラートが発生した際の対応手順を定めておくと、突発的な料金の急増にも冷静に対応できるでしょう。

社内のクラウド管理体制の強化

クラウド破産を防ぐには、社内でのクラウド管理体制の強化が不可欠です。専門知識を持つクラウド管理者を配置し、利用リソースの適切な選択や、定額プランや予約割引の活用などでコストの最適化を図ることが有効です。しかし、長期契約のリスクや柔軟性の低下といったデメリットもあるため、状況に応じた判断が求められます。

また、社員全体にクラウドの正しい利用方法を周知するための教育も大切です。料金体系やリソースの管理方法を理解することで、不要なリソースの消費や無駄な機能利用を避ける意識が社内で根付くようになります。利用ガイドラインの整備や社員教育を通じて、クラウドサービスのリスクとメリットを従業員に理解させることで、適切な運用につながります。

クラウド破産を回避し、持続可能なIT運用を実現しよう

クラウド破産は予想外の事態で発生することもありますが、大部分は対策を講じることで防げます。利用リソースの可視化や料金アラート機能の活用、社内の管理体制の強化といった対策で、持続可能なIT運用が可能となります。クラウド利用のコスト管理は、企業のIT予算に直結する課題であるため、正しい運用と効果的な対策を検討しておくとよいでしょう。

IT Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next