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バイモーダルITとは?DX時代に適したIT戦略について考える

レンテックインサイト編集部

バイモーダルITとは?DX時代に適したIT戦略について考える

DXをより高いレベルで実現するためには、従来のITシステムのあり方を見直し、抜本的な改革を取り入れることが重要です。バイモーダルITはそんな最新のDX環境への移行を実現する上で、広く求められつつある概念といえます。

この記事ではバイモーダルITとは何か、具体的なメリットに触れながら解説します。

バイモーダルITとは

バイモーダルITとは、組織が抱えるITシステムの様式を2種類に分類し、その関連性について目を向けるIT戦略の考え方です。2つの様式のそれぞれチームを構成し、一方のチームでは安全で正確なインフラ管理を実現することに、もう一方では安定性や繋がりの確保に注力してもらいます。

これら二つの考え方は、異なるアプローチで取り組む必要があることから、一つのチームで対応すると不要な妥協や議論、摩擦が生まれてしまうリスクがありました。このような問題に対処すべく生まれたのが、バイモーダルITの考え方です。

それぞれのチームにおいて醸成する文化や採用する評価方法、戦略などを別個に策定し、企業が目指す一つのゴールの達成を目指します。

バイモーダルITにおけるモード1とモード2

バイモーダルITの分類で利用されるのが、モード1とモード2という二つのITシステム部門です。前者は守りのITを、後者は攻めのITを実現するという、盾と矛のような役割を持っています。

モード1とSoR

モード1は、主に情報を資産として蓄積・保護し、活用するためのITシステムを指します。これはSystems of Record(SoR)と呼ばれており、これまでの企業活動の中で培われてきた情報を上手に活かすための環境構築を推進するためのものです。

あらかじめ定義された、一貫性のあるルールの中でプロセスを最適化していく傾向が強く、事前の計画と予測可能性を裏切らないことが重視されています。

モード2とSoE

モード1とは異なり、モード2は主体的で攻めの姿勢を強調したITシステムを指します。モード2では新たなビジネスを創造するためのITシステム、いわゆるSystems of Engagement(SoE)を採用して、企業を成長に導きます。

モード2において注力するのは、創造性の高いビジネス施策の実践です。不確実性や高いリスクを受け入れ、予測不能なプロジェクトを成功に導くためのシステムを構築し、競争の激しい市場を生き抜く力を養うことができます。

バイモーダルITとは?DX時代に適したIT戦略について考える 挿絵

バイモーダルITの導入メリット

このように、バイモーダルITでは毛色の異なる二つのITシステムを両立させるという、一見矛盾した体制を整えることが重視されています。それでもバイモーダルITの導入は多くのメリットをもたらしてくれることから、採用が進んでいます。

バイモーダルIT導入の最大のメリットは、ITチームが自身の強みを活かして高いパフォーマンスを発揮できる点にあります。守りのITと攻めのITにチームを分けることで、それぞれのゴールややるべきことに向かう際の障壁が少なく、チーム内の効率的な維持管理が可能で、成果を求めやすいのが特徴です。

また、組織が過剰に保守的になっている場合、革新性をもたらすきっかけになる点も強みといえます。攻めのITを与えられた役割の範囲内で実践し、最新ソリューションの導入や、高度なセキュリティ環境の実装を進めることによって、企業の生存競争に大きく寄与するからです。

バイモーダルIT導入を成功に導くポイント

バイモーダルITは、DX時代において重要なコンセプトであり、前向きに導入を検討すべきでしょう。導入に際しては、いくつかのポイントを踏まえておくことが大切です。

まず、二つのITチームは別個に活動しつつも、コミュニケーションの機会を確保することを忘れないようにしましょう。お互いの現在地をリアルタイムで把握できれば、短期・中期目標の確認や修正を正常に行い、最終的なゴールの達成を円滑なものとできるからです。

また、適材適所でチームに人材を供給することも大切です。毛色の違うチームへうまくメンバーを配置するには、正しいタレントマネジメントが求められるでしょう。もちろん、積極的なIT投資もバイモーダルITの実現には欠かせません。

バイモーダルITを採用した強靭なDX戦略を実現しよう

この記事ではバイモーダルITとは何かについて、具体的なメリットや導入のポイントに触れながらご紹介しました。

バイモーダルITの導入は、企業の高度なDXを達成する上で不可欠ともいえる取り組みです。導入の際にはバイモーダルITによって目指したいゴールや、正しいメンバー配置によって、最短距離で目標を達成できるような環境づくりに勤しみましょう。

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